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† Prologue …… 本屋にて


「あーあ……またしくじったよ……。」


東京都内の某区にある本屋に一人の青年、黒谷裕介が立ち寄る。

裕介の服はスーツで包まれて入るが、

顔立ちはまだ少しだけ幼さが残っている。


「『喧噪と骸』。あるかな……。」


本棚を漁る。

だがよっぽど几帳面なのか、一度出した本は折り目のつかぬよう

丁寧に本棚に戻す。


「ないな……。」

「『喧噪と骸』ならありますよ。」

「え?」


裕介は声の方を振り向く。

そこには裕介と頭二個分程背が違う少女が立っていた。

裕介は息を飲む。


少女の顔は精巧な人形のように整っており、

その顔を縁取る長い黒い髪は艶でまぶしく輝いている。

フリルの服なんかが似合うお嬢様のような外見だ。

ただ、彼女の服はシャツにリボンタイ。

そしてその上に上品な青いスーツを前を開いてはおっている。

黒い髪の上には白いリボンの付いた青いキャップが。


「『喧噪と骸』はないよ。」

「いや、私が今買おうとしたのです。」


少女は手元に持った『喧噪と骸』を裕介に渡す。

『喧噪と骸』はかなりページ数の多いミステリー小説だ。

思わず裕介は笑ってしまった。


「君が?結構これは難しいよ?」

「私を馬鹿にしているのですか?……私はこうみえて18歳です。」

「へ?」


裕介はほおけてしまう。

その様子を見て、少女は顔をしかめながら『喧噪と骸』を

裕介に無理矢理押し付け、どこかへ行ってしまった。


「ったくなんなんだ……?ま、もういいや。買わないよ。」


裕介は、『喧噪と骸』を本棚に返し店の外に出た。……が。


<ビー!!ビー!!>


何やらやかましい音が店内にこだました。

どうやら裕介にその音は向けられているらしい。

裕介が焦っていると、

赤っぽい茶毛のそばかす少女が裕介の前に立ちはだかる。


「ちょっとお客さん!荷物、検査させてもらいますよ!!」


そばかす少女は裕介の話も聞かずに裕介の

バックをひったくり、中を強引に見る。

そして中にはなんと『喧噪と骸』が……。


そばかす少女は、裕介の胸ぐらをつかみ笑った。


「うちの店で万引きとはえー度胸だなぁ!?ちょっと来な!」

「え、違うんです!これは何かの間違い……。」


裕介はそばかす少女にひっぱられて行く。

それを、誰かが止めた。裕介には見えないが。


「待ってください。犯人は別に居ますよ。」

「お、翼ちゃんじゃない。翼ちゃんの話ならきいたるよ。」


そばかす少女は裕介を無理矢理下ろし、

そして無理矢理に立たせる。

やっと気づいたが、翼と呼ばれるのはさっきの青い服の少女だ。


「あの。すいませんが荷物を拝見させてもらっていいでしょうか?」


翼は店の玄関口の前に居る男の服を引っ張る。

男は少したじろぎ、そしてあきらめたのかバックを翼に渡す。


バックの中には……。

なんと様々な本が入っている。


「貴方はこの人の荷物の中に本を入れ、騒動の間に逃亡……。」


翼は黒々とした不思議な瞳を光らせる。


「そうしようとしたんですよね?」

「なんと……バレていたのか。」

「はい。本当は本を入れている所も見ていました。」


男は、そのまま警察に連行されて行った。

裕介も警察なのだが、そんな事を名乗る勇気はなかった。

警察が見ず知らずの少女に助けられる等豪語同断。


「すいません。貴方、黒谷裕介さんですよね。」

「え!?あ、はい。」

「よくお話を聞きます。どうしようもない人間だと。」


裕介はその言葉を聞き、うなだれた。

確かにその通りだ。

……?裕介はふと顔を上げる。


「何で?誰から聞くの?」

「貴方の相棒……と言うより上司の、雪崎さんからです。」


ああ、と裕介は呟く。

だがこの少女と雪崎警部と何か接点があるのだろうか。

その顔を察してか、翼は喋る。


「……私は探偵でしてね。情報交換をしているんです。」

「へぇ……ん?」


何処かで聞いた事がある。

そう裕介は思った。

18歳の学生探偵。翼と言う名前……。


「知りませんか?霧里翼と言うのですが。」

「……あ。」


裕介はやっと思い出した。











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