高校2年生、秋(ソラ)
女の子たちから、可愛いと言われることがある。
愛玩動物にでも、なった気分。
僕は、彼女たちから愛でられている。
愛でるって言葉は、ちょっと壁を感じる。
そう思うのは、僕だけかも。
遠くから、見ているような。
他人の距離で。
安全な場所から。
花みたいに。野良猫みたいに。
愛でられている。
僕は僕のまま、ぽつんとそこにいる。
遠くから、彼女たちは僕に触れる。
無遠慮に、触れる。
頭に。顔に。身体に。
いつもと違う手。アマネちゃんとは、違う手。
それらは、違和感を運んできて。
これは、アマネちゃんじゃ、ない。
少しづつ溜まっていく違和感は、僕の心に染みを作る。
そうなってしまうと、僕はアマネちゃんに会いに行く。
染みに覆いつくされてしまう前に。
アマネちゃんの、手を握る。
アマネちゃんが握り返してくれるから、全て溶けて消えていく。
まっさらに。
ふわりと。
こんなとき、アマネちゃんは、僕の頭をなでてくる。
とても、優しく。
愛でるのではなく、慈しんで。
もつれた心を、解くみたいに。
繋いだ手は、そのままに。
自然に、僕は笑う。
アマネちゃんも、笑う。
ちょっと鬱屈しているソラ。これはこれで通常営業。
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(一部わざと言葉を崩しています)






