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真相3 ※最終話

 12月5日。

 事件から2ヶ月程経った日。

 



 俺の部屋では。

 今、俺の隣に彩がいる。

 俺に体を預けて寄り添っている。

 大事そうに俺の手を握っている。

 離すのが怖いかのように、手をぎゅっと握っている。


 俺はそんな彩の手を握り返す。


 今の彩は完全に俺のものだ。

 俺に依存して、俺がいなければ成り立たない。

 俺がいなければ、彼女は途端に不安になる。

 たちまちキョロキョロと騒ぎ出す。


 見事、復讐計画は完遂した。

 彩を作り変え。

 俺のものにできたのだ。


 俺は満足だった。






『この度は、誠に申し訳ございませんでした!』


 TVから聞こえてくる声。

 画面の中では。

 フラッシュがたかれる中。

 内の高校の校長先生、教頭先生が頭を下げている。

 

『どうして、このように逮捕者が続出したのでしょうか?』

『複数の教師が児童ポルノ所持で逮捕されたのですが、

 教員の管理はどうなっていたのでしょうか?』


 記者が校長に質問を浴びせる。


『その件につきましては、現在調査中でして・・・』


 校長が何度も頭を下げながら、か細い声で答えている。


 そう。

 内の高校の教師が何人も児童ポルノ法違反で逮捕された。

 数学や物理といった理系の男子教師だ。

 所持していたのは、十中八九、彩の動画だろう。

 俺が校内に流しまくった動画を、教師が手に入れたんだと思う。


 それがどうにかして警察にばれて御用となった模様。

 しかし・・・

 逮捕された教師が皆。

 学校で人気がなかった教師ばかりだったのは気になる。

 

 職員会議を覗いた生徒によると。

 捕まった教師は『俺は嵌められた』といっていたらしい。

 なので。

 生徒の誰かか、職員の誰かが。

 「彩&一条動画」が手に入れたことをいいことに。

 教師のパソコンや持ち物に動画を仕込んだのかもしれない。 

 そして、教育委員会や警察、記者などに通報したのかも。

 

 逮捕された教師達を罠に嵌めた者がいるのかもしれない。



 真実は分からない。

 ただの推測だ。

 しかし、内の学校の教師が複数人逮捕されたことは確かだった。

  





 

 TVの映像を見ながら。

 俺はほくそえむ。

 多分、どこかの誰かも俺と同じように目的を達して喜んでいるのかもしれないのだ。

 それなら・・・

 案外俺と同じように、TVを見てくつろいでいるかもしれない。

 俺は目標が達成できて嬉しかったのだ。

 その者も俺と同じように、したり顔をしているのかもしれないと思うと、頬が緩んだ。

 同じ境遇の者がいると思うと、心が和んだ。




 隣にいる彩の頭をなでる。

 彼女に腕には、貝殻のブレスレッドがついている。

 俺があの夏の日。

 彼女にあげようとしていたブレスレッドが。


 俺はこれを。

 彼女が完全に俺に依存したと思った日にプレゼントした。

 記念品だ。

 昔の彩が消えて、新しい彩になった記念品。

 俺の復讐達成の証として彼女にプレゼントしたのだ。





 しかし・・・

 今思えば。

 夏のあの日。

 彩と一条のシーンを見れたのは幸運だったと思う。

 あれがなれければ。

 あの出来事がなければ。

 今の状況は決して起こりえなかっただろうから。


 俺は一度絶望に落ちることで生まれ変わった。

 それは間接的にだが。

 彩によってもたらされたこと。

 彩と一条の浮気シーンを見たのが契機だから。

 

 そんな俺。

 彩によって生まれ変わった俺が、彩を生まれ変わらせた。

 


 思い返せば因果なものだ。

 元はとはいえば。

 彩に始まり、彩に終わる。

 

 結果だけ見れば。

 彼女は自分でこの事態を招いたとも言える。

 自分自身の行いで、俺に依存するようになったのだから。 





「・・・・・・・!?」





 んん?

 待てよ。

 ちょっと待てよ。


 俺の脳裏を駆け巡る衝撃。

 悪寒が走り。

 ゆっくりと目の前の認識が崩れていく。

 現実が崩壊していく。


 何かが俺の中でおかしいと叫んでいる。

 違和感があると告げている。

 心の中で叫んでいる。


 計画は完璧に遂行されたと思ったが。

 俺の目的は適ったと思ったが・・・


 まさか・・

 何か見逃していたのか?

 俺は何か大きな勘違いをしていたのではないか?




 疑念を後押しするように。

 頭の中には次々に記憶が浮かんでくる。





 そういえば・・・

 あの夏の日。

 俺はベランダから彩と一条のシーンを覗いていた。

 でもあれは・・・本当に彩に気づかれてなかったのか? 

 外から見られていれば、気づいてもおかしくはないのでは?

 確か彩は・・・

 俺の部屋にいる時、外の鳥に気づいていたのだから。


 それに。

 彩の部屋に入ってiphoneデータをコピーした時も。

 窓の鍵が開いていた。

 俺たちは何度も屋根を伝って出入りする事があったから。

 窓から人が入ってこれる事は知っているはず。

 年頃の娘なら鍵をかけていてもおかしくはない。


 あの時も。

 尾行のときも。

 簡単に彩と一条の密会を尾行できた。

 普通、浮気しているのなら、もう少し注意を払うのではないだろうか?

 

 どれも優等生の彩なら。

 気づいてもおかしくはない点だ。

 彼女はよく細かい事に気が利くことがあったから。

 彼女であれば考えにくいミス。




 まさか・・・

 まさかまさか・・・

 彩は自分で今の事態を招いたのか?

 そんなことがありえるのか?

 俺は操られていたのか? 


 でも結果的には・・・

 俺は彩にこれまで以上に構うようになった。

 あの出来事のせいで、彩を独り占めしたいと思ったし。

 頭の中では、常に彩の事を考えるようになった。

 願望を反映した彩ではなく。

 彼女の全ての面、ありのままの彩を見ようと思った。 


 それにつきっきりで世話をしたし。

 この数ヶ月は、四六時中。

 彩を手に入れるためだけに行動した。

 彼女のことだけを考えてきた。


 これが彩の狙いだったのか?

 俺に構ってもらいたくて。

 俺に全てを見てもらいたくて。

 俺の頭の中を彩の事だけにしたくて。


 そのために。

 一条を使って行動したのか・・・


 俺が動くのを、罠にかかるのを彼女は待っていたのかもしれない。

 俺が彩を理解していると思ったように。

 彼女も俺の事を理解していたのかもしれない。

 彩の浮気姿を見れば。

 俺がどう考え、どう動くのかを予測できたのかもしれない。

 彼女は俺以上に俺の事を理解していたのかもしれないのだ。




 いつかの彩の言葉が脳裏に浮かぶ。

 その言葉が胸を打つ。

 あの時意味が分からなかった言葉だけど。

 今ならその言葉の意味も分かるのかもしれない。


 『欲しいもの手に入れるには、自分で動いちゃダメなんだよ』

 


 彩は俺を動かして、俺を手に入れたのだ。

 






 TVから聞こえる校長の謝罪。

 そういえば・・・

 彩は言っていたっけ。

 数学や物理の教師は嫌いだと。

 いなくなればいいと。

 今、彩が嫌っていた教師はいなくなった。


 それに・・・

 一条に対しては、全く執着がないようだった。

 落ち目になった一条に声すらかけない。

 気のあるフリすらしない。


 言葉どおり。

 本当に遊び。 

 玩具の様に利用しただけだったのかもしれない。

 用が済めば捨てるおもちゃの様に。

  






 気づくと・・・

 隣の彩が手をギュッと握ってくる。


 つい数分前までは。

 彩の全てを理解していると思った俺だけど。

 

 今彼女の瞳を見みると・・・

 彼女が何を考えているか分からなかった。

 全くといっていい程分からなかったのだ。

 何も頭に浮かんでこない。



 俺は彩を完全に自分のものにしたと思っていた。

 彼女を罠にかけたと思っていた。

 でも逆に・・・

 罠にかけられたのは俺かもしれない。

 俺は彩のものになっていたのかもしれない。


 俺の計画すらも、彩の計画に入っていたのかもしれない。

 


 依存されるということ。

 四六時中依存されるという事は。

 見方を変えれば、こちらも同じように依存しているのかもしれない。

 現に、俺は彩がいないと不安になることがあった。

 四六時中一緒にいるためか。

 彼女がいないと心が落ち着かないのだ。

 いつのまにか俺の心も変わっていた。

 俺も彩に作りかえられていたのだ。





 でも・・・

 それでもいいのかもしれないと思った。

 たとえ罠にかけられたとしても。

 俺と彩は深く結ばれ、他の者は消えたのだから。

 俺は彩の全てになれたのだから。

 願いは叶ったのだから。


 俺の願いが適う事で、彩の願いも適ったのなら嬉しい。

 二人の願いが叶ったのならそれでいい。

 例え罠にかかったのだとしても、それでいい。

 これ以上に幸せな事はないのだから。




「宗司・・・・大好き」


 彩が俺の右腕に抱きつきながら呟く。

 黒髪ポニーテールが揺れる。


「俺もだよ、彩、大好きだ」


 反射的に言葉を返す。

 それが本心だから。

 心からの言葉だから。








 あの夏の日に感謝したい。

 熱い鉄板ようなベランダとセミの声。

 クーラーの室外機の音。


 彼女が二股して、腰が砕けるほどの衝撃を受けた時。

 すべてが始まったのだから。

 彩と俺の運命を大きく動かしたのだから。


 









 俺の頬を軽く手で触りながら。

 彩がポツリと告げる。

 

「有村さん、嫌い。いなくなればいいのにね」




 一ヵ月後。

 有村さんは文字通りいなくなった。

 転校したのだ。

 季節外れの出来事だった。

ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

短い連載でしたが、無事完結しました。

前回の経験上。

ざまぁで長引かせるのはアレかと思いましたので。

一週間以内で完結したかったです。




・本作について

作品テーマは、最近密かにはまっている「執着する愛情」です。

具体的に言うと、今回は。

「好きな人を手に入れるためにどこまで出来るか?」です。

皆様も、この作品程ではないかと思いますが。

何らかの経験があるのではないでしょうか?

考えるきっかけになって頂けたら幸いです。



「同じようなテーマ&計画を練った犯人モノ」の作品。

「ビューティフルざまぁ」も8/4に完結しましたので。

 宜しければ、そちらも是非ご覧下さい。




・続きについて

宗司と彩のその後や、有村グループ虐殺編、彩復権編など書こうかと思ったりしましたが、

読みたい方はおられますでしょうか?

続きが読みたいと思いましたら、評価&ブクマお願いします。

現在は迷い中ですが、話としては一区切りつきましたので完結表示にしております。



~~~~~~~~~




・他著作様の作品紹介です。

(途中でも一回書いておりますが、もう一度。

 「しつけこいよぉ~」と思われたら申し訳ありませんが、本当に面白い小説ですので。

 騙されたらと思って読んでいただけたら幸いです)



◆紹介~

なろうテンプレではなく。

衝撃を受けて、腰が砕けそうになった程面白いと思った恋愛作品の紹介です。

「こういう作品があるからなろうは良い」と思える作品で。

私がなろうで読んだ恋愛小説の最上位グループです。

個人的に「ググッ」とき、商業出版レベルだと思いました。

心が動かされました。


※タイトル&あらすじがなろう向けでない良作は。

 埋まっている事が多いですので、この機会に宣伝です。

※ページ下部にリンク付けしておりますので、タイトルクリックでジャンプします。



「Be mine」 作者:はな様

 青春恋愛物。

 ヒーローはかっこよく。

 ヒロインが可愛い作品で、読後感がスカッとする作品です。

 至福と悔恨が一緒にやってきます。

 読んで幸せな気分になり、元気と勇気がもらえる素敵な小説です。




「乙女ゲームの模範生!」 作者:穂兎ここあ様

「楽しい」気分になれる少女漫画風ラブコメです。

 オタク女子高生のコメディ調の一人称+勢いのある展開でぐいぐい読ませ。

 最後はほっこり締まります。

 退屈な場面がなく、主人公、ヒーロー共にかわいく描かれており安心します。

 心理描写、情景描写共に丁寧で、読んでいると「楽しい」気分になれる良作です。

 特に、コメディ調の一人称は特質すべき点があると思います。

 まるで少女漫画を読んでいる感覚です。王道展開で奇麗にまとまっている作品です。



どちらも、とても面白い作品で完結しております。

短い文庫1冊程(1時間程?)の内容ですので、是非お読み下さい。

清々しい気分になると思います。




では、長文になりましたが。

失礼します。



※メモ/日間総合6位 日間現実世界[恋愛]1位

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9/7 新連載開始です~↓
チートスキル「美容整形」持ちの俺は、目立ちたくないのにハーレムに

 

【8/4 完結しました】↓
ビューティフルざまぁ~公爵令嬢、悪役令嬢への道を歩む~

 

さくっと同時連載中。↓
もう、結構ですわっ!

 

こちらも連載中↓
転生したら吸血鬼さんだった件~チートで世界最強です~

 

★おすすめ傑作恋愛作品~(他作者様)↓
Be mine(作者;はな様)

 

★こちらも~です↓
乙女ゲームの模範生!(作者:穂兎ここあ様)
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