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暗躍する者

 その夜。

 とある住宅街の路上。

 電灯がパチパチと点滅する暗い夜道。


 試衛館高校剣道部。

 団体戦メンバー、二ノ宮が家に帰っていた。

 今日は剣道部の部活がなかったため。

 彼は学校の最終下校時刻まで残り、久しぶりにクラスメイトと歓談していたのだった。

 その後マックに寄り、辺りは完全に暗くなっている。


(電灯がチカチカしてるな~)


 二ノ宮が電灯に注目すると。

 その下には怪しげな仮面を被った者。

 道を塞ぐように、路地の中央に陣取っている。


(なんだあいつ?それにあの仮面?) 


 よくみると仮面は鬼だった。

 日本の伝道芸能などで使われている、鬼の仮面だ。

 だが、注目するのはそこではない。


(あいつ・・・両手に持っているのは・・・刀?)


 そう。

 仮面の者は両手に刀をもっているのだ。

 片方の刀を二ノ宮に投げつける。


 反射的に刀を受け取る二ノ宮。


 仮面の者は剣を構えるが。

 無言のままだ。

 だが、その姿は堂に入っていた。

 思わず見惚れてしまうほどだ。


(こいつ・・・・まさか・・・あいつか?)


 二ノ宮は瞬時に思い出した。

 今日、学校で同じ剣道部の司馬から聞いた話を。

 包帯だらけでボロボロになった司馬。

 重症を負った司馬の話しでは、仮面を被った者に刀を投げられ。

 刀を拾った後、いきなり襲われたと。

 

 とすると。

 このタイミングで同じ現象。

 十中八九。

 目の前の鬼仮面の者。

 性別は分からないが、こいつが司馬を襲ったのだろう。

 間違いないはずだ。

 こんなおかしな奴が何人もいるとは思えない。

 こいつが犯人だっ!


(くっ。なら、おもしれー。司馬の仇をとってやる。

 仲間をやられて黙ってられるか。

 こいつは俺がやるっ!

 警察に差し出す前に、俺が司馬の仇をとってやるっ!)



 二宮は戦う決意をする。

 投げられた刀を握り、鞘から刀を抜く。

 見たところ模造刀のようだ。

 実際に斬れる刀ではないだろう。

 だが全く危険性がないわけでもない。

 この刀で殴られれば、竹刀以上のダメージを与えられるのは確かだから。


 二ノ宮は仮面の男に対峙し、刀を構える。

 だが・・・

 対峙して感じるのだった。

 相手からすさまじい程のプレッシャーを受け。

 二ノ宮はたじろぐ。

 膝が震えるのだ。 

 ガクガクと震えてしまう。


(なっ、なんだこいつ・・・

 この尋常じゃない圧力は・・・こいつ・・・何者だっ!

 剣を向きあっているだけなのに・・・俺の足が震えるだと・・・)


 ザザッ

 仮面の者が、突然視界から消える。

 

(なっ!?き、消えたっ!奴はどこだ?どこにいった?)


 次の瞬間。


 ドスッ


「ぐはっ!」


 二ノ宮の後頭部を刀が襲った。

 斬撃が放たれたのだ。

 意識を失いかけ、体がよろける二ノ宮。


(ぐっ。やばいっ!すぐに応戦しないと・・・)


 踏ん張ろうとするが。

 刀を構えて応戦しようとするが。

 あまりの衝撃で体が動かない。

 そもそも、相手の剣筋が見えない。

 どこから斬られたかすら分からない。


 次の瞬間。


 ドスッ

 鋭い斬撃が再び放たれた。


「がぁっ!」


 バタン

 二ノ宮は追撃を食らい、完全に意識を失った。

 アスファルトの上に倒れたのだった。

 勝負は一瞬でついたのだった。

 

 実力差は一目瞭然で。

 どちらが上かは明確だった。

 それ程までに圧倒的差があったのだ。


 



 鬼仮面の者は、宙で刀を一度振り回すと。

 鞘に戻す。

 倒れた二ノ宮を見下す。

 

(ふっ、たわいない、そこそこの実力者と聞いていたが。

 所詮はスポーツ。遊びの技術か。

 だが、衝動は吐き出せた。

 しかし・・・・まだ足りない。まだまだ足りないのだ。

 今宵の刀は血を求めておるっ!

 さらに斬撃を放たなければっ!

 ならば、次の獲物を狙おうかっ!)


 二ノ宮を放置し。

 仮面の者は夜の闇に消えていった。

 シンと静まり返った冬の夜に溶けていく。







 夜は長い。

 一日の半分は暗闇だ。

 仮面の者の暗躍は続く。

 月明かりの下で暗躍し続けるのだ。

 



 150年前の昔。

 幕末の京都と同じ様に。

 血で染まった古都と同じ様に。

 今の政治の中心である、東京の闇の中を暗躍する。


 剣士が動き始めたのであった。

 次の獲物を求めて、夜の闇を剣士が駆け抜ける。

 歴史は繰り返すのだ。




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