真相1
彩と一条のSEXをみた時。
俺は腰が砕ける程衝撃を受けた。
最初はめちゃくちゃムカついた。
でも。
部屋にこもりながら考えた。
単純な怒りは長く続かない。
だが、心には衝撃、衝動は残り続けた。
だから。
自分の心に向き合った。
自分が何に衝撃を受け。
どうして心が揺れ続けるのか考えたのだ。
そして。
答えを得たのだ。
俺は彩を盗られたのがどうしようもなく悔しかったのだ。
理想を汚す行為。
それが具現化したのが許せなかった。
それに。
彩が他人の者である状況が許せなかった。
どうしても自分だけの物にしたかったのだ。
自分だけの彩にしたかった。
他人の手が、影響があると思うと虫唾が走った。
だから計画した。
彩の精神をぶっこわす作戦を。
今の汚れた精神は壊さないといけない。
完膚なきまでに破壊するのだ。
今の彩ではいけない。
汚れたものは全て奇麗に浄化する。
壊して再構築するのだ。
そして。
俺だけを求める彩を作り直す。
それが答えだった。
だから俺は動いた。
彩の心を壊すために計画を立てた。
どうやって彩を傷つけるか考えた。
幼馴染で彼氏の俺だ。
彩の事は誰よりも知っている。
今までは真剣に彩の事を考えてこなかったから、浮気にも気づけなかったのだ。
彩に妙な幻想を抱き、理想化していたからだ。
己の願望を反映した姿を見ていたからだ。
彩の事を見ているようで、見ていなかった。
だから俺は、彼女の暗い面もよく見ることにした。
彼女が自ら見せようとしない部分を見ることにした。
長年彩といっしょにいた俺だ。
記憶の中には、彩との思い出がつまっている。
色眼鏡無しで記憶を探れば、自ずと彼女の悪い部分が見えてくる。
彩は見た目が良く、優等生気質。
だからか、妙にプライドが高い。
自分が求められていない、評価されていない状況が耐えられない。
周りには謙虚な態度、良い人を演じようとするのもそのためだ。
良い人のポジションが心地よいのだろう。
多くの人に自分を慕って欲しいのだろう。
だから浮気したのだろう。
彼女は自分の価値を確かめずにはいられないな女の子だ。
そんな彩の精神に大きな傷を負わせるには。
彼女のプライドをズタズタに切り裂くしかなかった。
今彼女が持っているもの。
皆から抱かれている良いイメージをぶっ壊すのが一番だと思った。
『優等生 良い人 清廉な美少女』
これらを全てぶっ壊す!
もう一度言う。
彩の心をぶっ壊す!
完膚なきまでにぶっ壊す!
粉々にぶっ壊す!
目的が決まったら、次は計画だ。
それはすぐにできた。
彼女のイメージを壊すには、汚すのが一番。
だから性スキャンダル。
それに道徳的に問題がある行為の発露が一番だと思った。
幸い浮気している彼女だ。
上手くすれば証拠映像が手に入ると思った。
実際、LINEを監視して尾行すれば。
彩と一条の密会場所も、やり部屋も簡単に特定できた。
二人はまるで注意していなかったし。
カメラを仕込むのは簡単だった。
後は。
浮気映像を最大限効果を発揮するタイミングで流すだけ。
クラスメイト全員がいる中で。
彼女が逃げられない場面で流し。
長時間の苦しみをじわじわ与える。
皆の前での断罪してこそ精神ダメージが強くなるのだ。
周りの評価を気にする彩にとってはそれが一番辛いはず。
動画を流すタイミングについては、学級活動の数分前と決めた。
時間割をみたが、これが一番だった。
学級活動は毎週あるので調整しやすいし、5,6限続けてだ。
それに。
担任の愛子先生が、時々教室を空けることがあるし。
なにより、学級委員の一条と彩が司会をする。
皆の前に立ち、声を上げなければならないのだ。
これ以上の機会はなかった。
実際、今回も途中で愛子先生が席を外してくれた。
でも、愛子先生が外れなくても。
5,6時間目を通して、拷問の様な時間が続くのは同じだっただろう。
それにもし上手く運ばなければ。
愛子先生を教室から追い出す策も用意していたのだ。
使わずに済んだが。
だけど。
ここで一つ大事な点があった。
俺が断罪してはいけないのだ。
俺はぶっ壊れた彩、弱った彼女を救う役なのだから。
悪役は他の者にやってもらわなければいけない。
だからこそ。
強気なギャル系グループを束ねる有村さんだ。
観衆の中で、女を言葉で断罪できるのは女しかいない。
男は無理だ。
そんな精神力はないし、上手くもない。
公の場面で男が女を批判するのはまずいと中学生でも知っている。
それにもしかしたら、先に手が出てしまうかもしれない。
彩を物理的に傷つけたくはなかった。
有村さんの性格の悪さは十分に知っていたけど。
まさか・・・
あそこまで彩を断罪するとは思ってもみなかった。
予想外のファインプレーだった。
彼女の取り巻きも、中々の性悪揃いだった。
もし、有村さんが派手に動かないなら。
彩に気づかれないように煽ってやろうと色々準備していたが。
使わずに済んだ。
で。
ボロボロになった彩は、予想通り逃げた。
彼女が耐えられるとは思っていなかった。
面と向って有村グループと戦うことなど考えられなかったし。
勝ち目のない戦いでは逃げるしかない。
いつ逃げるのか待っていたけど。
30分もった。
思っていたより彩の精神は強かったようだ。
俺は彩を追って屋上に行き。
彼女を慰めた。
弱ったところで慰めるのが大事だから。
そもそも、壊した彼女の精神を作り直すのは俺でないといけないから。
それこそが最大の目的だから。
俺が一番にかけつけないといけない。
それに・・・
いくら復讐だからといっても。
彩の泣いている姿を見たくはなかった。
彼女が影で泣いていると思うと心が震えたし。
彼女の涙は俺の心を不安にさせる。
たとえ復讐だとしても、彼女の涙だけには適わなかった。
だが・・・
まだ目的は達していない。
これからが重要だ。
彩をちゃんと作り直さないといけないのだから。
気を引き締めないといけない。
そう。
壊して作り直すのです。
次は~夕方頃投稿です。
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話は変わりますが。
続きが待てない人は、こちらをどうぞ↓
他著作様の作品紹介です。
なろうテンプレではなく。
衝撃を受けて、腰が砕けそうになった程面白いと思った恋愛作品の紹介です。
「こういう作品があるからなろうは良い」と思える作品で。
私がなろうで読んだ恋愛小説の最上位グループです。
個人的に「ググッ」とき、商業出版レベルだと思いました。
心が動かされました。
※タイトル&あらすじがなろう向けでない良作は。
埋まっている事が多いですので、この機会に宣伝です。
※ページ下部にリンク付けしておりますので、タイトルクリックでジャンプします。
「Be mine」 作者:はな
青春恋愛物。
ヒーローはかっこよく。
ヒロインが可愛い作品で、読後感がスカッとする作品です。
至福と悔恨が一緒にやってきます。
読んで幸せな気分になり、元気と勇気がもらえる素敵な小説です。
「乙女ゲームの模範生!」 作者:穂兎ここあ
「楽しい」気分になれる少女漫画風ラブコメです。
オタク女子高生のコメディ調の一人称+勢いのある展開でぐいぐい読ませ。
最後はほっこり締まります。
退屈な場面がなく、主人公、ヒーロー共にかわいく描かれており安心します。
心理描写、情景描写共に丁寧で、読んでいると「楽しい」気分になれる良作です。
特に、コメディ調の一人称は特質すべき点があると思います。
まるで少女漫画を読んでいる感覚です。王道展開で奇麗にまとまっている作品です。
どちらも、とても面白い作品で完結しております。
短い文庫1冊程(1時間程?)の内容ですので、是非お読み下さい。
清々しい気分になると思います。




