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セラフィンゲイン  作者: 鋏屋
EP-1 セラフィンゲイン
26/60

第24話 マリアと智哉初めての朝

 そう、何故鬼丸がこの童子切り安綱を俺に託したのか…… あいつは俺に何を望んでいたのだろう。アザゼルとかいうよくわからん因子を持つ人間を『狩る』為の装備。そういう道具であることを鬼丸は知っていた。知っていて尚それを使い続け、自ら『仲間』と呼んだ俺にそれを託した。

 仲間……

 果たしてあいつが俺をそう呼んだのは、俺があいつに感じていた感情と同じ意味だったのだろうか? 自分と同じ因子を持つ人間…… つまり『同族』という意味だったんじゃないのか? 

 同族を狩る…… その行為をあいつはどう感じて使っていたんだ? 

 あの人を虜にさせるような笑顔の奥に、あの少年のような純粋な光に満ちた瞳の奥から、どんな気持ちで俺を見ていたんだ……?


『――――そしていつか、俺を滅ぼす剣となれ……』


 鬼丸……

 アレはどういう意味なんだ?

 スノーが言ったように、本当にアンタの意識がこの世界にあるのなら、教えてくれ…… 俺に何をさせたいんだよ?


 そう考えた瞬間、また頭の中にあの無機質な電子音声が流れてきた。


《目標殲滅確認…… プログラム干渉リミッター復旧……》

《ペインリムーバー機能停止…… 神経伝達抑制解除……》

《痛覚復旧します…… フィードバックショック防御》


その声が終わった瞬間、意識が反転した。一瞬の意識の消失…… そしてその後右手に握った安綱に奪われていた様な感覚の俺の意識が一気に自分の体に戻ってくる感覚に全身が硬直する。脳みそをスプーンぐいぐいと掻き回されている感じだ。脳に電気ショックを食らったらきっとこんな感じかもしれない。

 数秒間の硬直と全身い走る痙攣に苦しんだ後、体の感覚が戻ったと思うと今度は体中の関節に鋭い痛みが走ると同時に重苦しい疲労感と虚脱感に襲われその場に倒れ込んだ。

「うあぁぁぁぁぁ……っ!!」

 自分でも恥ずかしくなるような声が口から漏れる。

 痛て、痛てぇ―――――っ! なんだよこれ―――――っ!?

「シ、シャドウっ!?」

 驚いたようなスノーの声が飛ぶ。先ほどのダメージでそのほとんどのHPを消耗したのか、杖にすがるようによろけながら立ち上がるスノーの姿が視界の端に見える。

「あははっ、 フィードバックだよ。ルシファーモードはその戦闘力を引き出すため同調率を極限まで高めるからね。システムの制御下にある戦闘時ではその殺人的な機動を実現するために恐らく大量の脳内麻薬が分泌されて痛覚をある程度遮断しているんだろうけど、蓄積される負担が消える訳じゃない。普通じゃない量のパルス電圧が行き来したせいで脳が一時的にパニックに陥っているんだよ」

 全身を駆けめぐる痛みで呻く俺を後目にカラカラと笑いながら場違いな声でそう説明するメタトロン。このドM野郎がっ!!

 しかし俺ってばこっちのプログラムに干渉できる人間なんだろ? なのに何でこんなに苦しまなきゃなんねぇんだよっ!!

「さて、色々収穫もあったし、そろそろ帰ろっかな……」

 メタトロンはそう言ってまたフワリと浮き上がった。

「て、てめえっ…… 待て…… コ…… ラ……っ!」

「フフンっ 今の君じゃ勝ち目無いよぉ? つーか満足に動けないじゃん」

 片腕を無くした事など気にもせず、余裕の笑みを浮かべる少女の目が冷たく光る。

 確かに今の俺じゃどうにもならん。悔しいけど……

「それにさ、聞きたいことは本人に聞けば? どうせ来るんでしょ? 聖櫃に……」

「やっぱり鬼丸は…… お兄様はまだあそこに……!?」

 すがるようなスノーの声が痛みで声も出ない俺の質問を代弁する。鬼丸は…… いや鬼丸の意識は、やはりスノーの推測通り、まだこの世界に残留しているのか!?

「うん、居る…… と言うか、彼の意識はこのセラフィンゲインの…… 聖櫃にある」

 メタトロンはハッキリとそう断言した。

「でも、そこにたどり着くには試練を乗り越えなければならない…… 君たち全員の意志の元に…… それがこの世界のルール」

「ル、ルール?」

「そう、ルールだ。僕はこの世界に挑む者達に常に最大限の要求をする。君たちから見れば偽りの世界…… 虚構の世界…… だがそこに『可能性』という真実を探し求める探求者に試練を与える者。人を試みる…… それが我が存在意義」

 不意にメタトロンの声音が変わり、やつの背中にチリチリと細かな光が収束していく。

「故に我は問う、この広大なフロンティアで、ひとかけらの『真実』という可能性を探し求める者か? と…… 今までも、そしてこれからも……」

 歌うように紡ぐメタトロンの言葉に呼応して背中の光が収束し、何枚もの純白の翼が姿を現す。その光は高い聖堂の天井に描かれた天使の姿を浮かび上がらせ、その中央に浮かぶ片腕の少女にひれ伏しているかのように見える。

 『天使の王』メタトロン……

 神の代理人の称号を持つその名前を冠したこの仮想世界を支配する人工知能…… 造られた天使……

「勇気を示せ! 挑め! そして求めよ! それがこの世界に挑む為の条件だ。有限の中に無限を読み、虚構の中に有を探す…… さあ、探求者達よ…… その持てる力と知恵と意志、そして最大限の勇気を持って挑んでくるがいい!!」

 そう高らかに宣言し、少女の姿をしたメタトロンは霞のように空中で霧散していくその姿が消えるのが早いか、俺の意識はゆっくりと深い闇に墜ちていった……

  

☆ ☆ ☆ ☆ 


 頭の中で銅鑼が鳴っている……

 がぁぁん…… がぁぁん……

 目の前に広がる風景はウサギの巣の地下の接続室に続く廊下だったり、誰もいない大学の学食ロビーだったり、沢庵だったりする…… 銅鑼が鳴るたびにその風景が変わり、まるでできの悪い8mm映画を巻き戻して何度も見せられている様な感覚になる。

 僕は場面が変わるたびに「誰か居ないかー!」と大声を上げるが返事はなく、さまよい歩き始めるとまたあの馬鹿げた銅鑼が鳴り、場面が切り替わる。

 そんなことを何度か繰り返しているうちに、僕はこれが夢なんだと気づいた。

 夢の中で僕は、安綱の握りに違和感を感じてイライラしたり、腰のポーチに本来仕舞ってあるはずの携帯がない事に気づいて焦ったり、ショップで体力回復のアイテムを何個買ったかを必至に思い出そうとしていた。

 そうして何度目かの場面の転送を繰り返し、ふといつの間にか大理石敷き詰めた大きな長いトンネルの床に立っている自分に気が付いた。

 このトンネルには見覚えがあった。

 ここは1年半前、僕が最後に鬼丸を見た場所…… クエストNo.66『マビノの聖櫃』に続く古代遺跡の通路に間違いなかった。

 不意に背後から強烈な殺気を感じ、僕は手にした安綱を構えて振り返った。

 目前に迫った白刃をかろうじて受けると、妙に澄んだ音を響かせ、鼻先数センチの距離で狂気の刃が止まった。

 僕はその刃の先を睨み、愕然とする。

 血のように赤い深紅の鎧を纏い、不適に笑う鬼丸の顔がそこにあったからだ。

 僕は「鬼丸っ!」と叫ぶが、鬼丸の耳にはその声が届いていないのか、全く返答をしないまま、2撃、3撃と攻撃してくる。

 僕はそれをかろうじて受けつつ後退する。

 夢であるはずなのに妙にリアルに伝わる斬撃の衝撃と、ひりひりと皮膚を圧迫する炎のような殺気に当てられ、僕は慌てた。その際、足下に転がっている小石に足を取られ思わずバランスを崩してしまった。

 そんな隙を鬼丸が見逃すわけはなく、鬼丸は渾身の斬撃を繰り出した。

 肩口に食い込む鬼丸の刃が妙に冷たく感じるのを不思議に思いながら、僕と鬼丸はもつれるように倒れ込んだ。

 床に背中がたたきつけられ、一瞬息が詰まる。鬼丸は僕に体を預けながら覆い被さるように倒れ込んだ瞬間、僕は目をつぶった。

 時間にして数秒……

 体にもたれかかる鬼丸はピクリともしないのを不思議に思い、僕は目を開けた。

 僕に覆い被さった赤い鬼丸の鎧の背中から、黒い安綱の刃が生えてるのが見えた。そして安綱を握る右手の指に、ぬるりとした感触を感じ、慌てて手を放す。

 鬼丸の脇の下から自分の手を持ち上げ見ると、装備した黒い皮のグローブが何かで濡れ、さらにその黒さを際だたせていた。

 僕は勢いよく鬼丸の体を持ち上げ「鬼丸っ!?」と、何度目になるかわからない名前を叫び鬼丸の顔を見た。


 ――――!!


 その瞬間、僕は言葉を失った……

 その顔は、紛れもなく僕の顔だった。

 何かとてつもなく辛いことがあったように、その僕の顔は苦痛に歪み、生気の失ったその目が僕を見つめていた。

 その目を見た瞬間、喩えようもない恐怖が全身を這い回り、僕は絶叫した!!

 その瞬間、僕はその絶叫と共に自分の部屋のベッドで目を覚ました……


☆ ☆ ☆ ☆


 目を開けると見慣れたいつもの自分の部屋の天井が見えたのに少し安心した僕は「ふうぅ」と深いため息を吐いた。良かった…… これは夢じゃなさそうだ。

 それにしても嫌な夢を見た…… たぶん昨日のあのわけのわからん戦闘のせいだ…… いや全くエライ目にあったなぁ。

 痛てててっ――――!

 体を起こそうとして腰に力を入れた瞬間、全身に痛みが走った。体中の関節が力を込めるたびに悲鳴の大合唱! もうね痛くないところ探す方が難しいって感じ。

 あまりの痛さにいったん力を抜き、もう一度枕に頭を戻す。

 これってアレかな? 昨日の戦闘のフィードバックかな? そういやフィードバックがキツイってあのメタトロンが言ってた気がする。これまでにも何度か腕だの足だの腫れ上がったことはあるけどここまで酷いのは初めてだよまじで。そんだけ昨日の戦闘が異常だったって事か…… しかしこんな状態で良く部屋までたどり着いたモンだよまったく……

 でも、こんなコトしてる場合じゃない。ただでさえ単位が足りないんだよ僕はっ! もう一日もスルー出来ないトコまで追いつめられているんだ! 這ってでも行かないと留年するのは確実なんだよー!!

 そう思って無理矢理体を引き起こそうと布団の中で手を付いた瞬間……


―――ムニュっ!


 なんか妙に柔らかくて暖かい物体を感知した右手…… なんだ?

「ううぅん……」

 ――――? なんだ今の……?

 とりあえず眼鏡、眼鏡とお約束の往年のやすし師匠のネタを一人で繰り広げ布団をオープン……


 ―――――――――――――――――――!!!!!!!!?


 この瞬間、僕の思考は太陽系を越え、銀河の彼方『椅子感樽?』へ…… あわわわわぁぁぁ!

「……まったく、何よ朝っぱらから五月蠅いわねぇ……」


 ビ、ビ、ビジュアル系悪魔、マ、マママ、マリア様降臨(下着バージョン)っっっ!!!


「お、お、お、おおお、おま、おまま……っ!?」

 ダメだっ! ダメダメっ! 無理無理無理―――っ! 言語が、いや、声が…… いやいや、それ以前に呼吸が出来ない!! だからスマ―――ンっ! 電波で感じ取ってくれっ!!


 何やっとんじゃおまえはぁぁぁぁ――――――――――!!!!!?


「寝言で『鬼丸ぅ! 鬼丸ぅ!』って叫んでたら今度はいきなり絶叫し出して…… それが終わったら勝手に人の乳揉んでまた絶叫? 勘弁してよね」

 そう言って「ふあぁ」と欠伸をする下着姿のビジュアル系悪魔…… ダメだっ! 全く思考が追いつかないっ! 僕ってまだ夢見てるのかっ!? 

 夢なら覚めないでくれ――――っ! って普通なら思うトコだけど、コイツの場合は夢でも金取るって間違いなく――――っ!!

 驚愕の表情のまま壁にへばりつきフリーズしている僕を見て、ふと何を思ったのかマリアはにんまりと笑い、急にシナを作り枕に頭を預けて布団でその少々大きめの胸を隠す。

「昨日は…… 激しかった……… ね♪」


 ブチン


 そのマリアの言葉を聞いた瞬間、僕の頭の中で何かが切れました……

「えっ!? ちょ、ちょっと待って、冗談よ冗談っ!! あんた何もう一回寝てんのよっ! オイっ! こらぁっ! カゲチカっ!! 待てコラっ……!!」

 そんなマリアの声をBGMに、ビシバシ叩かれる両頬の痛みも空しく、僕の意識は再び暗い穴の中に墜ちていく。

 あはっ、アハハ…… お花、お花がさいてるよ……♪


☆ ☆ ☆ ☆ 


「ちょーっと童貞君には…… (ゴシゴシ)刺激が…… (ゴシゴシ)強すぎちゃったかなぁ~…… (ゴシゴシ)」

 洗面所からマリアが歯を磨きながらそう言う声が聞こえる中、僕は朦朧とした意識の中、とりあえず着替えてベッド横のテーブルの上にある奇妙な物体と対峙していた。

 普通に『出血死するんじゃね?』ってぐらいの鼻血を出したせいか若干貧血気味。二次元以外の女の子の下着姿など、確実に生で見たことない童貞ヲタ野郎には、いきなりのマリアの生ランジェリーは刺激が強いを通り越して、もはや体に毒でしかない事がよくわかりました……

 マリアが自分の歯ブラシをいつ用意したのかまるで検討が付かない。つーか昨日メタトロンが消えてからの記憶が全くないことに今更ながら気が付いた僕も僕ですけど……

 未だ全く思考が追いつかない。ここ僕の部屋だよねまじで?

 そう思いながらテーブルの上の物体を眺める。

 かろうじて耳が付いていることからこれが食パンだという判断が付き、そこから導き出される回答を吟味すると、これが食べ物だと言うことは何となく推理できる。

 しかし、その間に挟まった物が僕の理解を遙か斜め上を行く姿形をしていて、それがこの物体が「果たして本当に食べ物だろうか?」という不信と猜疑を増幅し、さっきから本能的に手に取ることをためらっている。

 記憶では、僕の部屋の冷蔵庫には卵とハムと牛乳しか入っていないハズなんだけど、この微妙に焦げアトの付いた食パンに挟んである物は、そのどれとも一致しない。あの食材を使って何を創造したんだこの悪魔は?

「あ、あ、あの…… ま、ま、マリア…… こ、こ、ここ、これって……」

 とりあえず恐る恐る聞いてみることに。

「ああ…… (グジュグジュ…… ガラガラ~ ぺっ!) あたし特製のハムエッグトーストサンド。見た目は悪いけど味は…… まあ、食べれると思うから」

 オイっ! 少なくてもそこは「味は保証する」とかって台詞にしてくれよ頼むから……

 つーかハムと卵かよっ、これ!?

 いったいどう調理したらこうなるんだ? ある意味すげぇ 手品みたいだよまじで!?

「横須賀のベースじゃ割とメジャーな料理よ…… それ……?」

 うそつけー! しかもなんだ今の微妙な間と最後の『?』はっ!!

 そもそも何が『あたし特製』だっ!! 絶対名前の尻に『悪魔風』とか『魔界風』とか付くだろコレっ!!

「しかしカゲチカってラッキーね。こんな可愛い女の子が下着姿で添い寝してくれて、あまつさえ手料理の朝ご飯まで作ってくれるんだから。今日で運使い果たしちゃったかもよ~」

 ドライヤーの稼働音に乗って、弾むような声のマリアの言葉が聞こえてくる。

 何が運だよ、呪いの間違いだろ……

「昨日は大変だったんだから。あたしは瀕死だったから良く憶えて無かったんだけどぉ、あんたあのキングコング倒して気を失っちゃったんだって。ウサギの巣出た後もなんか朦朧としちゃってさ…… 仕方ないからタクシーでここまで連れてきたやったの。感謝しなさいよ~」

 まじですか!? 1キロバイトも憶えてないんだすけど……

「そんで~ あたしも帰ろうと思ったら終電もうなくってさぁ…… 仕方ないからここに止まったって訳。みんな心配したけど、どうせあんた、どうひっくりがえっても女の子襲う勇気なんてあるわけないしさぁ…… それにスノーから聞いたら、なんかあんた、あたしを必至こいて助けたって言うじゃない? だからお礼に添い寝してあげたのよん♪」

 ジーザスっっっ! なんで記憶にないんだよっ!! ボクノバカバカバカ――――っ!!

「これでアンタへの貸しはチャラね~♪ 乳揉みは想定外だったけど…… まあ特別サービスって事にしといてあげる」

 ……やられた。それもまんまと……!! 

 くそ~っ! かろうじて残ってるのは先ほどのブラ越しの乳の感触のみ…… ああぁ…… 詐欺だよこれ、確実に。

 思いっきり自分を呪いながらテーブルを眺める。滲んだ涙に歪む視界にぼんやり映る皿に載ったマリア自称『食べ物』と言う物体……

 あのさ、添い寝は別にしても…… この朝食は拷問に近い。俺に死ねと……?

 まあ、少しでも食べないと後が怖そうなので一口だけかじってみることに……


 がりっ!!


 『香ばしい』を遙かに通り越してもはや炭化しているような卵焼きと思われる物体にかじりついた瞬間、確実に卵ではない食感が前歯に伝わり、恐る恐るそれを舌で確認する。

 甘い……

 あいつ…… 卵焼きに角砂糖使いやがった……っ!!

「どう? おいしい?」

 洗面所からひょいと顔を出しそう聞くマリア。その表情っ! 確かに可愛いんだけどさ……っ!?

 今の質問でハッキリした。コイツ自分で食ってないよたぶん…… 頼むから味見してくれっ!!

 下を向きながら涙を堪えて口の中の物を嚥下する僕をどう見たのか、マリアは「ふふっ♪」と笑いながらまた洗面所に引っ込んだ。

「さっさと食べちゃいなよ~ じゃないと遅刻だからね~」

 ダメだ、コレは拷問なんてレベルじゃない。死刑執行だ……! 

 ああぁっ! 光が見えるよ、ママン……

 ほとんど丸飲みで僕はその残りを胃の中に落とした。コレで寿命が半年は短くなったな、きっと……

「マ、マ、ママ、マリアは、た、た、たた食べべ、べ、ないのか?」

 とりあえずそう聞くと、スゲー答えが返ってきた。

「えっ? ああ…… あたしは駅前でターキーサンド食べるから気にしないで~」

 お、お、お前ってやつはぁぁぁぁ!! 人にこんな物体Xを人に食わしておいて自分だけ……っ!?

 心の中で、僕は栗毛の悪魔にそう呪いの言葉を吐いた。

初めて読んでくださった方、ありがとうございます。

毎度読んでくださる方々、心から感謝しております。

第24話更新いたしました。

久々の現実サイドですが、なんかホント久しぶりなので書いてる方も新鮮で楽しかったり…… バルンガモーフ戦で頑張ったと同時に、少し調子に乗った感がある智哉に『飴と鞭』を与えてみましたw しつけは厳しくしないとねw

でもやっぱり羨ましいなぁなんて……

さて、鬼丸が聖櫃で待っていることが確定したので、現実側でもう少し話をつけてから最後の決戦へと持っていくつもりです(いやワカランケド――オイ!)

無事完結できるか、誰より自分が一番心配な鋏屋に愛の手をっ!! マテコラ

鋏屋でした。


次回予告

戦闘のフィードバックで心身共にボロボロなうえ、マリアに追い打ちを掛けられ疲労困憊の智哉は、痛い体を引きずって抗議を受ける。そしていつもの学食で昼食に行くと、またまた雪乃を伴ったマリアに遭遇。3人で仲良く昼食のハズが、マリアのよけいなおしゃべりでとんでもないことに……


次回セラフィンゲイン第25話 『泣きキャラ』 こうご期待!

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