2話・雌狐飯店
3匹は飯店に向かった。
すると、突然飯店の扉が勢い良く開けられ、中から雌鼠が1匹逃げるように飛び出してきた。
「邪魔よ!退いて!」
更に店内から怒鳴り声が聞こえる。雌のものだ。
「待ちな、この食い逃げ!」
しかし、雌鼠は瞬く間に逃げていってしまった。
店内から1匹の雌狐が現れ、こう言った。
「はぁー…また逃げられた…。
ったく、只でさえ明王ゴキブリや魍魎蛸がうじゃうじゃ居るってのに、月に何回も食い逃げされたんじゃやってらんないわ…」
どうやら彼女はこの店の店主らしい。
と、其処に血徒が、
「あのーすいません。
俺が食い逃げ鼠を捕まえましょうか?」
すると雌狐は、
「あら、助かるわぁ…」
更に雨霧も、
「私も、皿洗いでもしましょうか?」
「え?貴方まで?いやー有難う…」
最後には死恋も、
「…俺はこの店の見張りをやりましょうか?
この区画は治安が悪いしバケモノだらけだ。
こう見えて接近戦と空中戦は得意ですから」
「いやー!有難う。それが一番助かるわね…」
3匹の積極的な態度に、雌狐―ミカヅキは感動した。
その後、血徒は食い逃げ現行犯を捕まえに走り出し、
雨霧は皿洗いに専念し、
死恋は見張りとして屋根の上に立った。
この時、ミカヅキは思った。
“この3匹を雇ってみよう”と
数分後、無事に仕事を終えた血徒と雨霧、死恋の3匹は、ミカヅキに呼ばれて彼女の前に集まった。
「これから貴方達を、この店で雇うことにしたわ。無論住み込みでねw」
それを聞いて3匹はとても喜んだ。
「私はミカヅキ、この『雌狐飯店』の店主よ。
それじゃあ、貴方達に仕事をあげるわね。
まずは…そこの可愛い猫ちゃん」
と、血徒の方を向き、
「血徒です。」
「じゃあ、血徒。
貴方、料理は得意かしら?」
「え…そりゃあ、プログラムされてますから…一般的な家事はこなせますけど…?」
「じゃ、料理係ね」
次に雨霧の法を見て、
「次に、そこの犬のお兄ちゃん」
「雨霧と言います」
「雨霧君か…良い名前だね。
それじゃあ、貴方には皿洗いと掃除係ね」
最後に死恋に近寄り、
「貴方…大きいのねー。
身長いくつ?」
「256cmですけど。
名前は死恋と言います」
「シレン?どういう字書くの?」
「死んだ恋で死恋です。
ところで仕事は…?」
数秒考えた後、
「…変わった名前ね…」
「よく言われます」
「決めた。仕事は店の見張りと用心棒、あと、空飛べるんだから買出しと強盗退治と店の修理もお願いね」
「はい」
「あと…貴方達の寝床だけど。
あのマンションを自由に使って良いわ。
あそこ、電気代も電話代も無料だから」
と、ミカヅキが指差したのはとてつもなく巨大な高級マンション。
3匹は驚いた。
が、上手い話だと思い納得した。
更に血徒と雨霧の手元に衣服のようなものが配られる。
「店の制服よ。着るも着ないも自由だけど、なるべく着てね。
死恋のは…合うサイズが無かったから注文しておくわ。
ささ、今日はもう遅いんだし、明日からバリバリ働いてもらうわよ。
開店は10時頃ね。
それじゃ、お休み」
と、ミカヅキは店内に帰っていった。
その後、3匹もマンションに入って行った。