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僕の魔法少女が機械と戦う訳が無い  作者: 黒江紅音
第一章 マジカルナナ、始まります!
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第七話 魔法少女、獣に出会う!

 魔法少女、本格始動です。


 僕の名前は藤代卓也、奈々ちゃんがロボットと戦うと言うなら僕だって戦いますとも! 怖いですけどね!



「卓也君、新しい魔法考えたよ!」



「お~! どんな魔法?」



「見てて~!」




 ロボットが現れてから噂だけが広まり、1ッ週間が経ちました。特に何も無かった事から人々は徐々に……、実は3日目には普段通りの生活を送っていました。

 僕や奈々ちゃん達は何時ロボットが出ても良いように、近くの大きな公園で特訓しています。遊具は勿論、野球のグランドやテニスコートなんかもあったりする公園で、実は奈々ちゃんが腕輪を拾った場所でもあります。



 魔法少女に変身する為の腕輪は、実は拾い物なんです。奈々ちゃんは拾い物で変身する魔法少女なのです!

 ……、奈々ちゃんに睨まれました。草むらに何故か惹かれて見てみたら、腕輪が有ったそうです。お姉ちゃんが言うには私が強い気に惹かれる様に、奈々ちゃんも魔法少女の資質が有ったから強い魔力に惹かれたんじゃないかな? という話でした。




 閑話休題です。僕らは野球場が有ったりするのに人が滅多に来ないこの公園で、訓練する事にしました。美由姉さんはタイヤをひたすら殴る蹴るしています。人間の体では硬さに限界があるから、力に頼らずに機械の装甲を壊す訓練をしています。僕と涼香ちゃんは訓練と言っても何をすれば良いか分からないので、とりあえず筋トレや走り込みをしています。




 奈々ちゃんはというと、新しい魔法を考えては僕達に見せてくれます。例えば、火を点ける魔法。ライターで点けた位の火で、使い所がありません。例えば水を浮かす魔法とか。水を浮かすだけで特に意味はありません。例えば、水を綺麗にする魔法。水道水が美味しく無いので、使えますが……。



 相変らず微妙な魔法ばかり作っている奈々ちゃんですが、その数が凄いんです! 1ッ週間で70個位作っているのです。余り変わらない様な魔法も多々あるんですけどね。そんな奈々ちゃんが今日もまた新しい魔法を作ったので、見せてくれるそうです。



「行くよ! 凍れ!」



 奈々ちゃんが両手で杖を前に突き出し、そう叫びます。この公園で特訓している時は、常に魔法少女モードな奈々ちゃんです。杖の先の空間がピシピシと音を立てて、白く濁り始めました。そしてその中央に透明な物体が徐々に姿を現し始めました。ただその姿は曖昧です。




 30秒位経った時に鍋にボールを打ちつけたような音と共に、透明な物体の大きさはサッカーボール(大人が使うようなモノ)位になり、その姿を安定させました。その形は水晶のような形です。



 それから奈々ちゃんは杖を振り上げました。するとその水晶も形を崩さず同調して、浮き上がりました。それから杖を思いっきり振り下ろすと、その水晶はこちらに飛んできまし、たぁああ。



「おぅわ! 危ないよ、奈々ちゃん!」



 僕の方に飛んできたその物体をぎりぎりでかわし、奈々ちゃんに講義します。物体が通る瞬間その周りの空気が涼しかったです。ちなみに僕の隣で一緒に見ていた妹の涼香はいつの間にか、ちょっと離れてました。



 嫌な予感がしたなら声を掛けて欲しかった。そうしようとしましたが、それよりも驚愕なことがあったのでそっちに気を取られそんな些細な事は忘れてしまいました。



「……草むら凍ってる」



 涼香の言う通り、僕がさっきまで居た場所の後ろにあった草むら周辺が凍っていたのです。



「うん! 例え相手がロボットさんでも傷つけたくないから、凍らせて動きを止めようって考えたの!」



「へー。じゃあどうなるか分かってて、魔法を前に飛ばしたんだ?」




「なんとなくイメージは出来てたよ! でも思った以上に時間が掛かっっちゃった」



「分かってたなら、僕のほうに飛ばすなよ~! あやうく凍っちゃう所だったじゃないか!」



 そう言いながら、奈々ちゃんの頭をぐりぐりします。奈々ちゃんは謝っていますが、気にしません! 氷付けにされるところだったのですから!




 ……結局、涼香にいじめいけない、絶対。と言われたのですぐやめました。奈々ちゃんの説明によると、あの水晶みたいのは氷の元らしいです。あれが何か物体に触れると凍るらしいのです。

 氷の元っていうのは魔法的な何からしいです。氷って水で出来るんじゃない? って、奈々ちゃんに言ったら氷って水から出来るんだよ? ってドヤ顔で言われてしまいました。



 兎にも角にも、奈々ちゃんが初めて攻撃的な魔法を創りました。これだけで戦うのは不安ですが、奈々ちゃんに物騒な魔法は似合わないし、なんとかなりそうな気がするので大丈夫だと思います。



 今考えるべきは、目の前の凍った草むらです。幾ら人通りが少ないからといって、凍ったままの草むらが真夏にあるのは可笑しいですもんね。



「な、奈々ちゃん。これって溶かせるの?」



「基本的には溶けないよ!」




 僕は誰かに見つかる事を恐れて、慌てながら小声で溶けないか聞きます。涼香も心配しているようで、頷いてます。すると奈々ちゃんはサムズアップ(親指を立てて手を前に出す仕草です)で、大きな声で答えてくれました。



「って、溶けないの!?」



「うん。そうだよ~。 凄いでしょ~!」




 凄いけどさ。今までの奈々ちゃんからは想像出来ない程、効果が期待出来る魔法だけど……。むしろ効果が凄過ぎるのが問題だよ。



「……奈々お姉ちゃん。凄いけど、草むらが凍ってたら可笑しいよ」



「あ、そっかぁ! じゃあ、”ライター”で溶かすね。」




 涼香もやっぱり同じ事を考えてたようで、奈々ちゃんに指摘してくれた。涼香と僕の思考は結構似ているみたいで、よく奈々ちゃんに言おうとする言葉が被ります。涼香の方がしっかりしてるけど。

 ”ライター”っていうのは、100円で売ってる様な子供が手を出してはいけないものでは無く、奈々ちゃんの魔法です。



 少し離れてるので、凍り付けになってる草むらは見てない美由姉さんが、火の魔法を創ってみてーっと言われたため、挑戦してみました。

 しかし奈々ちゃんが何かを傷つけるのも、火自体も苦手だった為にイメージが固まらず、中々創れませんでした。そこでライターをイメージしてみたら? っと僕が進言するとあっさり出来ました。ライターをイメージして出来たから、そのまま名前になったみたいです。





「って、火で溶けるの!?」



「魔法の火なら消えるように設定したんだよ!」



 また、ドヤ顔で答えられました。それにしても細かい設定が出来るようになったんですね。特訓中に分かった事なんですが、魔法に追加で設定が出来るらしいのです。例えば大きさの設定だとか。設定しなければランダムで変わるらしいです。

 設定するのに想像力が凄く必要になるらしく、始めのうちは大まかな設定をするだけで精一杯だった奈々ちゃん。何と言う事でしょう。今では、結構な細かい設定が出来る様になったらしいです。





 高さは膝丈位、幅は1メートル程の草むらが凍り付いてるのに、ライター程の火で溶かしに掛かっても時間が掛かります。(魔法に設定して、凍りつきを溶かすだけに。草むらは燃えないようにしているらしい)

 という訳で奈々ちゃんがせっせと頑張っている中、暇をしていると美由姉さんがこっちにきました。どうやら休憩しに来たみたいです。



「疲れた~。何も思いつかなかったよ~! って、何事!?」



 美由姉さんがこっちに来て直ぐに凍った草むらを見て良い反応、じゃなくて驚いていたので涼香と一緒に状況説明をしました。




「へ~、成程ねぇ。奈々ちゃん、ついに使えそうな魔法を考えたわね!」



「使えそうって……。他の魔法も中々使えるよ?」



 美由お姉さんが思ってても言わない方が良い事を言うので、反論します! 奈々ちゃんだって頑張ってるんだよ。余り使える魔法少ないけど……。




「ロボットに対抗するのに使える魔法って、事よ」



「美由お姉ちゃん、思考を戦闘から離そうよ……」



 美由お姉ちゃんの戦闘思考には飽きれてしまいます。昔から戦う事が好きで、色々な武道を習っていたそうです。今思えばその時に意地でも止めさせれば、女の子らしくなったんじゃないかと後悔している。そう父さんが言ってました。




「兄様……。お姉ちゃんは戦闘狂バトルジャンキーなので、思考は全部戦闘寄りになるのは仕方ありません」



「成程!」



「成程じゃない!」



 涼香の説明に僕は納得します。でも、美由お姉ちゃんが直ぐに否定します。その後、如何に私が普通かを話そうとしていたらしいのですが、戦闘狂を自慢されてたようにしか感じませんでした。




「あっちぃつーの!」



 奈々ちゃんの作業も後一歩というところで、僕達以外の声が聞こえてきました。声が低い声。草むらから聞こえてきました。声の質から大人かと思います。大人に見つかったかと思い、僕らの間に緊張が走りました。



 僕と涼香はお互いに顔を合わせて、それから意味も無く構えます。奈々ちゃんはライターの魔法を点けたまま固まってます。隠す事を指摘することも出来ない位、僕もテンパっています。美由お姉ちゃんも僕達と同じように構えているのですが、その意味合いが違ってみえます。威圧感が凄いです。




「寒い寒いっつーんだよ! はよぉその火で溶かせっつーの!」



 また声がしました。今度は聞こえてきた方向がはっきりしましたが、それが不思議です。なんと草むら、凍ってる・・・・草むらから声が聞こえてきたんです。

 そしてもう1つはっきりしたのは声の持ち主は口が悪いという事です。




「何をボーっとしとるんだっつーの! はよぉ、溶かせやそこの少女!」



「あ、はいです!」



 再度聞こえてきた声に怯え、動きを更にフリーズさせていた奈々ちゃん。再々度聞こえてきた声に更に怯え、元気な返事と共に溶かす作業を再開しました。僕と涼香はまた顔を合わせ、様子を見る事に決めました。美由お姉さんは構えを解かず、声の持ち主を目を開かず探しています。気配で探してるそうです。




「あっつー! あぁ、でも寒い! やっぱり熱い! いや、痛い? いやいやいや!」



「だ、大丈夫ですか?」



 うるさいです。声の持ち主は、ともかく騒がしい性格らしいです。健気に心配している奈々ちゃんは本当に優しい子です。




 それから奈々ちゃんが地味だけど大変な作業を坦々としてくれたお陰で、凍り付いてる場所がほんの僅かになりました。そうするとそろそろ声の持ち主も動けると思うのですが……。一切姿を見せません。声の低さの割に背は低いのでしょうか? 熱い寒いと叫んでるので、此処に居る事は間違い無いのですが。



 後少しという事で、僕と涼香を美由お姉ちゃんが草むらから離しました。奈々ちゃんが心配でしたが、美由お姉ちゃんが任して! というので仕方なく引っ込む事にしています。美由お姉ちゃんは奈々ちゃんの隣で何が起きても対処出来るように構えています。




「あー。やっとこさ出られたっつーのぉお!?」



 凍りが全て溶けるとそんな台詞と共に何かが草むらから飛び出してきました。最後の方が間延びしたのは、出てきた何かを美由お姉さんが素早く地面に叩き付けた為です。



 ここからだと何が飛び出てきたか分かりません。恐る恐る僕と涼香は2人と謎の何かの元に足を運びます。

奈々ちゃんはその謎の何かに手を伸ばそうとしています。どうしたのでしょう? 危ないじゃないですか。美由お姉ちゃんがソレを必死に止めています。



「奈々ちゃん、危ないよ!」



「あ、たっくん! 大丈夫だよ。だって可愛いタヌキさんだよ?」




 僕が奈々ちゃんを心配して小走りで向かうと、そこにはタヌキが居ました。な、なんとタヌキが居ました。この前動物園で見た時に皆で飼いたいねって言ってたタヌキさんが居ました。



 ど、どうやら先程の謎の何かはこのタヌキだったようです。なんでこんな所にタヌキが居るのでしょう? あれ? このタヌキ喋っていました? そ、そんな訳無いですよね!



「ごっつ痛いわー。口の部分だけ溶けたから、さっさと溶かせと言うたけど。そしたらワイの周囲は最後に溶かす鬼畜さ。酷いわー。そう思っとったら、出てきた瞬間はたき落とされるんやもんな! ありえへんわ!」




 タヌキがエセ関西弁で弾丸トークで喋り始めました。可愛いけど、うるさいです。僕らはただ呆然とするしか出来ません。



「ていうか、魔法少女のお姉ちゃん! ワイはタヌキやのうて、アライグマじゃい!」



 あ、アライグマだったのか!? って、そこが問題じゃありません。タヌキが喋るって、どんなファンタジーなんでしょうか? あ、奈々ちゃんが魔法少女って時点でファンタジーでした。





 果たしてアライグマに出会った僕達。実はこの出会いが魔法少女としての奈々ちゃんが急成長するきっかけになるのです! 口は悪いですけど……。

 しかし今はアライグマが喋るのが不自然で、ただただ呆然とするのでした。



 題名がネタバレって、アニメやら漫画やらでよくありますよね。書いてる側って余り気にならないものですね。むしろ楽しいですね。



 お久しぶりです。毎日更新出来れば良いんですけど。ペースを守って書かないと、書けなくなってしまう事が今までの経験で理解しているので。徐々にペースが上がればなーっと思っています。

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