刀剣演舞2
掘北彩は椅子に縛り付けられていた。
前の前にはWEBカメラ。
こちらをじっと写されているのを感じる。
少し前に私の拉致した者は姿を消した。
扉の向こうに消えた。
その後。
部屋の外から物騒な音が聞こえた。
話し声も・・・
少ししか聞こえないけど。
あたしには誰の声か分かった。
宗司の声だ・・・
あたしの宗司の声。
絶対に聞き間違えるはずがない。
宗司が来てくれたんだ。
きっと助けに来てくれたんだ。
直ぐにあたしを助けてくれるはず。
ならっ。
大きな声を出して助けを呼びたい。
あたしがここにいるって宗司に知らせたい。
でも・・・
声を出せない。
猿轡をされているから。
「んーんー、んーんー」
だめ。
やっぱりダメ。
声を出せない。
ぐぐもった声しか出ない。
暫くすると。
大きな物音がして、隣の部屋の音がなくなる。
きっと、宗司があの仮面の男を倒したんだと思った。
すぐにあたしを助けてくれると思った。
扉を開けて。
椅子を縄を解いて。
いつものように慰めてくれると。
助けてくれると。
抱きしめてくれると思った。
ガチャン
扉が開く。
ドサッっと投げ込まれる人影。
なんだろうと思って見ると・・・
それは・・・
ボロボロになった宗司だった・・・
(そ、そんな・・・宗司・・・)
仮面の者が部屋の中に入ってくる。
私の方を見ているけど、表情は分からない。
仮面をしているから。
でも、雰囲気は伝わってくる。
あたしを見て笑っているんだと思う。
「堀北さん、ショックだったかな?」
「・・・・・」
「何、沖田君がこうなった理由は簡単だよ。僕の方が強いからさ。
弱い奴は何も守れやしない。それはいつの時代も変わらない」
「んーんー、んーんー」
(そんなことないっ、あんたなんかっ!)
「堀北さんも災難だったね。選ぶ男を間違えたんだよ、君は。
女なら、自分を守ってもらいたいのなら、一番強い男を選ばないと」
「んーんー、んーんー」
(あんたより、宗司の方が強いんだからっ!)
あたしは、バタバタするけど。
椅子にしっかり固定されているので意味がない。
「あまり騒がない方が良い。体力を失うよ。
これからの事を考えると、体力は温存しておいた方が良いと思うけどね」
「・・・・・」
(何、これからのこと?何をする気?)
仮面の者は椅子に座り。
刀を横に置く。
パソコンの画面を見ているようだ。
「さてさて。時を待とうか。
視聴者が集まるのが早いか。沖田君が目覚めるのが早いか?
どちらになるだろうね?堀北さんにはかなり大事なことだよ」
仮面の男は椅子に座り。
ゆったりと両手を組んだ。
その姿を見て。
掘北彩は、ゴクリと息を飲むのであった。




