ネット世代1
夜道で彩と一条が襲われた少し後。
沖田宗司が自室で寝転びながら。
幼馴染で彼女の堀北彩の部屋を監視していると。
ピコーン!
スマホが鳴った。
さっとスマホを手に取り画面を見ると。
彩からのメールだ。
全く。
こんな近くに居るんだから、面と向って話せば良いのに。
彩はメールが好きだからな。
俺は中身を開いて見ると。
そ、そこには・・・・衝撃の画像が。
目を疑うような画像が表示されていたのだ。
な、なんと・・・・
画像の中では。
彩が椅子に縛られ、猿轡をされ口をふさがれている。
背景からはどこか分からない。
それに彩は気を失っているようだ。
な、なんだこれ?
この悪趣味な画像はなんだ?
まるで彩が監禁されているかの様な画像・・・
なんでこんなものが・・・・
でも、何故?
彩はずっと自分の部屋にいるはず。
一緒に家に帰ってきてからは家を出ていないはず。
その証拠に。
部屋の明かりはついてるし。
部屋からは音楽の音が漏れている。
それにメールは彩のスマホからだ。
何がどうなってるんだ!?
俺はメールの続きを読むこともせず。
窓を開けて、屋根を伝って彩の部屋に入る。
窓は開いているのだ。
が・・・・
予想は外れた。
部屋の中に誰も居なかった。
彩の姿はなかったのだ。
一体なんで?
なんでこんなことになっている。
部屋の照明はつき。
音楽まで流れているのに。
何故彩がいない?
どこいったんだ?
俺の彩はどこだ?
部屋の中で呆然と立ち尽くしていると・・・
ガチャ
ドアが開かれ、彩のお母さんが部屋に入ってくる。
「あらっ!宗司ちゃん。彩と一緒にイオンにいかなかったのね。
そういえば彩、出ていってから随分経つわね~。
宗司ちゃん、お腹減ってない。お菓子と紅茶持ってきましょうか?」
「い、いえ。大丈夫です」
「そう、じゃあ、ごゆっくりね。
あっ、それと、おばさん達が居るときは、部屋で変な事しちゃダメよ」
「は、はい。勿論です」
「子供を作るのは、働き出してからね。おばさんと約束してくれる?」
「おばさんだなんて、お姉さんでも十分通用しますよ」
「もう、宗司ちゃんは良い子ね。
そうそう、親戚にケーキ貰ったの。宗司ちゃん食べる?」
「いえ、お気持ちは嬉しいですが、虫歯がありますので」
「そう。じゃあ、ごゆっくりね。彩の下着はタンスの2番目に入ってるから。
触っちゃダメよ」
「はい、知っています」
彩の母親は部屋から出て行った。
俺ははっと我に返り。
部屋の中でスマホの画面を見る。
メールの続きを確認するのだ。
スマッ スマッ スマッ (←スマホをスクロールする音)
『この女、掘北彩を返してほしければ、試衛館高校の武道場に一人で来い。
誰にも言うな。言えば・・・分かるな』
俺は呆然とした。
誰だが知らないが、彩をさらった奴が居るのだ。
このメールを送ってきた者がいるのだ。
こ、この・・・悪党がっ!
許さんっ!
俺の彩を取りやがったっ!
俺の彩に手を出すとは・・・・
犯人を。
このメールの送り手を必ず捕まえて。
報いを受けさせてやる!
俺はスマホを握り締め。
怒りに震えた。
すぐに彩の部屋を出たのだった。
じっとしてはいられない。
戦の準備だ。
すぐに動かなければ。
彩を救いにいかなければならないのだから。




