神様のご慈悲
初めての投稿ですのでご了承を。
更新ペースは1~3日だと思います。
『今日午前二時ごろに、○○県△△市で大型トラックが不慮の事故を―――』
ブチッ
「・・・ニュースとか興味ないし」
マンションの一角、必要最低限の家具だけが置かれた殺風景な部屋。ここが私、大橋咲良の部屋だ。
さきほど、目が覚めたのでテレビを観ようとしたが、ニュースしかやっていない。録画などはできないテレビだから、アニメも観れない。
寝起きのためいつもよりイライラするのを抑えながら、気分転換に散歩でもしようとドアノブに手をかける。
「配達でーす」
向こうから声がしたので、慌ててドアを開ける。が、そこには誰もいなかった。
「こちらにハンコくださーい」
・・・どうやら隣の部屋だったようだ。勘違いをしたおかげで、余計にストレスが溜まった。
スリッパのままだったので、サンダルに履き替えてから外へ出る。息を吐けば白い。もうそんな季節か。
そこそこ都会の場所だからか、パジャマにサンダルという恰好を見てすれ違う人々は私のことを二度見してくる。
まぁ、普通に考えれば当たり前のことなのだが、先ほどの事でかなりストレスが溜まっていた私は、その視線に耐えられなかった。
赤になった信号機を無視して、道路に飛び出てしまった。その一瞬、正気を取り戻したからか、無意識に脚を後ろに下げた。
その下げた脚は、走っていた車に見事にぶち当たり、骨が折れたのか動くことができなくなってしまった。手で何とか這い出そうとするも、上半身を引っ張るたびに激痛が脚から伝わってくる。
倒れている私に気づかないのか、私に向かってトラックが向かってくる。
―――最期に見たのは、悲鳴を上げながらも私を助けようとしない、人間だった。
と、シリアス全開で生涯を閉じた私咲良。なぜか今、ものすごいナイスバディで美人なお姉さんと向き合ってます。
「咲良さん、ですよね?」
「あ、はい」
思っていたよりずっと高かった、ソプラノの声が響いた。
というかごめんなさい、お姉さん。私はいつ貴方に名前を教えた。身に覚えがないぞ。
「いきなりですみません、ワタシは、あなたの世界でいう天使という者です」
あっ神じゃないのね。羽は?そうですか大空に飛び立ちましたか。まぁ天使ってことはきっとこの後ここが貴方の楽園ですー、とかなんとか言われて天国へ行くんだろうな、
「実は咲良さん、貴方に一つだけチャンスがあるんです」
えー、予想の斜め上ー。まじー?
「まじですかー」
「嘘ではありませんよ」
「・・・えぇ!!?チャンス!?」
いきなりすぎて、脳が働かない。今はただチャンス、ということだけが頭で回っている。
「あ、えーと、チャンスとは?」
「そのことなんですが・・・咲良さん、二次元って興味ありますか?」
苦笑いをしながら、そう言う天使。
「ありますあります!で、それが何か?」
自分の好きなものは、アニメだとハッキリ言える。ねぇそんな哀れんだ目で見ないで。お願い。
「この世界ではもう生き返ることは不可能ですが、別の世界の住民としてなら、生き返ることが可能なのです」
軽く言わないで天使様。それは私にとっては財宝なんかより重要なことだから。
「出来るんですか!出来るなら今すぐにでも生き返りたいで「ただし!条件があります!」
「・・・条件?」
ただじゃないの?それこそ小説とかでは神が間違えてしまったとかでチートにしてくれるんじゃないの?
「まず、このようなケースは、大変珍しいことです。貴方の場合、神が哀れんでくれたからこそできることなのです」
「なんで、神様が?」
「神は、貴方が死ぬ直前、偶然にも貴方の女子力の無さを見てしまいました。そして、神はおっしゃいました。『この少女に、もう一度女子としてのマナーを知ってほしい』と。だから、こうして生き返ることが可能になったのです」
失礼だな、神様ったら。女子力なんて無くても生きていけますわよ。
「それと、その条件に、なんの関係が?」
一番気になるのはここだ。さっきの話は何だったのか。
「先ほど言った通り、神は『女子としてのマナーを知ってほしい』からなのです」
女子としてのマナー・・・まさか!?
「つまり、女子力を上げろ、ということです」
「い、いやいやいや!!!無理無理ぃっ!!!」
「では、いってらっしゃいませ」
天使がそう言った刹那、ふわっと体が浮かんだ。
どうやら大橋咲良、人生二度目?を迎えるそうです。
「・・・あ、家政婦になって、と言うのを忘れていました。まぁ、手紙でも届けさせれば良いか」