魔王軍四天王の会議は今日も踊る。
魔王軍四天王。
それは、魔王の部屋へとつながる各部屋を守る最強の四人。
魔王を守る最後の砦。
ドラゴン
バンパイア
ポセイドン
ミノタウロス
四人組が集まる会議は、今日も踊るのだ。
さて、今日のお題は?
魔王城。
世界征服を目論む魔王が住む城。
今、その城に人類の英雄、勇者一行がやって来た。
勇者一行。
勇者、戦士、魔法使い、僧侶の四人組。
この四人こそ、まさに人類の希望。
全員がその名にふさわしい一騎当千の実力者として恐れられているのだ!!!
彼らは魔王城を守るモンスターを次々撃破し、魔王の元へと向かっている!
しかし……人類よ、絶望せよ。
魔王の部屋の前にある一列に並ぶ四つの部屋。
各部屋にいるのは、魔王軍四天王。
恐るべき四人の魔物が、一部屋につき一人待ち構えているのだ!
勇者一行に絶望をもたらすであろう、四天王を紹介しよう。
まず一人目はバンパイアだ。
夜を支配する吸血鬼。
特に四天王の一人である彼は、バンバイアの中でも最強と言われる猛者なのだ!
二人目は、ポセイドン。
海の神として名をはせる海の支配者。
海を支配する神である彼が、勇者を倒すべく魔王配下になったのだ!
三人目は、ミノタウロス。
恐るべき腕力を持つ、牛と人間が混ざったモンスターだ!
このミノタウロスは女性だが、他のミノタウロスから崇められるほどのモンスターなのだ!
そして……四人目。
四天王のリーダーでもある彼女は、ドラゴンだ。
ドラゴン……
もはや説明不要の最強生物。
しかも彼女はドラゴンの中でも最強の古龍、エンシェントドラゴンだ。
それに加えて、彼女の年齢は一万歳。
ドラゴンにして、既に長年生きている彼女こそ、まさに四天王のリーダーに名実共にふさわしいのだ!!!
そんな四人が勇者一行の魔王城侵入という緊急事態に会議室で何をしているかと言うと……
「えーっと、今回魔王様から与えられた緊急議題なんだけど……」
リーダー兼司会であるドラゴンがそう言うと、皆が頷いた。
「この四人の中で誰が最弱か、です」
他三人が頷くと、ドラゴンは皆を見渡して
「じゃぁ、自分が最弱と思う人は挙手で」
ドラゴンがそう質問すると、手はすぐに挙がった。
……ドラゴン含む全員が。
「いや、だって僕が最弱でしょ?」
まずバンバイアがそう発言した。
「だって僕、血液アレルギーで、もう何年も血を飲まずに別の物でお腹を膨らませているんだもの」
人間の血はバンバイアの力の源。
それを飲まなければ当然バンパイアが持つ強力な力は使えない。
「それに、血が飲めないから他の物で代用してたから、太っちゃって、もう体重百キロオーバーだし……」
人間の血はバンパイアにとって効率のいい食事でもある。
別の物でも代用は可能だが効率がものすごく悪く、大量に取らなけらば腹は膨れない。
そんなだから、彼はめちゃくちゃデブなのだ。
「待てよ。お前はバンパイア最強なんだろ?俺なんかより強いだろ」
「僕はニンニクが大好物なんだ。でも、他のバンパイアはニンニクの匂いが大の苦手だから、戦う前に降参しちゃうんだよ」
「そう言えば、あなた口臭対策色々しているって前話してたわよね」
ポセイドンの質問に、バンパイアは答えた。
そう、強い嗅覚を持つバンバイアは、皆ニンニクが大の苦手だ。
しかし、何事にも例外はある。
彼は世にも珍しいニンニク大好きなバンパイアなのだ。
「ポセイドンさんこそ、僕なんかより強いでしょ?海の神なんだから」
「俺が強いわけないだろ?ここは海の中じゃないんだから」
そう、ここは陸地にある魔王城の中。
海とは遠く離れているから、彼の力は超弱体化してしまうのだ。
ポセイドンは海では強力な力を持つが、陸上では最弱モンスターと同レベルの力しか持たないのだ。
「じゃぁさ、四天王の部屋を海水で埋めてみたら?」
ミノタウロスがそう発言するが、
「無理だ。以前そうしようとしたら、部屋が錆びるからやめろって言われた。力を出せないんだから俺が最弱だよ」
ポセイドンはため息をついた。
「ってか、ミノタウロスさんが最弱はないだろ。あんたの武器の斧は見せかけじゃないだろ?」
「ちょっと待ってよ、私弱いわよ」
ミノタウロスは手と頭をぶんぶん振って否定した。
「私、雌よ。それに、私達ミノタウロスは確かに牛と人間の力を持つけど、私って乳牛の体と人間の知性の組み合わせなんだからね」
そう、彼女の外見は二足歩行する知性ある牝牛(それも乳牛)なのだ。
「でも、ミノタウロスさんって仲間から崇められていたんでしょ。それに、今にも転がる攻撃で大ダメージを与えそうなフォルムだし。だから僕らより強いと思うんだけど……」
「馬鹿言わないでよ。私が崇められていたのは、私のミルクがとっても美味しかったからよ。それに、転がるなんてしたらお腹を思いっきり押さえつけちゃうじゃない!」
ミノタウロスがそう言って否定すると、バンパイアとポセイドンは困ったようにリーダーであるドラゴンを見た。
「ワ、ワタシ……弱いよ……最弱だよ……」
ドラゴンの彼女はそう言って涙を流した。
「ちょ、ちょっと。泣かないでくださいよ」
「そうそう、君が最弱でいいから」
「強さが関係することは、私達がやるから」
三人がそう言って彼女を慰める。
そう、ドラゴンは未だ子供、人間で言えば六、七歳くらいなのだ。
エンシェントドラゴンは長寿のドラゴンの中でもさらに長寿。
平均寿命は十億を軽く超えると言われている。
一万歳の彼女はまだ子供なのだ。
ちなみに、あと百万年くらい彼女の精神年齢はこのままだったりする。
そんな彼女がなぜ四天王のリーダーなのかと言うと、リーダーは最年長者がなるという決まりがあるからだ。
なぜかと言うと、強い力を持った四天王同士が強さで争うと魔王城が崩壊してしまう危険性があるから、四天王制度を決めた大昔の魔王が定めたのだ。
……もっとも、今の四天王は魔王城を崩壊させる程の力はそもそも無いし、仮にあったとしても壊して魔王や掃除のおばちゃんに怒られるのが怖いからそんな事する度胸が無い。
さて、話は振り出しに戻る。
皆自分が強いと思われると面倒ごとを押し付けられると思っているから、自分が最弱だとアピールしまくるのだ。
ついでに、とっとと四天王を首にしてくれればいいのに、と言うのが全員共通の願いだったりする。
結局、誰が最弱か?
「というか、どうして誰が最弱かを決めるのですか?」
「そうだよ。なんで俺達の中で最弱を決めなきゃならないんだ?」
「そうですよね。なぜなんでしょう?」
「じ、実はですね……」
泣き止んだドラゴンは魔王様からもらった書類を見せた。
「え、えーっと。最初に勇者一行と戦う四天王は最弱でなければいけないから、最弱を決めてその者が真っ先に迎え撃て、と魔王様は言ってます」
「「「…………」」」
辺りを静寂が包んだ。
「僕は最弱じゃない!」
「俺は最弱じゃないぞ!」
「私だって最弱じゃないわ!」
喧々諤々、三人とも戦いたくないから最弱を押し付ける。
だって、痛い思いしたくないんだもん。
真っ先にやられたくないし。
まぁ、ぶっちゃけこの四人全員強さは大して変わらないのだが……
「じゃ、じゃぁ……ワ、ワタシ……頑張る!」
そう言ったのはドラゴンだった。
一応、自分がリーダーだと言う自覚はあるのだ。
絶賛半泣き中だけど。
「「「え゛……」」」
三人ともフリーズした。
そりゃ戦うのは嫌だ。
と言うか、痛いのは嫌だ。
でも、子供を戦わせるわけにはいかない……
子供にひどい目にあって欲しくないという、非情になり切れない三人だった。
「いや、ここはドラゴンさんよりポセイドンさんが」
「いや、俺よりミノタウロスさんの方が」
「いえいえ、私よりバンパイアさんの方が」
「いえ、やっぱりドラゴンのワタシが……」
「「「どーぞどーぞ、じゃなくって駄目です!!!」」」
こうして会議は何時まで経っても終わらなかった。
結局……四天王の部屋を素通りした勇者一行は、魔王にやられてお空に飛んで行った。
今頃、「死んでしまうとは何事だ」なんて言われているんだろう。
そして……今日も四人に魔王の怒りの鉄拳がお見舞いされるのだった。
お楽しみいただけましたでしょうか?
ギャグって難しい、と思いながら書きました。
後、魔王軍四天王を誰にするかは悩みました。
子供のドラゴンと血を飲めないバンパイアはすぐ決まったんですけど、他二人をどうしようかすごく悩みました。
ちなみに、ミノタウロスはゲームのポケ〇ンに出てくる、転がるで有名なあいつをイメージしています。
皆さんが選ぶ魔王軍四天王って何ですか?
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