悪魔のささやき
これまでの話数。
修正&加筆しました。
1000文字程増えております。
次の日。
学校の図書館。
俺は一人の男子生徒に声をかける。
クラスメイトだ。
「田中君、何読んでるの?」
「沖田君。ただの小説だよ。昔の奴」
「そうなんだ。俺は字が苦手なんだ。特に昔の奴はよく分からなくて」
「僕も古いのは苦手だけど、ダンダンとなれてきたんだ」
「さすが田中君。図書委員だけのことはあるね」
「ははは」
「それでだけど、本ってどうやって借りるのかな?実はまだ一度も利用した事ないんだ」
「えっとね。あそこで貸し出し手続きするんだ。
貸し出しカードに名前書いて、担当に人に渡すと良いよ。
でも・・・・今は人がいないみたいだから、僕がやってあげるよ」
「ありがとう」
俺は適当に取った本を田中君に渡し。
貸し出し手続きをした。
「そういえば、田中君。内のクラスの掘北さんって知ってるかな?」
「え・・・うん。知ってるよ」
田中君がちょっともじもじする。
やはりか・・・
俺は田中君が俺の浮気彼女、彩に惚れていることを察知していた。
男子同士なら、誰が誰に興味があるかは見ていて分かる。
「実は掘北、いや、彩とは幼馴染なんだ」
「うん。その・・・付き合ってるって噂聞いたけど」
「形式上はね。ほらっ、幼馴染ってよく誤解されるんだよ。普通の女の子より仲が良いから」
「そうなんだ・・・」
「実はここだけの話なんだけど。彩、田中君のことが好きみたいなんだ」
「え!?」
顔が硬直する田中君。
時が止まった彼。
まったく。
分かりやすいな。
彩の事を好きと態度で示しているのも同然だ。
「俺は幼馴染だから分かるんだよ。そういうのは。その・・・田中君は彩のことどう思ってるのかな?」
「それは・・・その・・・」
もじもじとする田中君。
心の中では「好き」だと叫んでいるが、面と向ってはいえないのだろう。
「彩は優等生で近寄りがたい所あるからね。
でも、田中君となら上手く行くと思うんだよ。どうかな?」
「・・・うん。どうだろう・・・」
田中君はどっちつかずの態度だ。
だが、これで良い。
最初から押しすぎない方が良い。
まずはゆっくり浸透させていく。
「田中君、この話は秘密に頼むね。彩に知られると面倒だから」
「分かった」
俺は図書室を後にした。
ふふっ。
第一のエサはまいた。
彩は見た目がよく、優等生で黒髪ポニーテールだからな。
胸もそこそこ大きく、男子受けは良い。
特に黒髪ポニーテールだと、一般的男子高校生からの受けは20%UPする。
因みに優等生だと5%UPだ。
俺の分析では。
だからエサを撒く対象にも困らなかったが。
あえて田中君を選ばせて貰った。
一番行動が予測しやすい人物で、目的にあった人物を選んだ。
物静かで慎重なタイプ。
自己主張が弱く、ためこみやすいタイプだ。
さてと。
成り行きで本を借りたが・・・
きっと読まないだろうな。
さくっと鞄の中にしまう。
ではっ。
次行きますか。
俺は放課後の校内を移動する。