1.さびれた職場
慶一と光という、現代にありがち…だけどちょっとずれて屈折した兄弟の、素直になれない兄弟愛と恋愛を混ぜたお話です。
最近このサイトを始めたばかりで、使い方があまりよくわかっていないので、不備がございましたらご連絡いただけると嬉しいです。
感想などもいただけると今後の参考にさしていただけるので、よろしくお願いします(^^)v
それでは軽~いお気持ちでページを進めてください♪♪
俺とあいつは、一言で言うと不仲。
いや、不仲と言ってもまさか殴り合いの喧嘩をするわけでもない。
なんだろ……とりあえず、あいつが俺を「兄貴」と呼ぼうとも、なんの感情も湧かないのだ。
昼下がりの路地裏の古びた喫茶店…
そこが俺の仕事場。
昼下がりの路地裏の古びた喫茶店…しかもなぜか人間一人いない土地で、よく「やっていけるのか。」という冷やかしを、通りすがりの人間に投げかけられる。
確かに。それ、正論。
だいたい、こんな最悪の立地条件に客商売を始めようとしたマスターに疑問を感じる。
もはや勇者レベルの決断。
しかしそんな勇者レベルのマスターのもとに、よく常連は「天使が来た。」という。
週3でバイトに来ている、女子大生の愛ちゃんの事だ。
愛ちゃんは、彼女が高校入学の頃から店で働いている。
しかし俺には、なぜ愛ちゃんがこんな古びた喫茶店で働き続けるのか、いまいちわからない。もっと時給がよく魅力的な店はあるだろうに。
愛ちゃんに聞くと、いつもそのアイドルのような笑顔で、「落ち着くんです。働きたいから働いているんですよ?」と言い、「慶一さんはどうしてこのお店で働き続けるんですか?」と聞いてくる。
それは俺にも全くわからない。 変な愛着でもあるのだろうか。
なぜ愛ちゃんがこの店の天使かというと…
愛ちゃん狙いでこの店に来る常連…つまり愛ちゃんファンが少なからず存在するからだ、と俺は思っている。
なんたって、愛ちゃんが出勤している日は例え客足が極端に少ない夜の7時くらいでも、まず客足が途絶えることはない。
しかし、他の曜日は閑古鳥も鳴けないほどにさびれてしまうようだ。
きっと、この店は愛ちゃんに救われていて… まずマスターも変なかぶり物をする前にそこに留意し、感謝することが必要だと、俺は遠まわしに言い続けているがその気配は一向にないようだ。