挑発と逃走
男の撃った3発の銃弾は偶然にも誰1人として当たらなかったが、それが気に食わなかったのか更に3発の銃弾を適当に撃った。
たった1人の男の行動でその場にいた誰もが殺される覚悟をしているように見えたが、俺はその男の前に歩く。
そして、男の前に立ち止まると俺が何かを言う前に
「おい、なんのようだお前!殺されてえのか!」
と言ってきた。
このように言えるのならば多少は理性が残っているが恐怖の方が勝ってしまい銃を撃ったのだろう。
だが、俺がするのは男の心配でもなく、誘拐犯が監視しているだろうこの空間からの離脱。
そこからはお互いに殺し合うのだろう。だから、馴れ合いはしない。故に俺はこう言った。
「そんな震えてる手で銃が撃てるのか?」
その言葉は男からしたら煽りや自分の心配を無視した発言だろう。と言うかそう聞こえるように言った。
するとどうだろう。
男は顔を真っ赤にして銃口を俺の頭に向けて引き金を引いた。
しかし銃からは弾は発射されず何も起こらない。
そして男がなんでどうしてと俺にしか聞こえない声で呟いている隙に俺は大声で
「今だ、お前ら逃げろ!」
そして直ぐにその場にいた全員は出入口や窓から逃げ出した。
そして全員が廃墟から出たことを理解してから俺も直ぐに逃げ出した。
そして、背後を気にする余裕もなく外にあった森に逃げ込んだ。
そうして、しばらく走り続けて小さな小屋が見つかった。
俺は少しでも休める場所が欲しかったので多少の警戒をしながら小屋に入るが中には誰もおらず、人がいた形跡も無いため、壁に寄っかかって仮眠を取ることにした。
そうして男にした挑発とそれにより死ぬかもしれない恐怖と走り続けたことで疲れていたため、直ぐに寝てしまった。