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公開処刑3

 俺は椅子から立ち上がり。

 とりあえず、教室の前にいって一条の前で立ち止まる。

 一条はオロオロする。


「一条、どういうことだ?」

「あの・・・その・・・悪い」


「あの動画は何だ?遊びだったのか?」

「いや・・・・その・・・」


「そうなんだろ。なんとかいえっ!どうせ彩の体だけが目的だったんだろ!」

「・・・違う・・・・悪い・・・その・・・ごめん」


「お前が動画を流したんだろ!見損なったよ!このクズがっ!」

「・・・・んなぁ・・・違うって・・・ほんとだ・・・何がなんだか・・・」


 ボソボソと良い訳を述べる一条。


 俺は近くの席の男子生徒に目を留める。

 放心状態というか。

 錯乱状態になっている田中君だ。

 

 彼は彩にほれており。

 彩からも好意を受けていると思ったためか。

 一時夢を見たのだろう。

 彩と付き合える夢を。


 だが・・・

 動画が彼の心を激しく揺らした。

 聖女だと思っていた女の子が娼婦だったのだ。

 それに、憧れたの女を奪った男が目の前にいるのだ。


「田中君、こいつは彩の体目当てのクソ野郎だ。

 弄んで捨てたクソ野郎だ。そんな奴を許して良いのか」


 田中君がプルプル震えだす。

 席を立ち、一条の目の前に立つ。


 俺と田中君に近寄られてビビル一条。


「なぁ・・・・待ってくれ・・・違うんだ・・・なんであんな動画があるのか・・・

 なぁ、おい、お前らっ」


 一条は仲の良い運動部グループを見る。

 よく授業合間にいっしょに話してる奴らだ。

 しかし・・・

 彼らは冷たい目をしている。

 それが何を意味しているかは一目瞭然だ。


 運動部グループの一人が告げる。


「一条、さすがに無理だわ・・・」


 その一言が全てだった。

 運動部グループにも一条は見捨てられた。

 今この状況で、彼の仲間になる者は誰もいなくなったのだ。

 それが正式に宣言された。

 



 俺は黒板に張り付いているデカイジョーギ。

 正式名称が分からないけど、とにかくデカイジョーギを手に取る。

 

 ジョーギを剣のように構え。 

 罪人に告げる。


「一条。歯ー食いしばれ」

「・・・はぁ・・・何を・・・」


 動揺している一条。

 腰を床につけ、逃げようと後ずさるが。

 腰が抜けて動けないようだ。

 完全にパニック状態に陥っている彼。

 まるで、あの夏の日の俺のようだ。



 俺はかまわず息を整え、集中する。

 

 今、目の前には明確な悪がいるのだ。

 クラスメイトの皆も。

 明らかに一条の事を悪だと認識している。

 親友の彼女を寝取る男など、社会ではゴミクズだ。

 

 そんな悪になら。

 俺の剣を振るのも問題はないだろう。

 今の俺には正義があるのだから。


 だからこそ。

 正義の名を元に。

 今こそ悪を叩き斬るのだ。



 心で唱える。

 幕末の京都で人々を恐怖に震わせ、血の雨を降らせた技を。

 冴え渡った技の名前を。



『新撰組、天然理心流、奥義。


  ―――三段突き!        』



 シューン

 ドスッ ドスッ ドスッ

 俺のデカジョーギソードが煌いた。

 

 高速の連撃が一条を襲う。

 俺が密かに練習していた技が一条に放たれる。


「ぐはぁっ!」


 ドカッ

 一条はふっとび教室の床に転がった。

 モロにヒットしたようだ。




 ふぅー。

 すっきりした。

 やりきった。

 俺は深呼吸する。

 

 ほんとなら。

 もっと早く殴ってやりたかった。


 この一ヶ月ほど。

 親友づらした一条の姿には、ために溜めこんだものがあった。

 それを今の一撃に全てぶつけたのだ。


 心が清々しい気分で晴れ渡っていた。

 ハレルヤだ。




 俺は処刑が済むと。

 隣で佇む同士を促す。


「田中君もやってやれよ。当然の罰だ。こいつは報いを受けた方が良い」

「・・・・・うん」


 田中君は小さな声で頷くと。

 彼はキョロキョロ周りを見回して、机からデカイ本を取り出す。

 百科事典だ。

 武器を選択したようだ。


 そして。

 百科事典で一条を殴り始めた。

 暴力を行使することに慣れていないためか。

 無茶苦茶に何度も殴る田中君。

 一条は大変な事になっていた。

 




 俺はそんな騒動を尻目に。

 自分の席に戻り荷物をつめる。

 彩の席に向かい、彩の荷物もつめる。


 「何をやっているのか?」と、皆の視線を受けるが・・・

 知ったことじゃない。

 少々予定より派手になってしまったが。

 今日大変な事が起こる事を知っていたというか、俺が引き金を引いたのだ。

 十分心構えは出来ている。

 

 だからこそ。

 俺はこの場で冷静に行動できる。

 環境に左右されずに動けるのだ。

 何も知らなければ、他のクラスメイト同様。

 ただただ状況に流されていただろう。

 全ては俺の作戦通り。



 


 荷造りが終わると・・・


「俺、腹がいたいから家に帰るって、愛子先生にいっといてもらえるかな?

 昼飯があったたのかも。多分、彩もそうなるから」


 近くの男子生徒に伝言を頼む。

 「う、うん」と頷く男子生徒。




 俺は教室を出て彩を探しに向った。


 まだやることはある。

 復讐計画は途中なのだから。

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