黒歴史と作戦
翌日、俺は目を覚ます。
そして昨日の事を思い出す。
自分の心の内を暴露した挙句異性の友人に抱きしめられて泣いて眠るとか黒歴史確定じゃねーかよ。
と頭を抱えてアアアアと唸り声をあげていると横から何かが動くのを感じた。
思わず横を向けばそこには橘が寝ていた。否、今目覚めた。
そしてこれから起こるだろう出来事を推測して俺は耳を塞ぐ。
しかし俺の推測は外れた。
橘は普通に
「日暮君おはよう」
と挨拶してきた。
俺は叫び声をあげるもんだと思ったんだが違ったようだ。
その事に安心して俺は耳を塞いでいた手を離して
「ああ、おはよう橘」
と挨拶をかえした。
お互いに話し合い、昨日の事はお互い気にしないようにした。
少なくともこっちはめちゃくそ恥ずかしいしな。
んでその話が終わり、これからどうするのかを話し合う事にした。
「橘、これからどう動くかだが、ひとまず小屋周りの森の先を見てからにしないか?」
と俺は提案する。
橘はそれに対し
「それは良いけど理由を言って。納得できなければそれが良いとは言えないから」
と言ってきた。当然だと思い俺は理由を言う。
「理由としてはこっち側で戦闘になった時に辺りの状況を把握して有利に戦いたいからだ。それに、昨日言っただろうが最初にいた俺達を抜いた6人の中に1人だけ軍人が警察関係の人間がいた。そいつに他の人たちを戦わせて消耗したところを狙うためだ」
それを言うと橘は少し罪悪感を感じ嫌そうな顔をしながらも
「わかった」
と納得をしたのだ。
実際に戦闘経験が0に近い俺達では戦闘経験があるだろう人物に勝つのはほぼ不可能だ。
だからこそ、そいつが他の4人を殺している間に探索し戦いやすい場所を見つけそいつをおびき出し、4人を倒して体力を消耗しているそいつを確実に倒すという作戦だ。
しかしこの作戦は実質4人の人間を見殺しにする事になる。
だからこそ橘は嫌な顔をしたのだろう。
実際俺だって嫌だ。しかし俺達が生き残るためにはこうするしかないと自分に言い聞かせてナイフをポケットにしまい橘に声をかけて辺りの探索に出かけた。