魔王のマ!その2
短め
―――
――
―
「――に――よ!」
「なんで…あんなに…」
「て―つ――だ――キ――」
「…そういえば…でも…!」
「あ――ち――×××と――」
「…そか、俺となにが違うかな?」
「そん――か――――」
「元々―じゃなかった?」
「あはははは――クラ―――調――」
「…みんなも…でもあいつは…」
「―っ!――だ――必要と、してないんだから!!」
―
――
―――
/////////
夢…?懐かしい夢だな。特にリアルな。
あーだる夢のせいもあってだる…でも腹減ったし…
「よし!」
両ほほをパンッと軽く叩くと周りを確認してから外に出る。ま、とりあえずはオールの実だよな。
「~~♪」
お、あったあった。昨日までの俺じゃないことを見せてやるぜ!ジーパンのポケットから昨日取ってきたジャグを取り出し木の下に置く。拳位の大きさだけど効果があるのは説明で確認済みだ。
「っとう!」
助走をつけてジャンプ、着地と同時にジャグに伝わった力が跳ね返ってくる。
「あら?おうあぁ!!」
てんで違う方向に飛んでしまい尻から落ちる。ざっと見て1mは飛んだか?
今度は感覚がつかめたから大丈夫だとは思うが…とうっ!
びよよーんという効果音がつきそうな跳躍を見せた俺は…
「ここですかさずキャッチ!」
ふふーん恐れ入ったかオールの木!これでお前も近いうちに丸裸だな!
そのあとも2、3回続け、オールの実を朝飯に一つ食べ、昼飯に2つ持っていくことにした。
オールの実を齧りながら今日はどっちの方向に行こうかと迷い、手ごろな木の棒を立てて倒そうとしたその時。
「―――!――!」
どこからか声らしきものが聞こえた。
「危なそうだったら逃げればいいよな…うん」
特に俺はこの世界の常識を知らな過ぎる。どのような動物が、どうして危ないのかなど、これから知っていく必要があるだろう。
「確かここら辺だったよなぁ…んぉ?」
少し開けた場所にそいつらは居た。革の鎧に鉄の剣を携えた青年がなにやら、青いプルンッとしたものと対峙していた。
(なにをしているんだ?)
近くの木の後ろに隠れながら様子をうかがう。
よくよく青い方を観察していると半透明だということが分かった。そしてなにやら丸い石ころみたいなのがフヨフヨ浮いている。あれはなんだ…?
名:ブルプルー
種族:スライム
状態:良好
説明:スライムの中でも一番ポピュラーな種。しかし侮ってはいけない、有酸性の身体に剣を刻もうものならたちまち痛んでしまうだろう。倒すには核を狙うと効果抜群。核以外は切っても千切っても、再生可能なのであまり効果はない。中には有酸と無酸を使い分けられる奴がいるという。捕食中は動けない。核のまわりの成分は水、どうして酸になるのかはまだ分かっていない。
やっとらしいモンスターが出てきたな…ブルプルーね、やっぱコレ便利だわ。相手の青年君はっと…
名:モーブ・スラット
種族:人
状態:疲労 損傷7%
む…人っぽい奴にあてた場合は説明が出てこないのか?理屈が分からん。まぁこのまま戦ってても、逃げるかどうかするだろう。さっきから核を狙っているが、絶妙に逸らされブルプルーの身体を刻んでいる。
素人目からみても、使っている剣がどんどん傷んでいるのがわかる。
「っの!はっ!」
それでも懸命に攻撃してはいるが、酸にやられたのか両足から血が流れている。
(どうする…助けるか?俺が助けに入ってすることはあるか?)
何か武術をやっていたわけでもないし、武器といば握りやすい棒だけだ。
一応外敵にとノキアの搾り汁を持ってきてはいるけど…っ!まずい!
青年のほうを見ると痺れを切らしたのか大ぶりでブルプルーに向かう…が当然ながら避けられる。その隙を逃すまいとブルプルーが青年に飛びついてきた。
「うっぁ…あああああああ!」
青年は咄嗟に手をかざしたが、抵抗空しくその手を溶かされる。うわぁー見てて気持ちのいいもんじゃないな…
自分じゃ叶わないと察したのか、青年が溶かされた手を庇いながら逃げ出した。
(結局助けに入れなかったな、まぁ情報通りなら…)
青年が逃げた後ブルプルーはその場でプルプルしていたが、もうこないと分かったのか移動を始めた。
…今だ!
いい距離になったところで、青年が捨てて行った剣を拾ってジーパンのベルトを使い括り付ける。なにもないよりましだからな。
さて、散策を続けよう。出来れば川などを見つけたいが…
そして目印を付けながら移動すること体感2時間。ようやく川らしきところを見つけた。あいやー長かった。
ペットボトルに入ってた水も昨日消費してしまったし、ここで水を汲んでいくことにしよう。
…あれ?生水って大丈夫か…?飲むと下痢とか起こすって聞いたような…。まぁ、様子見てちびちび飲もう。
えーっと、こっちでこうでこー…か?
そろそろ日が暮れそうなので、洞へと急ぐ。
「それにしてもあの青年どこから来たんだ?」
逃げて行ったにしてもそこまで馬鹿じゃないはずだ、一日で往復できる所に村、街があるのか自分のテントなりキャンプ地が近くに在る筈。
明日はそこを目指そう。っと月?の光が差し込んでる間に採ってきたものを整理するか。
ゼルーは薬草みたいだから結構な数を揃えてきた。それと使えそうなノキアの絞り汁も採っておいた。にしても絞り汁…べたべたはしないがどうも気になる…それと、風呂に入りたいな…。頭をがしがし掻くとフケがぱらぱらと…髭も伸びてきたし。
「まぁ生きているだけマシか。モンスターと出あわないだけでかなり運がいいよな?」
ノキアの搾り汁も完成し持ち物を整理する。明日持って行くのはゼルーが少しとジャグにスパン、それにケルス…投石用だな。
「よし、それじゃあおやすみ…」
誰に言うわけでもないが雰囲気というやつだ