魔法少女と普通の女の子。うらばなし。
「ねえねえ瑠那ちゃんは先輩のことが大好きなんでしょ!?」
「ぶふぅー!?」
お父さんに言われて瑠那ちゃんをお部屋に連れ込みました。二人っきりになったらやることは一つだよね恋バナだよ恋バナ!
お父さんの恋バナは参考にならないくらい波瀾万丈の何それライトノベル!?って感じだったから、瑠那ちゃんみたいな普通の恋愛に興味あったんだよね!
「けほ、けほ……し、秋桜ちゃんなにをいきなり……」
「えー。だって先輩のこと好きなんでしょ?」
「そ、それは……」
こういう話をするといつも瑠那ちゃんには逃げられていたけど、今日は違う。なんたって私の部屋だからね! 逃げ場なんてないからね! みみみ!
「……はい。先輩のこと……好きです」
「だよねー!」
知ってたというかわかりやすかったというかね! だって瑠那ちゃん『先輩』の話をする時だけすっごいにこにこになるんだもん。
いつもは明らかに周囲を警戒してる感じなのに、先輩の話をする時だけふにゃって笑顔になるんだもん。クラスの男の子も意識しちゃってるくらいにね。
もちろん瑠那ちゃんはそんなことに気付かないほど先輩にぞっこんラブって感じだけど。
「ねえねえねえどんなところが好きなの? どうして好きになったの?」
友達の恋愛話とか大好物だよ!
恋っていいよね! 好きな人の事を思うだけで、たっくさん気持ちが溢れて幸せになるんだから! 私もお父さんのこと考えるだけでドキドキしてふわぁーってなって幸せになるもん!
「え、い、言わなきゃ……だめ?」
「はいだめー!」
「うぅ、いつにもまして秋桜ちゃんがアグレッシブだよぉ」
「えへへ。教室ではいつも逃げられちゃうからね。今日は覚悟してもらうよ!」
もちろん瑠那ちゃんが嫌がるところまでは掘り下げないつもりだ。
でも今の瑠那ちゃんはいつもと違って、先輩についてのハードルが低い。
【闇堕ち】ってよくわかんないんだけど、好きって気持ちが溢れて抑えきれなくなってるんだってね。
だから先輩のことをなんだかんだ幸せそうに話す瑠那ちゃんが見られて私は大満足だよ!
「先輩は……昔、迷子になってたのを助けてくれたんです。それから魔法少女になって最初に助けたのが、先輩で……」
「運命の出会いじゃん!」
「その後、お引っ越しの挨拶で再会して……」
「もしかして、その時からもう?」
「だ、だって一目惚れしちゃったんだもん! 不安な時に助けてくれて、それで助けたら真っ直ぐな瞳で応援してくれたんだよ!? それで私の正体に気付いて、それでもずっと応援してくれて……優しいし、かっこいいし……はぁ、先輩……すきぃ……」
「恋する乙女だー!」
「にゃー!?」
瑠那ちゃんが可愛すぎて抱きしめてしまった。先輩を思って「はぁ……」って出したため息がなんだか凄く色っぽかったよ!
「みー!」
「にゃー!?」
瑠那ちゃんをもみくちゃにする。スリスリしてなんだったらほっぺにちゅっちゅもしちゃうもんね! 一番好きなのはお父さんだけど瑠那ちゃんは友達だし別腹!
んー瑠那ちゃんもちもちで美味しー!
「で、瑠那ちゃんはいつ告白するの?」
私の読みではすぐにれっつらごー! って感じだけど。
「こくはく……は、その」
「尻込みしてどうするの! そのしっかり育った安産型のお尻はなんのために使うのか!」
「秋桜ちゃんがいろいろ爆発してます!?」
「胸は私のほうが大きいけどスタイル的には瑠那ちゃんのほうが整ってて可愛いんだもんー!」
お父さんは「好きになった人ならスタイルは関係ない」って言うけど、女の子からすれば好きな人には抜群のスタイルを見て貰いたいし!
その点先輩は見ている限りでは瑠那ちゃんにぞっこん。瑠那ちゃんのスタイルも含めてドストライクって感じがする。
みみみ。長年お父さんぞっこんラブしてる私が言うんだから間違いない。これでも男の人が女の人をどう見るか、長年研究してるからね。お父さんのお嫁さんになるための努力は欠かさないよ!
「えと……告白は、しないつもり」
「なんで!」
「だ、だって……先輩はコズミック・ルナを応援してくれてるだけだし……わ、私みたいなひんそーな後輩を好きになるわけないよ」
「は~~~~~~~~!?」
今すぐ先輩のところに瑠那ちゃんを連れてってぎゅってしてちゅっとしてもふもふどーんってさせたい。このどこからどう見ても両想いカップル早くくっつけたい。
でも今はお父さんと先輩が大事な話をしてるみたいだから出来ない。みぅ……!
「いじいじいじいじ……」
「いじけないのー!」
「だってだって……あんなかっこいい先輩が私なんかを見てくれるわけないよ……」
「この子本当に闇堕ちしてるのかなぁ……」
見てる私がやきもきしてきた。えーどうすればくっつくの? もういっそのことお父さんに頼んでキスしないと脱出出来ない部屋とかに閉じ込めればいい?
「むー」
「秋桜ちゃんがどうしてむくれてるの?」
「いつもはにこにこ先輩の話をしてくるくせに肝心な時に尻込みする友達に怒ってる秋桜です」
「にゃ、にゃー……」
瑠那ちゃんはいくら私が背中を押しても先輩に告白しない。それはなんとなくわかる。
じゃあ後は先輩をけしかけるしかない。それならお父さんに頼んでそっちの方向へ話を進めてもらうしか――。
「秋桜ー。お客さんがお帰りになるから、お嬢ちゃんはどうするー? まだ遊ぶなら一人で帰って貰うが」
「みぃ!? 制限時間が!」
「あ、お話終わったんなら私も帰ります」
「むむむー!」
お父さんタイミングが悪すぎるよ! これからだったのに!
「秋桜? なんだか不機嫌だけどどうかしたのか?」
「みぃー……お父さんのタイミングが悪すぎるんだよ!」
「え、え。お父さんなんか悪いことしたか? ほらほら、ぎゅってしてあげるから落ち着いてくれ」
「ぷいっ」
「秋桜おおおおおおおおお……」
むぅ。どうやって二人をくっつけようかな……ここは私が人肌脱いで、二人の恋のキューピッドになるしかないよね!
「お父さんにお願いがあります」
「なんだ!? 秋桜が笑顔になってくれるならお父さん世界だって滅ぼすぞ!?」
それはだめ。お父さんが本気出したら世界が何個あっても足りないから。
「瑠那ちゃんと先輩をくっつけるために手伝って欲しいことがあります」
「……あの二人なら自然とくっつくと思うが?」
お父さんはお父さんで先輩と二人で話をしていたのだから、私の狙いもわかっているはずだ。それでもお父さんは静観を選んでいる。
それじゃダメなの。そうしたらあの二人は現状維持をしちゃうから。
「私は瑠那ちゃんに幸せになって欲しいの。だからそのために私は全力でサポートしたいの!」
「うーんとはいえ、それならグリード・コアヌスを弱らせて影響力を下げるくらいじゃないか? お嬢ちゃんが暴走してる方だし。男の方はニブチン野郎だし。ここまでで暴走した結果で二人の距離は確実に縮まってるようだし」
グリード・コアヌスを倒す! なるほどわかったよ!
「それじゃあ私はグリード・コアヌスを倒してくる!」
「おーい秋桜ー無理はしないでお父さんと遊ぼう。な?」
「無理じゃないもん! 私の手に掛かれば低ランク侵略者なんてちょちょいのちょいだし!」
そうと決まれば! まずは行動!
ミラクル・コスモスに変身して街へと繰り出す!
「……あー、うーん。まあ秋桜が万が一闇堕ちしても俺が全力で甘やかせば解消出来るしそうなったらグリード・コアヌス消し炭にするから放っておいても大丈夫か。おじさんもう疲れたし、今は休みたい」
「旦那様~。秋桜様の晩ご飯はどうしましょうか~?」
「晩飯の準備は後にして、お前も秋桜の星獣としてサポートしてきてくれ。俺はしばらく寝てるから」
「はい~。わかりました~」
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