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刀剣演舞6

 再び現代。

 150年後。

 2016年、冬。


 試衛館高校。

 炎上する武道場。

 燃える校舎の中。

 

 炎の圧力が肌をさすり、黒煙が辺りを包み込む。

 焼きつくような炎の圧力と、全てを多い尽くすような黒煙が支配する中。


 試衛館高校2年。

 沖田宗司は刀を握り、相手に対峙する。

 人を殺す事が出来る日本刀を持ち。 

 新撰組、一番隊隊長、沖田総司が使っていた刀。

 『菊一文字』を持ちながら。

 相手と対峙するのだ。



 今。

 目の前では。

 仮面の人物が刀を持ち、こちらを殺す気でいる。

 鋭い日本刀が俺に向けられている。

 まがまがしいオーラを放つ刀をこちらにむけている。

 人を射抜かんばかりの鋭い眼光で、俺を睨んでいる。

 

 それに。

 危険にさらされているのは、俺の命だけではない。

 俺の大事な人。

 彩の命まで賭けられているのだ。

 

 彼女は腕をナイフで切られ。

 椅子にしばりつけられている。 

 このまま放置すれば、焼け死ぬのは必須だ。




 俺に訪れた絶対に負けられない戦い。

 負けることが許されない戦い。

 敗者に訪れるのは、「死」あるのみ。

 大切な人一人すら守れない。




 目の前から放たれる殺気を受け、神経が高ぶる。



 絶対に負けられない。

 少しの油断もできない。

 後はないのだから。


 剣の真剣勝負は、命の賭けあい。

 つまり殺し合い。


 漠然と憧れていたことだけど。

 その意味を。

 その真の意味を。


 俺は初めて実感するのであった。

 


 仮面の人物が動く。

 相手の刀が迫り、俺の戦いが始まった。

 命を賭けた殺し合いが、今始まったのだ。












「うおおおおおおおおおっー!」


 俺は叫んだ。

 体中に溢れる力を発散するように。

 自分の力を確認するように。


「沖田君、叫んだところで何も変わらない。決めます」


 ザザッ


 相手が消えたと思った。

 仮面の者が消えたと思った。

 これまでだと、そう思っただろう。

 

 だが、今の俺は違う。

 相手の動きが見えていた。

 ついさっき流れ込んできた沖田総司の記憶。


 彼の動きに比べれば。

 今の目の前の者の動きはスロー再生だ。

 

 つまり・・・・遅いっ!


 カキンッ


 俺は相手の斬撃を受け止める。


「何っ!?」


 相手は驚愕している。

 初めて聞いた、相手の焦る声。


 俺は刀を弾き飛ばし。

 仮面の人物を斬る。


 ズバッ


 相手の服が切り裂かれる。

 今の俺の斬撃は早かった。

 自分でも異常に体が軽いのだ。


 思考したとおりに体が動く。

 思っただけで、体が勝手に動くのだ。

 まるで記憶の人物。

 新撰組一番隊隊長、沖田総司の様に。


「なっ、一体どうなっている?さっきまでとはまるで別人・・・・

 それにその刀さばき・・・・まさか・・・」


「これが本来の俺だっ!」

「あっ、ありえない・・・・」


 ズバッ

 さらに相手を切り裂く。


「ぐっ!」


 仮面は俺から距離を取る。

 こちらを注意深く観察している。

 仮面で表情は隠れているが、かなり焦っているのが伝わってくる。



 俺は力に満ちていた。

 今なら誰にも負けないと思っていた。

 目の前の奴に勝てると確信していた。 



 そして・・・



 トン トン トン

 俺は軽くステップを踏む。

 記憶の中で、沖田総司がやっていたように。

 軽くジャンプする。

 地面の感触を確かめる。

 重力移動をかみしめるのだ。



「ま、まさか・・・その動き・・・馬鹿な・・・まさか君は・・・・

 

            ―――本物の沖田総司!?」


 

 ザザッ


 俺は落ちていく重力。

 ジャンプして落下する力を全て速度に帰る。

 頭で考えるのではなく、体に、魂に。

 刀に動きを任せる。


 ジューン

 バシュ


「ぐはっ!」


 俺は仮面の腹を切り裂いた。

 盛大に血が吹き飛ぶ。

 仮面の人物は、ぐっと体勢を揺らす。



 だが。

 相手も足を動かす。

 縮むを繰り出す。 


 ザザッ

 再び高速で動き出す。

 高速の戦闘が始まったのだ。









 掘北彩は、燃える武道場の中。

 椅子に縛られて猿轡をかまされながらも。

 多くの血を失って薄れいく意識の中で。

 沖田と仮面が戦う姿を見ていた。

 

(なにこれっ、凄いスピード。

 宗司・・・凄い、凄いよー、宗司。

 あたしには、全然何も見えないのに。

 何が起こっているのか・・・全然見えないのに。 

 宗司・・・・凄いっ!)


 カキンッ カキンッ


 彩の耳には、金属音が響くのみ。

 時折血が飛び、甲高い金属音が響くのみ。

 二人の姿は見えない。


 でも、目の前で戦いが起こっているのは分かる。

 ぶつかり合う闘志。

 時折聞こえる足音。

 肉が切れる音。


 彩は薄れ行く意識の中で。 

 確かに死闘を見ていたのだった。

  

(宗司、頑張って・・・)


 彼女は沖田の勝利を願った。


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