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刀剣演舞1

 沖田が高校に着くと。

 直ぐに武道場へ向った。

 夜の校舎はシーンとしている。


 武道場の中に入ると・・・


 

 中には一人の者がいた。

 鬼仮面の人物。

 両手には刀を持っている。


「沖田君。やっと来ましたか。待ちくたびれましたよ」

「約束通り来たんだ、彩を解放しろ」


「やれやれ、早急ですね」

「変な声しやがって、早く彩を解放しろ」


「そうですね。私に勝てたらいいですよ。

 力づくで聞き出してはどうですか?

 あの天才、沖田総司ならそれでいいでしょう」


「お前が何をいっているか知らんが。いいだろう。お前を叩き潰す」

「お互い合意ができましたね。では、これをどうぞ。

 遊びの竹刀では相手になりません」


 仮面の者は、俺に向って刀を投げてくる。

 それをキャッチする。


 鞘から刀を抜くと。

 模造刀か・・・

 真剣ではないようだ。


「では沖田君、勝負といきましょうか。久しぶりですね。ワクワクします。

 前の勝負を覚えていますか?」

「何を言っている?俺はお前に会うのは初めてだ」


「そうですか・・・・」


 仮面と向き合うと。

 圧倒的なオーラが俺にぶつかる。

 ふざけた仮面を被っているが・・・

 相手の実力は計り知れない。

 刀を向き合うだけで、胸が高鳴るのだ。

 強者のオーラを感じる。

 肌が振るえ、足が震えそうになる。

 相手が圧倒的に格上だと感じるのだ。



「いきますよ」



 ザザッ


 その瞬間。

 視界から相手が消えた。


 な、なんだ!

 一体どうなってる!?

 奴はどこにいった?


 俺が動揺していると。

 悪寒が奔った。 


 殺気!?

 どこからだ?


 気配を探る。

 相手の姿は見えないが。

 僅かに肌をさする感覚。


 ここかっ!

 とっさに刀を掲げて防御すると。


 カキンッ!


 刀がぶつかりあう。

 金属音が響く。

 すぐ近くに仮面の者がいたのだ。


「ほーう。あなたもこれを止めるのです?」

「あたりまえだっー!」

 

 俺は刀を返し、相手に斬りかかろうとするが。

 

 スカッ

 相手に避けられる。


 仮面の者は直ぐに俺から距離をとっている。

 一体どうなっている?

 かなりの距離を一瞬でつめてきたのか?

 奴はどうやって?


 今までに戦った事がない相手だ。

 こんな動きをする者は見たことがない。

 人間に可能な動きなのか?


「沖田君。僕は嬉しいです。あなたが一撃で倒れるのではなく。

 耐えてくれて。最近は物足りない者が多かったですから」

「それは残念だ。お前も喜ばす気など1mmもないからな」


「そうですか。ではっ、少し強めにいきますよ」


 ザザッ


 くっ。

 また相手が消えた。

 視界から消えた。


 どこだ?

 どこからくるんだ?


 そうだ。

 相手の気配を探れ!

 さっきと同じように気配を探るんだ。 


 んんっ!

 ここだっ!


 俺は刀を構える。


 カキンッ!


「ふっ、どうだっ!」

「甘いですよ」


 シューン 

 剣をはじいた反動を利用して。

 仮面の者の剣が迫る。

 

「うっ!」


 下から頭に向って突き上がって来る斬撃。

 上体をそらす。

 紙一重で刃を交わす。

 

 だが。

 続いて放たれる斬撃。


 ズバッ!

 切り返された刀が俺の腹にヒットする。

 

「ぐぅっ!」


 腹に痛みを感じる。

 激痛が走る。

 だが、なんとか持ちこたえて刀を振り返す。


 相手はさっと距離をとり離れる。


「おやおや、入ったと思ったのですが、耐えたようですね」

「こんなもん、きかんわっ!」


 メチャメチャ効いていたけど。

 俺は強気で言い放つ。

 声だけでも勝たなければ、たたみ込まれると思ったから。


「ですが、ガッカリです。この程度の斬撃を食らうとは。

 あの天才、沖田総司ともあろう者が。

 その程度の腕では、幕末の京都では一日たりとも生き残れませんよ」


「何をいっている、今は現代、平成だ。俺を新撰組の沖田と勘違いしているのか?」


「ふふっ、どうでしょうね。あなたには彼と同じものを感じたのですがね。

 残念ですが、茶番を長引かせても意味は無いですね。

 あの者の願いを叶える必要もありますから。遊びは終わらせますか」


「何をさっきから訳の分からない事を・・・」

「誰も殺せない剣に、価値はありません。いきますよ」



 シューン


 また消えた。

 直ぐに消える奴だ。

 

 どこだ?

 どこからくる?

 次はどこからだ?


 気配を探ろうとしたら・・・


 バシュ


「ぐはぁっ!」


 俺は胸に衝撃を受ける。

 正面から刀で打たれたのだ。

 真正面から胸を。

 最短距離で打たれた。


 ぐぅっ・・

 い、息が出来ない。

 衝撃で肺がつぶれてしまったのかもしれない。


「はぁーはぁー」


 俺はなんとか空気を吸おうと口をパクパク開ける。

 いつの間にか俺から距離を取っていた仮面は。

 追撃せずに俺を眺めている。


「沖田君。先程までの斬撃はわざと遅くしていたのです。

 あなたにでも迎撃できるように。これが本物の一打です」

「ぐぅっ・・・・はぁー・・・・はぁー」


 肺がつぶれて声が出ない。

 ただ苦しいだけだ。

 酸欠になり頭に血が上ってくる

 視界が歪んでくる。

 息が出来なくて苦しい。


「終わりです。沖田君、少し寝ていてください」


 ザザッ


 相手が消えたと思ったら・・・

 次の瞬間。


 バシュ

「うがっ!」


 再び斬撃に襲われた。

 だが俺には剣筋すら見えなかった。

 それだけ奴の動きが早すぎたのだ。

 消えたと思った奴の動き。

 だが、それはただ単に異常に早かったのだ。




 俺は暗闇に落ちていった。

 俺の大事な人。

 彩を浚ったであろう犯人を目の前にしながらも。

 俺は何も出来ずに倒れたのだった。



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