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衝撃の学校1

 12月13日。

 月曜日。


 試衛館高校の朝。

 俺こと沖田宗司と、掘北彩が教室に入ると。


「一条君。これっ、どういうことっ!」


 女子のクラスリーダー。

 ゆるふわ茶髪パーマ美人。

 ギャル風の有村さんが吠えていた。


「そうそう。あんたさー。まだ懲りてないの?」

「最低。ほんとクズねー」

「呆れた。堀北さんの件から何も学んでないのっ?」


 有村取り巻きーズも吠えている。


「違うって、一体なんのことだか、俺にはさっぱりで・・・」


 一条はうろたえている。

 

 一体何が起こったんだ?

 戸惑っている近くのクラスメイトに聞くと。

 

「一条君が、その・・・また浮気したみたい。それで有村さんが」


 そういうことか。

 でも、一条。

 どんだけ軽いんだ。

 今の状況で有村さんに対して浮気するとは・・・

 本格的に大変な境遇になると分かると思うんだが。


「ち、違うんだ。何かの誤解なんだよ、信じてくれ」

「あんたねー、私をバカにしてるの?この動画のどこをどう説明するのよっ!」


 有村さんがスマホを掲げる。

 チラッと見えた動画では、なにやら裸の男女の姿。

 とある動画を思い起こさせるものだ。


「それは・・・違うって。その子とはなんでもないんだ。

 ただ、相手から寄ってきて・・・その・・・仲良くなってしただけなんだ。

 愛はないよ。出会った日にやる、超尻軽女だ。記憶にすら残らない」


「そんなの関係ないでしょ!」

「そうよそうよ。あんたバカっ!」

「頭ついてんの。猿か何かなの!?」


 一条は直謝りしている。

 あの様子ではあまり効果はなさそうだ。

 そっとしておこう。

 火の粉がとんでこないように注意しよう。


 俺と彩は。

 騒動を気にせず席に着いたが・・・






 次に教室に入ってきたクラスメイトを見て驚いた。

 ギブスと包帯だらけの生徒が入ってきたのだ。

 体中怪我だらけだった。


「うぉーい、どしたん?司馬?ボロボロやん」


 クラスメイトが司馬。

 俺と同じ、剣道部団体戦メンバーの司馬にかけよる。


「昨日、変な奴に襲われたんだ」

「一体、誰に?」

「そうだよ、誰に?」

「どんだけ怪我してるんだよ?」


「分からない。妙なお面をつけていたから顔は見えなかった」

「でも、なんで?」

「そうだよそうだよ」


「俺にもさっぱりだ。相手がいきなりこっちに刀を投げてくるんだ。

 刀っていっても模造刀だけど。

 で、刀を拾ったらいきなり襲ってきたんだ。

 応戦したらこの様だ。尋常じゃないぐらい強い相手だった」


「本当かよ?でも司馬って団体戦メンバーだろ?個人線でも都大会で入賞していただろ。

 お前より強いのか?」

「あぁ、あれは普通の強さじゃなかった。

 俺が今まで戦った事がある奴の中で一番強いというか・・・レベルが違った」

「そんな奴がなー」

「まさかねー」

「大丈夫?」

「ってか、司馬大丈夫かよ?めっちゃ包帯だらけだけど」


「一応応急処置は済んでるから。

 しかしすまない、俺はこの怪我だから団体戦には出られない」


 同じ剣道部のメンバーに謝る司馬。

 俺はその景色を遠くから眺める。




 あの司馬が負けるのか・・・

 内の剣道部でも上位に入る実力者だ。

 剣道部で3番目に強かった男がやられた。

 

 それに相手は辻斬りの様な輩か・・・

 うん。

 物騒だな。


 隣にいる彩も目をパチパチさせている。

 司馬を見て驚いているようだ。

  

「彩、学校の外では気をつけろよ。俺も離れないようにするから」

「うん。でも、変な人もいるんだね~今時辻斬って」


「だなっ。だが彩の事は俺が守る。心配するな。安心して良い」

「うん。宗司のこと信じてるから。でも、あたしも注意するね~」




 クラスメイトが騒いでる中。

 教室の後ろの入り口から。

 こっそりと田中君が入ってきたのだった。

 

 田中君は騒動を聞き。

 一条と有村さんを見て、そっと笑みを浮かべた。

 だが、誰も彼の表情に気づくことはなかった。

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