思考と協力関係
あの後、橘は後ろに倒れ、地面に頭をぶつける前に支えることができ、現在は橘を横に寝かして俺は今後の動き方を考えていた。
と言っても基本的には2つで、このまま動かずに最後の1人になるまで隠れて残った1人を背後から暗殺するか、誰かと協力して最後の2人になったら奇襲を仕掛けるか。
主にこの2つだ。
協力するにしても暗殺するにしてもナイフの使い方くらいは理解していた方が良いだろう。
そう考えて出入口の方で俺はナイフを振っていた。
全く分からないのでこう、フェイントを入れるような動きだったりを練習していた。
そして目を覚ました橘は俺の姿を見た途端に
「日暮君。私に何もしてないですよね?」
と聞いてきた。
かなりぶっちゃけると橘は外見が大和撫子の如く美人で性格はクールな感じの美女で、俺のタイプにぴったり当てはまる女性だ。
そんな橘は学校ではクラスのマドンナ的存在だったし、昔からよく告白されてたようだ。
だからこそ心配だったのだろう。友人とはいえ男の前で無防備でいるなんて状況が。
そんな事を考えながらも俺は
「ああ、何もしていない」
本当に何もしていない。
と言うか軽いイタズラくらいはしたかった。主に俺のメンタル的に。
しかし出来なかった。理由は簡単。しようとした時にヘタレたからだ。
まあ心の中で言い訳をしたところで橘には聞こえていない。
上手く話をすり替えよう。
「そういや橘、お前が気絶する前に武器を聞いてきたけどどうしてなんだ?」
ぶっちゃけ素で分からないんだが?
そう考えてるうちに橘は答えてくれた。
「日暮君とだったら協力できると思って」
コイツはこの状況を理解してないのか?
そう考えていると橘は少し考えてハッとしたような顔をして
「別に私達が最後になったら日暮君を殺そうとか考えてないからね。私そんな卑怯なことしないから」
と言ってきた。
俺はそんな事を考えてるから地味に言葉のナイフが刺さるんだが、まあそんな事はどうでも良いとして、この状況はチャンスだ。
このまま橘と協力出来れば俺達が生き残れる確率が上がる。
そうして俺達はしばらく話し合い、協力関係を築くことが出来た。
しかし、無意識のうちに考えいた俺と橘の2人での生還という“ありえない“ことに気付かずに俺達はこれからどう動くかを相談していた。