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ななしのワーズワード  作者: 奈久遠
Ep.6 転移者たちの弁証法
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Packdog's Paradox 03

「よォ、ルーキー。今日はどんな儲け話を持ってきたんだ? アタシも噛ませろよ、キャハハハハ!」

「相も変わらずブサイクな面構えだな、パレイドパグ。中華工商銀行の計画倒産と国費投入というマッチポンプ、あのリーク情報はかなりの儲けになったはずだ。どれだけつぎ込んだかはしらんが、最低でも10万COINの益は出ているだろう。それを不満とは言うまい」

【そうそう! あれはリズもおいしかったかも。そういうキミはどれだけ儲けたのさ?】

「1COINも。必要ないからな」

【へぇ。ワーズワードって、やっぱ変わってるよねぇ】

「てめェにだけは言われたくねェ話だな。そもそも、あんなはした金じゃ、城の一個だって買えやしねぇってんだよ」

「なんだお前は城が欲しかったのか。それなら地中海の孤島にいい物件がある。地権者は去年の希伊戦争で死亡、登記情報も適当民族らしい戦後処理でうやむやのまま。電子登記済証を書き換えるくらいなら、30秒もあればできてしまうが」

「へー、なんだそれおもしれェ、ちょっとやってみろよ」

「構わないが…………これだな、――:wq。ほら、これで城が一つお前のものだ。パレイドパグ」

「マジで30秒か。23番のくせにやるじゃねェか、 キャハハハハ!」

「……思うのだが、お前はエネミーズの通番を能力的な序列か何かと勘違いしていないか?」

「ッせーな! ルーキーは古参のアタシに従ってればいいんだよ。おい、で、アタシの城はなんて名前なんだ?」

「ああ、それも合わせて設定済みだ。城名は『ワンワンパラダイス☆おいでよ駄犬の城』。地権者名はパレイドパグ。間違いなくお前のものだな」

「…………」

【あははははっ、さっすがワーズワード!XD】

「てめェ!」


 それは在りし日の会話である。在りし日――具体的には30と2日ほど前だが。



 ◇◇◇



 パレイドパグと俺とは、ベータ・ネット内ではそこそこ友好的な関係を保っていた間柄である。

 女だったのか。それはまあどっちでもいい話だが。

 しかし、その存在がこの世界、この場所に現れたとなれば、話は別だ。

 まさか俺のアイシールド内に残った可能性のある魂変換プログラム『ミーム・トランスレーター』の技術情報をハックできたというわけではないだろう。そんな手抜かりは俺にはない。

 俺と同じく独自開発によりこの地に達したというのであれば称賛に値するが、パレイドパグの持つ専門技術系からすればそれも考えにくい。なによりも、ミームに関する知識がなければ、その発想の入り口にすら立てないのだから。

 となれば、先ほど奴が口にした通り――


 ……アルカンエイク、か。


 パレイドパグが俺の顔を知っていたと言うことは、ちゃんと全世界に俺のプライベート情報が暴露されたということだろう。

 西洋人のくせにアジア人の顔の見分けをつけられたとは、偉いことだ。

 なんにせよ、向こうで何があったのか少しばかり情報交換をしたい。それには明るすぎる源素が邪魔だ。

 俺は、パレイドパグの身にまとわりつく源素群に向かい、拡散の念を送る。

 ……む。

 だが、それは完全には成功せず、パレイドパグ前面の源素を多少押しのけるだけの結果となった。

 まあ十分か。

 

 そこにいたのは、尻もちをついた態勢で驚きに目を見張る若い女の姿だった。

 『世界の敵』に名を連ねるには少し若すぎる……少なくとも俺よりは年下だろう。

 髪は金髪ではなく、黒に近い灰褐色グレイブラウン。目も黒いことを考えれば、アジア系に見えないこともない。

 ややぼさぼさなノンケアの髪は、パソコン依存の人間にありがちな身だしなみのルーズさだろう。肩口までの長さの髪をぶっきらぼうにまとめている。

 尻もちをついた体勢のため、まず真っ先に目に入るその脚を見れば、ピンクとイエローがストライプとなった原色ゴテゴテのオーバーニーに、ジーンズのホットパンツ。

 その痩身を包むのは、あっかんべをした顔つき爆弾が意匠された品のないTシャツだ。

 サイズがあっていないため、右の肩口が大きく開かれている。そこにピンクの肩ひもが見えているが、それはまあ見せブラという奴だろう。

 もっともブラが必要なほどのふくらみは存在していないようだが。

 そして最大の特徴は、その大きな目だ。つり上がった目尻。目の大きさに対して、黒目が小さい。三白眼というやつだろうか。

 それがむき出しの犬歯と相まって、攻撃的なイメージを与えている。

 俺とは別の意味で自分を偽らない姿格好だ。

 だが、まあ……こんな安っぽい格好の人間が『世界の敵』であるとは、誰も思わないだろうな。

 その口元から小さく言葉がこぼれる。


『なんだ、やっぱり生きてるんじゃねーか……』

『ん、ああ、死んではいないな。ようこそ、と言いたいところだが、こちらも事情がさっぱり判然らない。まずは少し情報交換をしないか?』

『…………』

「待つのじゃ、ワーズワード。その者はお主の知り合いなのかや?」


 そこに口を挟んできたのは背にしがみつくアラナクアを負ったニアヴである。


「そのようだ」

「やはり、お主が関係しておったではないか!」

「……反論できないな。とはいえ、俺が原因ということではないぞ?」

「ならばその答え、その者に聞こうかの。たとえお主の知り合いであったとしても、アラナクアの治地を侵したとあらば、このままというわけにはいかぬ。まずは、その身、拘束させてもらう」

「いいんじゃないか。……殺すなよ?」

「……本来ならば、アラナクアに殺されておっても仕方なき状況なのじゃぞ? 全く、相手が妾でよかったの」


 さすが、心優しき狐様である。

 

『オイ、ルーキー、何話してるんだ。アタシの前でわからねェこと話すんじゃねーよ』


 そこで、やっと立ち上がったパレイドパグが口を開いた。

 俺とニアヴを見るパレイドパグからは警戒の色が見える。


『ああ、すまない。情報交換と言ったが、その前に事情聴取が先という話のようだ。大人しく拘束されてくれるか』

『ハッ、エネミーズ相手に大人しく拘束されろだ? 正気で言ってんのか』

『それもそうだな』


 それは素直な感想である。

 捕まれと言って、はいそうですかと捕まる相手なら世界の敵などやっていないだろう。

 だが、ここは俺たちネット上のサイバーテロリストが万能を誇る仮想の世界ではない。肉体一つ――声の届く、手で触れられる距離にしか己の力を行使できない厳しい現実の世界だ。

 イヤだといっても駄犬一匹、なんの抵抗もできないだろうに。

 そして、会話をする俺たちの横で、ニアヴはすでに一つ魔法の図形を構築している。


 黄源素x1、赤源素x1、白源素x8――


 10個の源素は四足歩行の動物の象形を描く。


「――疾く来たれ【コール・リープ・タイガー/飛虎】!」


 【コール/詠唱】による魔法発動でニアヴの手のひらに集められた源素が大きく空中に展開し、源素配置が単純な象形から具体的な骨格位置へとその場所を変える。

 源素の輝きをそのまま残し、そこには一匹の青い獣が出現した。

 

 なるほど、こうやって唱えるものなのか。

 その存在を知っているシャルは、その姿に笑顔さえ見せるが、フェルナ、セスリナを初めとした村人たちは驚きと恐怖の表情を作る。

 パレイドパグの反応もまた後者に属する。

 

『――青い虎ブラウ・ティーゲルだと……クソ、ふざけんな、さっきからなんなんだこいつらは!?』

『一言で言えば、ヘクサ。魔法使いというやつだな。なかなか面白いものだろう』

『ワーズワード――ッ』

「ゆけ、飛虎よ!」

「くるるるっ」


 地球上の言語で話す俺たちのやりとりを無視して、ニアヴがさっそく飛虎をけしかける。

 ただの一飛びで5メートルを移動した飛虎が、その前足でパレイドパグの背中を押しつぶした。

 

『ぐぎゃ!』


 なんとも色気のない声を発して、パレイドパグが地面に縫い止められる。

 バタバタと手足を動かすが体躯相応の質量を持つ飛虎の足はピクリとも動かない。

 まあ、こうなるだろう。

 

「なんじゃ、あっけないの。アラナクアよ、お主はこの程度の者に何をやっておったのじゃ」


 呆れた声でニアヴが感想をもらす。

 まったくもって同感である。

 だが、アラナクアはそんなパレイドパグの姿を見ても、ニアヴの背から離れることはなかった。むしろ、怯えを増幅させているようにみえる。


「ああ、だめなのニアう、あの子に魔法つかっちゃ」

「どういうことじゃ?」

『……てめェらふざけたことばかりやりやがって……』


 飛虎に押しつぶされた状態で、パレイドパグがニアヴを睨みつけて、そう呟く。もともとの目つきの悪さに加え、怒りの為か紅潮した表情がとても凶悪である。

 と、パレイドパグの身にまとわりつく源素がその感情に呼応するかのように渦を巻いて暴れ出した。

 

『このパレイドパグ様をなめんじゃねェ――ッ!!』

 

 渦を巻く源素がバチバチと衝突を繰り返す。その瞬間、明確な図形こそ作られていないが、魔法発動の光が発生する。

 源素の見えない皆にもこの光だけは見える。今、パレイドパグを中心に、連続したフラッシュが焚かれているような状況が発生していた。


「これは――」

「ぴぃ!」

「な、なんじゃ!? どうなってるのじゃ!」

「ニアヴ。一つ聞くが、お前たちは感情が乱れたとき、例えば怒りや苦しみか。そういったとき、勝手に意図しない魔法が発動したりするのだろうか?」

「このようなときに、なにを冷静に質問しとるのじゃ!? 感情で魔法が発動することなど、あるわけなかろうが!」

「そうなのか」


 であればこれは、多くの源素を従える俺たち地球からの来訪者でしか、発生しない状況なのかもしれない。

 また一つ、源素に関する新しい情報だ。感情の暴走など俺には起こりえないので、今の状況は貴重なサンプルである。

 俺は目の前の状況をより注意深く観察する。

 赤、青、黄色、そして緑に白というカラフルな光の渦。源素同士が干渉し、互い衝突を繰り返しているように見える。とある一点で、それら全ての色の源素が同時にぶつかり――

 

 バチンッッッ!

 

 一際大きな光が弾ける。

 衝突のあと、そこに一粒の『黒い源素』が浮かんでいた。

 

「……源素を合成した?」


 黒源素が、飛虎を構成する元素図形の吸い寄せられるように近づき、光の手を伸ばして、額に位置する黄源素と新たに手を結んだ。

 

「くるるるおおんっ!」

「なっ、今度はなんじゃ!? 落ち着くのじゃ、飛虎よ!」


 一度苦しげに鳴き声を上げた飛虎が、その前足を動かしパレイドパグを拘束から解き放った。

 そして、地面から立ち上がったパレイドパグに顔を寄せ、頬ずりさえしてみせる。

 今や【リープ・タイガー/飛虎】の魔法は完全にパレイドパグの制御下にあるように見えた。


「ほう」


 俺とは方法が異なるが、これもまた『魔法奪取マジック・ハック』の一つの形であろう。あの若さでも、サイバーテロリスト『エネミーズ16』の名は伊達ではないらしい。


「な、なんじゃと!? 飛虎よ、妾の声が聞こえぬのかや!」

「ぐるるるるる……」

『……キャハハハハ! なんだ、やっぱどうにかなるじゃねェか。よくもやってくれたな、この化け物ども……アタシの一張羅が台無しになっちまったろうが!』


 言葉の通じていない相手にここまで母国語で語りかけられるパレイドパグはさすがドイツ民族の唯我独尊っぷりである。

 まあ英語にしたところで通じはしないので、仕方ないのだろうが。

 そこでアラナクアが、またも涙声でニアヴに話しかける。

 

「そうなの~。あの子に魔法を使ったら、なんでか、その魔法がこっちに返ってきちゃうの」

「ばっ、この阿呆、なぜそれを先に言わぬのじゃあ!」

「ぴぃ、ごめんなの、ニアう~」


 飛虎の制御を奪われたニアヴが、いつも以上に怒りの声で兔の化生を責める。


『ブラウ・ティーゲル……なんだ、かわいいモンじゃねェか。アタシの言うことをちゃんと聞くようだな』

「ぐるるる」


 冷静さを取り戻したパレイドパグが、飛虎を撫でながらこちらに俺に向かい、何事かをわめいてきた。

 

『ワーズワード、てめェその化け物の側だってのか!? 新人のてめェをあんだけかわいがってやったアタシを差し置いてよ』

『かわいがられた記憶もその事実も一切ないわけだが』

『うるせェうるせェうるせェ! ……ハッ、ちょっと心配して見に来てやったってのに、てめェみたいな恩知らずにはお仕置きが必要だな』

『心配? それこそ意味不明だ。お前と俺は心配されるような関係にはないはずだぞ、パレイドパグ』

『…………じゃあ、もういいぜ』


 謎の逆ギレを見せたパレイドパグが、不気味な沈黙を見せる。

 言葉ではない危険な何かを察知したフェルナが、その氷の剣を抜いて俺の前に立ち、シャルとセスリナを後ろに下がらせた。

 キッと目を剥いたパレイドパグが、俺に向かい飛虎をけしかける。


『もう、てめェなんて知るか! やれ、ブラウ・ティーゲル!』

「ぐるるるる!」

「くっ!」


 俺の前に立つフェルナが襲い来る飛虎の巨大な爪に警戒を露わにする。

 例え凍結の魔法効果を発動させようとも、魔法生物である飛虎にそのまま通じるとは思われず、そして巨体から繰り出される一撃は、多少の魔法効果など無視して、フェルナを吹き飛ばしてしまうだろう。

 

『ワーズワード! てめェなんざ、アルカンエイクのオーダー通り、しんじまえ!!』

『だが断る』


 しかし、飛虎は魔法生物であるが故、その爪は俺には届かない。

 フェルナにすら届かぬ場所で、俺の手の一振りで【飛虎】は消失した。

 

『な』

「はああぁぁ!?」

「ふあ、なにあの人族の子、すごいの~」

 

 あとは――

 

「アラナクア」

「なに~」

「お前の空間転移の魔法を解除してくれ。逃げられると面倒だ」

「う、うん~」

「フェルナ」

「はい、さすがです、我が群兜マータ。私の出る幕はありませんでした……ッ」

「あー、それはいいんだが。とりあえず、あの狂犬を確保しておいてくれ。もう危険はない。普通に近づいて手足を縛ってやればいいだろう」

「了解しました」


 直後、『ちょ、アタシに触るんじゃねー!』「暴れないでください、確保します」という互い通じていないやり取りが聞こえてくる。


「で、ニアヴ」

「……なんじゃ」

「すまないが、アレのことは俺が責任を持つので任せてくれないか」

「……お主が解決したのじゃ、好きにするがよい。じゃが、さっきのはどういうことじゃ、説明せい!」

「なの!」


 二匹の獣の化生が、ズイと俺に迫ってくる。


「あれか。そうだな、ニアヴが飛虎を奪われた状況、その結果だけを見れば、パレイドパグに相手の魔法を跳ね返す、または乗っ取る能力があるように見えるかも知れない。しかし源素を視ることのできる俺には、源素の合成現象とそこから生まれた『黒源素』の存在が明瞭はっきりと見て取れた。ちなみに黒源素は、通常では存在しない源素だ」

「それは先ほど、あの娘の上で起こった発光現象かや」

「そうだ。そして、魔法を奪う効果はおそらくその黒源素に由来する力であり、パレイドパグ自身の持つ能力というわけではない」


 俺もパレイドパグも一部専門的なIT知識を持っているだけのただの人間。現実世界ではなんの力も持たない一般人でしかないのだから、当然だな。


「それもパレイドパグが意識して生み出してるようには見えなかったので、偶然の産物なのだろう。最初から魔法など使わずに拘束していれば良かったのだろうがな」

「ぴぃ、だって、あの子、何言ってるかわからないし、目がこわいから」

「アラナクアよ、お主はその臆病さをどうにかせぬか!」

「だって、ニアう~」


 子供か。

 濬獣ルーヴァという存在は、本当になんなんだろうな。


「そして、源素に関わる制御技術であれば、俺に一日の長がある。俺に、飛虎の持つ物理攻撃に耐える力はまったくないが、【飛虎】のコアとなる源素の図形接続それ自体に干渉し、接続を解除することくらいならできるというわけだ」


 これもまた、セスリナの【パルミスズ・マインド・ネイ/風神伝声】の魔法効果を目の前で握りつぶしたように、既に実証済の技術である。結局は全ての魔法の源である『源素』を制することができれば、その上に発現するいかなる魔法効果にも干渉可能というわけだ。

 

「『魔法妨害マジック・ジャミング』『魔法奪取マジック・ハック』とはまた異なる源素操作の形――そうだな『魔法解除マジック・キャンセル』とでも名付けようか」


 名前なんてどうでもいいのだが、分類するための識別子としてはあった方がよい。

 こうして無駄に属性分化をさせてしまうのも、ハッカーの性かもしれない。

 驚きに満ちたニアヴの表情は、だが、苦悶をも同時に表現している。


「お主の話は毎度次元が異なりすぎじゃ!」

「さて、そんなつもりはないのだが」


 次元が異なるか――まさにその話をしなければならないのだろうな。

 まずは、パレイドパグがここに現れた事情について、そして、アルカンエイクとの繋がりについて。

 それが終われば俺の計画失敗後の地球の様子について、これは本当に肉体ごとの転移なのか、時間の流れは、などなど。

 俺の中でそれらの疑問を消化した後にはやはり俺の出自について、そろそろ話す頃合いだろう。

 シャルに。ニアヴに。

 地球という場所。俺という人間について――


 聞くべきことがあり、そして伝えるべきことが沢山あった。


 そんな俺に、長身の兔の化生が声を掛けてくる。

 

「でもでも、ありがとうなの~~っ」

「ん? なん――ッ」

『ぎゃーー! てめェ、この化け物、ワーズワードになにしてやがんだ!』

「はわわわ、ワーズワードさんっ」

「バカ者、早う、そやつを放さぬか!」

「やー、なの~♪」


 強力な拘束力により、足すら浮かされる俺の身体。 

 何も見えない柔らかい空間に、藻掻けば藻掻くほど俺の頭が飲み込まれてゆく。

 ねぇ今どんな気持ち? とかは聞かないで欲しい。

 今の状態を受け入れることも拒絶することも、大変に難しいのだから……男としては。

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