準備完了
数日後。
学校が終わってから。
久しぶりに彩は俺の部屋に来ていた。
先ほどまで裸だった俺たちは服を着始める。
そう、アレをしていた。
恋人同士が裸でするアレだ。
つまり交わっていた。
「宗司。久しぶりにしたね」
「夏休みの宿題が長引いて会えなかったからな」
「もう、すっごい激しかったなぁ~。あたし、腰が砕けちゃうかと思ったよー」
「それだけ彩が魅力的なんだよ」
激しく交わったのは本当だが。
理由は嘘だ。
本当は彩としていると・・・
彩と一条のシーンを思い出して激しくムカついてきた。
だから荒々しく攻める事にしたのだ。
ストレス発散だ。
ストレスを貯める行為をして、ストレスを発散する。
なんだかとても無駄な行為の様な気がしなくもない。
「お尻叩くんだもん、ビックリ。跡ついちゃったかも~」
彩は自分のお尻を見ようと首を回している。
ヒョコヒョコ後ろを見ている姿は、雛みたいで可愛かったけど。
復讐相手なので、可愛いと思った自分を罰っした。
すぐに「かわいくない、かわいくない。彩は悪魔だ!」と心で念じた。
「悪い、つい調子にのった」
そうそう。
俺は調子にのっちゃうぐらい、イラついていたのだ。
どさくさに紛れて彩のお尻を叩くとスッキリした。
黒髪ポニーテールを掴みながら、後ろから犯し。
彩のプリッとしたお尻を叩くのは最高のストレス発散だった。
パチンッ!とよく音が響いて。
とても爽快な気分だった。
ゲームセンターの太鼓の達人の様に。
ドカドカ叩いてやろうと思ったぐらいだ。
「ねぇ、久しぶりの、そんなに良かったのぉ?」
「勿論。彩は特別だからな。誰も彩には適わないよ」
「嬉しいな~あたしのこと、そんなに欲しいんだぁ~」
ニコニコ顔の彩。
ふざけて抱きついてくる。
女性特有の、柔らかい体の感触。
彩の体は汗でしっとりとしており、さらに弾力を増している。
そのため、裸で抱き合うと密着感が高い。
前まではこういうじゃれあい。
性行為も、その後の触れ合いも楽しかったが・・・
今は勘弁して欲しかった。
はっきりいって苦痛だ。
彩と一緒にいるだけで不快な気分になる。
別に男だって、SEXすれば気持ちいい訳じゃない。
というよりも、体感的な快楽はそれ程でもない。
快楽だけが欲しいのなら、一人で処理した方が良いだろう。
SEXでは寧ろ精神的満足感の方が大事なのだと。
俺は今日強く悟った。
なので。
さっきの性行為も全くといって気乗りせず。
塩プレイだったので。
大半は業務的にささっとすませようとしたのだが。
あまりにストレスが溜まったので。
荒々しくせめてスッキリすることにした。
それに本当は。
こうやって抱きつかれるだけでも背筋がぞわっとする。
今すぐ離れたい。
彼女を投げ飛ばしたい。
背負い投げでしてベッドに叩き付けたい。
一本取りたい。
まるで悪霊にでも取り付かれている気分だから。
しかし我慢する。
今は彼女と仲良くする必要があるから。
ここは大人の対応をしなければならないから。
復讐計画のためには必要だった。
でも・・・
まさか・・・・
まさかな・・・
考えてみると。
まさかこんな風に感じる日が来るとは思わなかった。
彩とエッチな事をして。
不快な気分になるとは思ってもみなかったのだ。
俺がたそがれていると。
「ねぇ、宗司。欲しいものを手に入れるにはどうすればいいか、知ってる?しーってる?」
甘えモードの彩が抱きつきながら。
これまた面倒臭い質問をしてきた。
「知らない」
「えー。ちゃんと考えてよ~」
うーん。
そうだなー。
じゃあ。
「目的のために努力するんじゃないか。高い物買いたいならお金貯めるとか」
「ブブー。ハズレー。宗司はダメダメだね~」
彩がほっぺをつんつんしてくる。
フグの様に頬を膨らませて対抗する。
「答えはなにかな?」
「えーっとね。教えて欲しい?」
全然どうでもいいけど。
ここは聞いておいた方が良いと思った。
本当のこと「どうでもいい」というと、面倒なことになりそうだから。
「とても知りたいな。すっごく教えて欲しい」
「じゃあ、教えてあげるね」
「よろしく、彩先生」
「欲しいものを手に入れるには、自分で動いちゃダメなんだよ」
「?」
「はい、終わり。多分、宗司には分からないよ」
うん。
よく分からない。
彩は時々よく分からない事いうからな。
女の子は皆そうなのかもしれないけど。
多分、気分で適当な事いってるんだろう。
「あっ。宗司、外見て。スズメが窓の淵に乗って遊んでるよ」
彩がパッと離れて。
窓による。
スズメがチョコチョコ動いているのを楽しそうに眺めている。
俺は彼女の後姿を見て。
なんともいえない気分になった。
その後。
数日間。
俺はクローンiphoneで彩のLINEを監視しながら。
彩と一条の関係を探っていき。
証拠映像を集めていった。
どんどん胸糞動画が集まったが。
俺は粛々とデータを整理していった。
心を閉じて対応したのだ。
気分は夫の浮気を探る妻だ。
俺の彼女の彩と、元親友の一条を撮っていると思うのではなく。
動物を撮っていると思うことにしたのだ。
サバンナのライオンや像を撮る。
動物ドキュメンタリーだと思えば楽しかった。
又。
クラスメイトに対する工作も地道に続ける。
田中君には、彩がどんだけ田中君を好いているかを伝えた。
二人が上手く行くように、何気なく伝えた。
そのために図書館に通い、読みもしない本をたくさん借りた。
表面的には、俺は読書家だ。
図書館に張ってある。
本をいっぱい借りた人ランキングに名前が載る日も近いかもしれない。
有村さんにも同じ対応だ。
一条を意識させる事を続けた。
何故か有村さんと仲良くなって、メル友のような関係になってしまったが。
妙な関係にならないように、穏便に対応した。
面と向うとちょっとギャルで怖い有村さんだが。
LINEでは中々かわいかったし、スタンプを大量に送られた。
女の子は意味無くハートスタンプを送ってくることがあるけど。
さすがにちょっと数が多いんじゃないかと思い。
少し引いた。
そんな感じで。
二人には、彩と一条を意識してもらわなければいけなかったから。
俺は接触を続けた。
そうして。
とうとう準備が整った。
復讐計画の準備はほぼ整ったのだ。
終焉の日は近づいていたのだ。
後はタイミングを見計らい。
スイッチを押すだけだった。
そして。
まもなくその時も訪れた。
最適な条件が揃った。
俺は夜。
パソコンの前に座り。
画面を眺める。
最後の準備となる工作をするのだ。
俺はそっと。
キーボードをクリックした。
パソコンの画面では、メールが一斉送信された。
時限式のメールがクラスメイト全員に送られた。
ふふっ。
時は来た。
運命は満ちたのだ。
明日。
公開処刑だ。
愚か者どもは地獄に落ちるであろう。
俺は不適に笑った。
明日。
復讐発動~。
公開処刑します。
又、同時連載しておりました。
「ビューティフルざまぁ」無事完結しました。
宜しければ、ご覧下さい。
※メモ/日間総合6位 日間恋愛(現代)1位