第7話 初陣
「さて、メンバーも揃ったし、チーム名も決まった。改めて私たちラグナロク結成をここに宣言するわ」
一同を見渡し、澄んだ声でスノーがそう宣言した。続いてフォーメーションの発表。
「前衛右翼にシャドウ。中央はララでサムはサポートに回って。左翼にリッパー。続いて後衛右翼はマチルダで左翼にサモン。そして中央は私。ターゲットの出方によってはこれにこだわらず、各自フレキシブルな対応をする事になると思うけど、基本はこれで行きます。一応リーダーは主催者である私が勤めるけどかまわないかしら? 」
主催者がリーダーになることは、言ってみれば通例なことなので当然なのだが、スノーは一応皆に了解を得る。
「俺はかまわない」
「良いんじゃない」
「……異議なし」
「あたしが反対するわけないでしょ」
「誰であろう殺れれば良いぜ」
「ノープロムレブね」
全員納得。流れから言って当然の役だが、このわけのわからんメンバー達を一発で全員納得させるスノーのカリスマも見事な物だ。可愛いのもあるが、それだけじゃこうはいかない。『プラチナ・スノー』の名はレベル30オーバーの魔導士であるが故の物なんだと実感。
「我々の最終目的は『伝説になる』こと。セラフィンゲインが存在する限り、語り継がれるような『最強』の称号を手に入れるの。それと、このチームの交戦規定を発表するわ。『どんなに窮地でも仲間を見捨ててリセット【撤退】しない。全員で戦い、全員で帰還する』これだけよ」
リセット【撤退】とは緊急離脱用のログアウトコードのことだ。戦闘中にデッド判定ギリギリのダメージを食らったり、何らかの行動不能状態に陥り、どうやっても状況打開が出来ない、いわば『手詰まり』の場合に使われる。
セラフィンゲインではプレイ中その意志を持って「リセット」と叫ぶと、瞬時に接続を強制切断され意識が接続室に戻される。その場合キャラクターのパラメーターは接続前のセーブデータに戻ることになる。
これだけ聞くとプレイ中のデッド【死亡】と何ら変わらないように思えるが、その行為に対する他者の認識は大いに違ってくる。
チームプレイを原則にしているが、リセットをするかどうかは『チーム』の総意や主催者の意志ではなく、プレイヤー個人の判断に委ねられており、それを使用するタイミングや場所などには一切の規制が無いからだ。
これがどういう事かというと、戦闘中に前衛がこぞってリセットした時の事を考えてみればいい。戦闘中窮地に陥り、セラフと直接刃を交える前衛が、実際に体感する痛みや恐怖から逃げるためにリセットを選択する。いくら強力な武装をしている後衛が控えていようとも、直接攻撃を担当する前衛が居ないのでは戦闘を継続することは不可能だ。そのチームは確実に全滅するか、全員リセットする、そのどちらかしか選択肢は残されていない。
そして一度でもそれがあると仲間を信じられなくなってしまう。ゲームとはいえ命のやり取りの場に置いて、その疑心暗鬼は致命的だ。
人は自分の利益や恐怖によって簡単に他人を裏切ってしまう。現実世界ではそうやって見殺しにしてきた者達と二度と会うことはないだろうが、復活を約束されたこのセラフィンゲインという世界では、当たり前だが辞めなければ再び会うことになる。自分のやってしまった結果に否応なく対峙する事を強要される訳だ。
『たかがゲームじゃないか……』
そう、言ってしまえばホントその通り。しかしゲームであるが故に、その結果と向かい合う。死と再生が繰り返されるこの世界だからこそ、それがただ一度きりの裏切りだったとしても許すことが出来ないんだろうね……現実そうやって解散していくチームは後を絶たない。
そして、リセットする者が続出するチームを率いたリーダーもまた、そのカリスマや指揮能力を疑われ、他にメンバーを集めることも困難になってくるのだ。
だから、上級者やチーム主催者はリセットを選択する者を嫌い、侮蔑して憚らない。リセットは『臆病者の烙印』なのだ。スノーとしてはまず初めにそれを宣言しかったんだろう。
「ヘイ、スノー。リッセトしたらどうなるんだい? 」
サムが軽く質問した。
「その前に私が殺すわ」
サムの質問にサラリと返す白銀の魔導師。一同沈黙……
あ――― なんか今、少し気温が下がった気がする。
「あ、ああ……そうね。ベ、ベリーナイスなアイデアね、HAHAHA――― 」
サムの乾いた笑いにが静かに響く。笑えねぇよ、実際。
口は災いの元と言うが、俺も気を付けよう、マジで。なまじロリ顔で可愛いだけに、言葉のギャップが怖いよな。
『ミーはあの娘苦手ね。今目がマジだったよ。その時が来たらきっと躊躇しないよ、あの魔女。ララちんの方が良い…… 』
そう小声で俺に耳打ちするサム。ああ、恐らく躊躇しないだろう。キレたらヤバイな、ああいうタイプは。
しかしサム、リアルのララを知ったら今言ったことを後悔するぞ。アイツはリアルじゃ宣言さえしないからな。朝のラッシュで痴漢されて、相手を駅のホームに引きずり出し、そのままマウント取って落とすような女だぞ。躊躇もしないが手加減もしない。つーか手加減なんて言葉はアイツの辞書には無いな、きっと。それがビジュアル系悪魔だ。
続いてクエストについてリッパーから質問。どうやられいの発作が始まりつつあるようだ。まったくもってアブナイ奴。
「初陣はどんなクエストにするんだ? さっさと行こうぜ」
「そうねぇ…… ララも居ることだし、手始めに『グスターファ討伐レベル3』なんてどうかしら?」
スノーが少し考えながら答える。
『グスターファ』とは森林エリアに生息するサイの様な中型セラフで、中級レベルの標的だ。群れで行動することが多く、大体5〜7頭くらいで徘徊しているのだが、希に群れの中にこいつ等のリーダーである『ゲノ・グスターファ』という大型のボスが混じっていることがある。
姿形はノーマルなグスターファによく似ているが、大きさが3倍強ある。普通のグスターファは猪突猛進で敵に対して一直線に突っ込んでくるしか脳が無いが、このゲノ・グスターファは頭が良く狡猾で、おまけに火を吐く。至近距離で食らったら、中級レベルではまず昇天。上級者でもかなりのダメージを食らうだろう。
突進も強力で上級者でも直撃すれば確実に吹っ飛ばされ、おまけに『昏倒』というステータス異常を引き起こす。頭上に星が回りしばらくその場から動けなくなるのだ。
さらにこのボスに率いられたグスターファは、その場合に限り攻撃力が2割増しとなる追加効果まである。
そして、『グスターファ討伐』のレベル3は、ゲノ・グスターファの出現率が8割となっている。
ちなみにノーマルのグスターファは小サイ。ゲノ・グスターファはボスサイと呼ぶ。
「おっしゃ、久しぶりのサイ狩りか。ゾクゾクしてきたぜ」
怪しげな目をしながらそう呟くリッパー。
まあな、アイツ等群れで来るからその分沢山斬れるんだろうけど、一応チームな訳だし連携って言葉の意味わかってるかい? あんた。
「いきなりボスサイ狩りって、ララにはしんどくないか?」
と言ってみる。何せレベル1だぜ、レベル1。ホントならアモー相手にするレベルだよ。
「でも、成功したらアレ一体で一気に5〜6はレベル上がるわよ、ララちゃん」
オイ、ドンちゃん。余計なこと言うな。
「よーし、そのサイだかカバみたいな奴に、あたしの鉄拳お見舞いしてやるっ!」
そう言ってシャドウボクシングを始めるララ。
「アホかっ、レベル1がサイにダメージ与えられるわけないだろっ! お前は出来るだけ前に出ないで観戦してろ。かすっただけで死ぬんだぞ、お前じゃ!」
頼むから黙って見ててくれ。
「なによ〜、それじゃつまんな〜い」
そう言って椅子をガッタンガッタン揺らして抗議するララ。周りの連中も『それは言い過ぎだ』みたいな目で俺を見やがる。
この馬鹿野郎どもっ、俺はララのために言ってるんだぞ!
「まあ、とりあえず一戦ファイトしてみて、改めてシンクするってのはどうだい? ララちんもスキンで実戦を感じてみないとわかんないだろうし」
とサムが提案した。コイツにしては割合まともな意見だ。そうだな、とりあえず一回やってみないと感じも掴めない。
「決まりね。一旦解散して各自装備をチェック。15分後エレメンタルガーデンの噴水前に集合。じゃあ一時解散」
そのスノーの言葉にみんな席を立った。
解散と言ったが、とりあえず俺はララの装備を整えるため、ララと行動を共にする。サムは買い物があるとかでさっさと出ていって仕舞った。
「さて、俺達も行動を開始しよう。ララ、とりあえずショップに行こう」
「あっ、これおいしそ〜 ねえ、なんか食べて行かないの?」
そう言って沢庵のメニューを広げながら料理をチェックするララ。
お前な、さっきログインしたばっかりでスタミナ満タンなんだから食う必要ねえだろう!
「良いから来い!」
そう言って尚もメニューをめくり「これ食べた〜い」と騒ぐララの腕を引っ張り、やっとのことで沢庵を出た。やれやれ、先が思いやられる。
そして15分後。
とりあえず全員揃ったところで、リーダーであるスノーが一同を見回し、出発の言葉を宣言する。
「みんな、用意は良い?」
一同無言で頷く。いよいよこのチームでの初陣。ララに至っては初めてのフィールドと言うこともあってちょっと緊張した様子……
いや、緊張してねえな、ありゃ。まるで遠足に行く子供みたいな表情だ。あのさ、そんなキラキラした目でいるけど、これから戦闘に行くんだよ〜
目的はまずは初戦で手応えを掴むこと。どのような結果であれ、それを次ぎに繋げていく重要な戦闘だ。俺も久々にチームの正式メンバーとしてフィールドに立つ。緊張とは違った気持ちの張りつめ方を意識しながらスノーの言葉を待つ。
スノーが先ほどチームとして『案内所』にクエストを申請してきた。後はリーダーの「エントリー」のかけ声でフィールドのベースキャンプに転送される仕組みになっている。
傭兵の場合、クライアントのリーダーから教えて貰う『エントリーコード』を案内所のNPC係員に告げ、直接ベースに転送して貰うので、このようなエントリーは俺も久しぶりだった。
「皆に幸運を! エントリー!」
言葉と共に、手にした杖を天に掲げるスノー。次の瞬間、俺達は目もくらむ強い光に包まれていった。
☆ ☆ ☆
ベーステントから出発し、10分ほど歩くと鬱蒼とした森の入り口に付いた。 ここまではほとんどセラフには出くわさないが、ここからは完全なバトルフィールドだ。各自武装を点検し警戒モードに入る。
「グスターファが出現するのはエリア3と8だったわね。サンちゃん、マップ見せて」
スノーに言われて、無言で地図を広げるビショップのサモン。ホント極端に口数が少ないな。
「エリア4から回り込めば、位置的に有利な場所で会敵すんじゃね? 確か3の東側は川で渡行不能だし」
とリッパーが提案する。
「そうね、万が一失敗しても、最悪この高台まで後退すればあたしの【魔法弾】の射程距離だしね。アイツ等ココまで来れないから」
ドンちゃんが地図を指さして位置を確認する。
さすがにみんな高レベル。何度かこのクエストをこなしているだけに、攻略法はいろいろ知っているようだ。話が早くていいね。
「ねえ、そのサイが居るとこって決まってるの?」
「ああ、だいたいな。必ずそこにいるとは限らないが、出現する率が高い場所があるんだ。俺達は何度かこのクエストに参加しているから、大まかな対応策が取れるってわけさ」
とりあえずリッパーのエリア4から回り込む作戦で行く事になった。早速一同狩りに出発。俺達はエリア1を横断し隣接しているエリア2と3のうち、西側のエリア3を回り込みエリア4に出るルートを選択した。
エリア1では害のないセラフである『アモー』が草を食っている。
「シャドウ、アレは何?」
そのアモーを指さしてララが聞いてくる。基本的にレベル1ではクラスCからはじめ、そこではこの象のような『アモー』が初心者の最初の相手になるから、ここに来るプレイヤーでアモーを知らないと言うことはあり得ないのだが、ララはいきなりそこをすっ飛ばしてクラスAに立っているので、全てが初めてなのだ。
「アレがアモーだ。前にスノーが言ってた『ビネオワ』つーのは、アイツの乳から作られる酒のことさ。さっきショップで買った『干し肉』もあれの肉だよ。コッチから攻撃しない限り攻撃しては来ない穏和なセラフで、初心者はまずあれを狩ってレベルを上げるのさ」
俺の説明に「へ〜」と感心して頷くララ。そのほかにもアレコレと聞いてくる。まさにお上りさん状態だった。まるっきり観光気分だ。
しかしそんなほのぼのした雰囲気も長続きはしないのがクラスA。
「『ギノクラブ』だ! 正面に2体」
リッパーの声に皆が反応し得物を構える。
ギノクラブはヤドカリのような格好をした小型セラフだ。小型つっても人間ぐらいの大きさのヤドカリだからそんな奴の鋏もそれなりの大きさがある。
パワーもそこそこ。体も結構固くて初・中級者だと『稼ぎセラフ』なのだろうが、俺達には雑魚と言えるセラフだ。
「いっちょ肩慣らしに……」
とリッパーが両手に刀を構えて前に出る。
「フリザルド」
スノーが呟く。
と、その瞬間、ゴウっ!と風が閃光のような唸り声を上げつつ、凄まじい冷気と共に氷りの竜巻がギノクラブ2体を包み込む。
一瞬の虚を突かれた形のリッパーだったが、そこはハイレベル。頭よりも先に体が反応したようだ。無理な制動を掛けずに横っ飛びに慣性をいなす。たいした反応だ。これなら接敵しながらの連続攻撃を加えつつ、敵の呼吸を見計らい回避するのも可能だろう。
竜巻が消えると、カチンコチンに凍り付いたヤドカリ2体が出現する。
冷却系中級呪文『フリザルド』
ギノクラブを一瞬で氷り付けにするなんて。さすが高レベルな上級魔導師、俺も使える呪文だが、威力は数段上だ。それにしてもなんつー呪文の詠唱スピードだ。一体いつ唱えたんだか見当もつかん。
「雑魚は相手にしない。先を急ぎましょ」
そう言ってスタスタと歩き出すスノー。ついでに氷りづけになったギノクラブを杖でコツン。パッキーンと見事に粉々に砕け散る氷の破片の中を、悠然と歩くその美貌。
「なあ、シャドウ…… 今のってさ、結構俺も危なくね?」
肩すかしを食らった感のあるリッパーだったが、それには触れずに恐る恐る俺にそう聞いた。
確かに。もうちょっと早く前に出てたらダメージ食らってたかもしれない。誰もあそこまで早く魔法を行使できるとは思ってもいないからな、実際。
『その前に私が殺すわ』
結成時のスノーの言葉がみんなの脳裏に蘇る。確かにスノーなら、リセットを叫ぶ前に殺れるかも知れない。
スノーを怒らすのはやめよう。うん、そうしよう。
しばらく歩き、俺達はエリア4に出た。
少し小高い高台から覗き込むと、おおかたの予想通り、グスターファの群れが居るのがみえる。案の定ボスであるゲノ・グスターファも確認した。
「えっと、小サイが5匹にボスサイか…… ここからだとちょうどボスサイの背後が取れるな」
俺が考えても理想的な位置だ。狩りの基本は奇襲、それも背後を取ることは定石。卑怯でも何でもない。何せ相手は文字通り怪物なんだから。
「ああ、いい位置取りだ。俺の言った通りだろう? スノー、しかけるぜ」
俺の言葉にリッパーがそう反応し、そのままスノーに聞く。
「そうね、このまましかけましょう。まずリッパーとシャドウで先制。ボスサイがコッチ向いたらドンちゃんが魔法弾。その間に先制した二人は小サイを討伐して。少ししたら離れてね、私がタイミングを見て『ギガボルトン』をかけるから。これで小サイは一掃出来るはず。ボスサイも結構なダメージになるはずよ。サンちゃんはとりあえずララに『プロテクション』をかけて保護した後は待機ってトコね」
そう早口に作戦を伝えるスノー。『ギガボルトン』は雷撃系の高位呪文だ。前に俺が使った『ボルトス』の数十倍の威力があり、しかも複数のセラフをその対象に出来る。
続いてサンちゃんの『プロテクション』は一時的に防御力を上げる魔法。魔法攻撃にも対応していて、そのダメージを5割カットする。5割カットしてもララなら確実にデッドだろうが、今回は相手に魔法を行使できるセラフが居ないので関係ない。まあ、防御力を上げたところでダメージをゼロに出来ないと同じなんだけどな、ララの場合。お呪いみたいな感覚で魔法をかけるなんて聞いたことねえよ。
「ミーはどうするね?」
と槍を持って奇妙なリズムを取っているサムが聞く。うっとうしいから跳ねるな。
自分がどう思っているか知らんが、どう見てもサバンナの原住民にしか見えねえぞ、お前。首狩り族のダンスか何かか? それ。
「サムはとりあえずララをガードしておいて。小サイの一撃でも当たればひとたまりもないから」
「オーケー」
「おいララ、あんまり前に出るなよ」
とりあえず忠告。オイオイ、両拳をぶつけてなに気合い入れてんだよ。
「大丈夫だって、みんな心配性ねぇ」
そうかる〜く答えるララ。ホントにわかってるのか、お前。俺何となく胃が痛くなってきたんだけど、仮想世界なのに……
「よし、それじゃみんな、行くわよ」
スノーのかけ声と共に、まず前衛が高台から飛び降りる。普通なら良くて捻挫、悪くて骨折の高さだが、この世界に転送された時点で若干肉体の基本性能がアップしているためその心配はない。
「遅れるなよ、リッパー!」
「へっ、コイてろっ…… あっ、オイ、シャドウ!?」
俺の言葉にそう返しかけたリッパーがおかしな声を上げる。なんだ? と思い振り向くと、飛び出すララが見えた。
「オイっ ララ! 待てコラっ!」
本気で目眩がする。アイツの性格を見誤ってた。「あんまり」じゃなくて「絶対前に出るな」って言えば良かった―――!
全力疾走でボスサイに接近するララ。ちっきしょー間に合わねえって。あいつ狙ってやがったな!
「鉄――拳――― パ―――ンチっ!!」
大声でそう叫びジャンプする。
アホか! そんなでっかい声でさけんだら不意打ちにならんだろうがっ!
当然ララに気付いてコッチを向くボスサイ。かまわず腕をぶんぶん回して飛び込むララ。
ぺちっ!
―――当然だ。何せレベル1だもんよ……
K1選手に小学校低学年がパンチするようなもんさ。当てただけでもたいしたもんだよ。普通なら近寄る前に踏みつぶされてるって。
当たり前だが一向に効いた気配がない。するとゲノ・グスタファーは大きく息を吸い込む。そして次の瞬間、ララめがけて炎を吐いた。
「あ―――――っ!!」
一同唖然。
ララが一瞬にしてチリとなった。
ビジュアル系悪魔マリアこと、モンク・ララ。リアルじゃほぼ無敵の彼女だが……
初戦瞬殺―――っ!!
何やってんだろ…… 俺達。
初めて読んでくださった方、ありがとうございます。
毎度読んでくださる方々、心から感謝しております。
第7話更新いたしました。今回やっと戦闘シーンが出てきたのですが、ララの暴走というオチで初戦終了です。仮想世界なのに胃が痛くなるシャドウには、まだしばらく胃の痛い日々が続きそうです。
さて、この物語は現在第16話まで書きためておりますが、少しづつ修正して投稿しております。ですが、まだまだ修正しきれていない部分があるかもしれません。私も見直しているつもりですが、文や台詞におかしな部分がありましたらご一報下さるとありがたいです。
〈次回予告〉
初戦で瞬殺されたララが再ログインしてくるのを待って、ミーティングに入るチーム・ラグナロクの面々。ララのレベル差を考え、もう少しクエストレベルを下げるか、それともこのままのクエストレベルを維持するかで議論するメンバー達だったが、そこに一つの疑問を投げかけるリッパー。
「何を以て『最強』となるのか」
この疑問に、スノーが出した答えとは? 哀しげな魔女の瞳に、シャドウは何を見る……?
次回 セラフィンゲイン第8話 『目標』 こうご期待!