聞いて欲しい祖母の話し
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小さなアパートの一室に運び込まれた、そう多くない段ボールを見渡す。
自然に笑いたくなる。
「うっくっくぅう〜!…やったぁ!」
念願の一人暮らしをすることになった。
嬉しい…
やっとだ。
……
私が小さな頃から仕事で留守がちな母に代わって、近くに住む祖母が家の事をしてくれていた。
今回の一人暮らしの話しも、母は「ずっと一人暮らししたかったんでしょ?いいわよ、好きにしなさい」と言ってくれた。
問題は祖母だった。
祖母は私のする事にあれこれ必ず口を出してきた。
初孫で一番近くにいる私を、他の従姉妹より可愛がってくれていたけれど、母がいない事で荒れていた私はたくさん祖母に迷惑をかけてきた。
そのせいで必要以上に心配をさせてしまうようだ。
そう遠くない場所への引っ越し当日の朝にも、祖母は私に言う。
「珠ちゃん、本当にあんた一人暮らしなんて出来るの?やめときなさい」
「大丈夫だって!婆ちゃん心配しすぎだよ!」
「そうは言ってもねぇ…婆ちゃんは心配なんだよ…本当に大丈夫なのかい… 心配だよ…」
「平気だよ〜もう行くからね!落ち着いたら私の部屋に遊びにに来てね!」
……
部屋に運び込まれた段ボールを開けて、実家から持ってきた物を、それぞれの場所へ仕舞っていく。
「ん〜…眠い……えっ!もうこんな時間?」時計を見ると、針は夜中の1時を指していた。
一人暮らし初日、誰にも邪魔されない開放感を味わいながら、片付けに夢中になっていた。
嬉しくて眠れないかと思っていたが、やはり疲れているようで眠い。
眠気には勝てず、残りは明日やる事にした。
寝る支度をして、明かりを消しベッドに入る。
スウ…っと眠りに誘われたその時、バチンとした感じとともに、カラダが動かなくなった。
えっ?…金縛り?…
真っ暗な部屋の中で横たわる私が唯一動かせるのは目だけ。
キョロキョロと目を動かして、状況を把握しようとする。
ズンッ!
足元に「何か」が落ちてきたようだ。
重い…
恐る恐る視線を足元に向ける
暗闇の中、布団の上に蹲る真っ黒な塊が見える。
緊張のあまり息を止めていた。
苦しくなってハッハッハッ…と浅い呼吸を繰り返す。
真っ黒な塊からゆっくり何か伸びてきた。
…手だ。
黒い塊からゆっくり手が伸びて布団を掴む。
手の力でズル…ズル…と、這い上がって来る。
ズル…
もう片方の手がゆっくり伸びて布団を掴む。
ズル…
「……ま… … …ん… た…… ま… 」
ズル…
「…た…ま… ちゃん…」
「…たま…ちゃ…ん…」
這い上がって来たのは祖母だった。
「……っっ!婆ちゃんっっ!怖いからやめてっっ!」
やっと声が出た。カラダも動く。
ベッドから飛び出し、車のキーを持って外へ出た。
急いで車に乗り、震える手でエンジンをかけ、友人宅へ向かう。
過剰に心配した祖母があろうことか「生霊」を飛ばしてきたのだ。
その後、怖い思いをしたその部屋で、一人で眠れるようになるまで一カ月かかった。
……
「えー…お婆ちゃん怖いね」と、私は珠子ちゃんに言った。
「本当、あの時は死ぬほど怖かったよ」と、珠子ちゃんが笑う。
あまり会う事が出来ない程遠くに住んでいた私は、お婆ちゃんのお葬式で、その話しを珠子ちゃんに聞いた。
お婆ちゃんとの思い出はあまりなかったけれど、これが強烈な思い出になった。
……
病院で亡くなった祖母は、亡くなった翌日、病院のナースセンターに御礼をしに「出た」そう。
「入院中はお世話になりました…」
婆ちゃん…やめとけ。
……
父方の祖母の話しです。
引っ越し部分の話しは、珠子ちゃん目線です。
(珠子ちゃんは仮名です)
母方の叔父にも似た話しがあります。
両方の血を受け継いでいるので、私も「出る」気満々です!
やれば出れる!
その日に向けて何かいい練習法とかあるんですかね?
拙い文章、お読み下さりありがとうございました。
面白く読んで頂けたら幸いです。