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3.慶一の回想
実はなんというか…
俺と光は確かに…本当の兄弟じゃない。
だけどそれが『性格の不一致』に繋がっているわけではないと思う。 正直言うと…なぜ俺が光をうっとうしく感じるのかはわからない。
本当の母親は、親父の借金のせいで、俺が小学生の時に、身一つで家を飛び出したまま、未だに帰ってこない。
マザコンだった俺は、母親が家を出たことよりも自分を連れていかなかったことにショックを受けた。
その後は大した記憶がない。楽しい記憶も悲しい記憶も。
そして数年後、親父は借金を返し、新しい女…つまり今の母親と結婚して、その息子が光だった。
光は最初からあんな軽いやつだった。
一瞬「弟ができる」と聞いて喜んだが、また俺は家族に心を閉じた。
そのまま今に至るのだから、当たり前だが高校卒業とともに家を出たきり、帰っていない。
今の母親は意外にも優しい人間で未だに電話があるが、実の父親にいたってはメールすらない。
回想に夢中になっている間に、愛ちゃんと光は話に夢中になっていた。