Double Dragon 14
戦場へ進む進軍の中、ダスカーがフェルナに話しかけた。
「フェルナ・フェルニ、お前も冒険者なんだってな」
「はい。主に聖国で活動しております。金獅子の二つ名は聖国にも聞こえておりました。こうして隣に立てることを嬉しく思います」
「よせよせ。冒険者同士、堅苦しい。ダスカーでいいぜ」
「では私もフェルナと」
頷きあう二人。
歳も近く、共に冒険者である二人には通い合うものがある。
ダスカーは古王国遺跡を探索する一攫千金型の冒険者であり、フェルナは貴人警護や道案内、物資運搬といった安定職型の冒険者だ。
遺跡荒らしと冒険者を分けるもの、あるいは便利屋と冒険者を分けるもの。それは仕事の内容ではない。冒険者組合に属しているかいないかである。
遺跡を探索するから冒険者と呼ばれるのではなく、冒険者組合に属しているから冒険者と呼ばれるのだ。社会保障制度の整っていない世界であっても危険を冒す仕事に対しては最低限のセーフティが必要である。
特異な才覚や強い腕っ節があっても、なんの後ろ盾も人脈もない個人が仕事を得るのは難しい。そんな彼らが食うに困れば、犯罪に走ることになる。
そうならないためのセーフティだ。
国は法の遵守と引き換えに組合を庇護し、組合は身分登録と引き換えに冒険者に仕事を斡旋する。
仕事があれば犯罪率は減るし、遺跡から発掘したアーティファクトも闇取引ではなく、正当なルートでの取引ができる。組合は冒険者が社会とつながるための窓口であるとも言える。
そして、組合に属する者は皆同じ扱いが認められる。魔法使いであっても獣人であっても扱いに上下はない。冒険者は平等だ。
組合に身を置く冒険者自身も同じ認識であり、ダスカーとフェルナも同様であった。
「フェルナ。アニキの策、お前はどう見る」
ダスカーのいうアニキとはワーズワードのことである。今更ワーズワードさんなどというお上品な呼び方は性に合わず、ワーズワード様は叔父上と同じでなんとなくイヤだ、そう思った末の呼称である。ワーズワードは自分がどう呼ばれようと気にしない人間なので、アニキ、大将、天才軍師、黒い髪の人、黒い服の人など様々呼ばれてるが、どんな呼ばれ方も良しとしていた。
「群兜の策は絶対です」
「お前もそう思うのか。姫さんのあれは恋する小娘の夢想みたいなモンかと思ったが、お前もそう思うんなら、本物ってことだな」
「ダスカー、私は一介の冒険者にすぎません。あまり買いかぶられても困りますが」
「そうか? 多分だが、お前は自分じゃない誰かのために剣を握ったタイプだろ。誰かのために剣を握るってなぁ、自分より強い何かを相手にする強さを求めたってことだ。強くなけりゃ、大事な何かを守れないからな。俺みたいに自分のために冒険者やってるヤツはヤバけりゃ逃げるし、失敗しても笑って済ませられるが、お前はそうじゃねぇ」
「……」
「だからお前は俺ほど自由じゃないんだろう。そのかわりに、お前は強い。剣とか槍の腕の話じゃないぜ? 失敗できない以上、頭も良くならなきゃいけねぇし、判断は慎重だろ。自分にできるあらゆる全てを研ぎ澄ませる必要がある。そういうヤツは信用できる。俺が叔父上を尊敬する理由もそれだ」
フェルナはダスカーの横顔を見た。
見事な黄金の髪。髪とつながる立派なあごひげは獅族の成人男性の証でもある。
人は外見ではない。生まれでもなければ、種族でもない。その人がどういう人物であるのか。それは共に行動し、話してみて初めてわかるものだ。
思えば、群兜もそうだ。今の自分が群兜に全幅の信頼を寄せているのは、ただ妹の人を見る目を信じたという理由だけではない。
それはただのきっかけで、その後、共に行動する中で群兜の言葉を聞き、行動を見、そしてその心の在りようを知ったからこそ、今の自分がある。
妹のことを抜きにしても、これからも群兜について行きたい、一緒に歩みたいと思っている自分が確かにいるのだと。
「あなたにはないのですか、守るべき何か」
ダスカーが笑う。
「がうう、俺はそれを見つけたくてここに来たんだぜ」
『金獅子』ダスカー。古王国遺跡より生きたアーティファクト『瑟奧啾の黄金の牙』を持ち帰った獅族の若き勇者だ。
金鼠・ヒウリスは六足天馬・卷躊寧の従神の一柱であり、日照りを司る神でもある。
名を持ち、発動方法が判明している『生きた』アーティファクトは、それが竜から持ち出しを許された品物だということだ。
それが故の勇者。勇者とは実績の称号だ。竜を斃す強さではなく、竜に認められた人物に贈られる最高位の称号なのだ。
フェルナが返す。
「あなたなら必ず見つけることができるでしょう。いえ、気付いていないだけで、それはもう見つかっているかもしれませんね」
◇◇◇
【パルミスズ・バード・ビジョン/風神俯眼】の魔法で主戦場を俯瞰する。
敵騎の動きはっと……速度を増しての中央突破でくるようだな。
戦車の向かう先は御者くんとフェルナを配した中央の陣である。ここまでは完璧だ。
昨日の一戦で、魔法無効化の魔法道具程度では六足馬の突撃は防げないと見抜かれたのだろう。見抜かれたというか、そうでないと困るのだが。
そういう意味では俺の求める最低限有能なレベルの指揮官がいるようでよかった。
御者くんとフェルナが魔法道具発動のタイミングを図る。
風神騎兵対策に新しく作った魔法道具が最大の効果を得るためには、六足馬を最もよく知る御者くんの指示が必要であり、それを実行にするには御者くんとコミュニケーションが取れるフェルナが必要だった。
非戦闘員の御者くんに全部やってもらうのは難しいし、初対面の人間が御者くんと意思疎通を行うのはもっと難しい。
なので、本当なら出したくなかったのだが、ここでのフェルナの起用は仕方ないところである。
戦車隊をギリギリまで引きつけたところで、御者くんがフェルナになんらかの指示を行ったのだろう。最前線から後方に引いてゆく姿が見えた。
俯瞰の視点で見る限り、戦車隊の先頭は本当に目と鼻の先である。
投射系・投擲系の魔法であれば、もう届いてもおかしくない距離だ。
だが、フェルナはまだ動かない。
フェルナであっても目の前に六足馬の戦車が大群で迫ってくる光景はかなりの恐怖であるはずだ。御者くん、ちょっとタイミングがシビア過ぎませんかね。
少し心配になってきたところでやっとフェルナが動いた。
「――発動『たぬきのはらつづみ』」
ドゴドーーーンッ!!!
そして、戦場に爆音が響き渡った。
「なんじゃーっ!?」
「なんなのじゃーっ!?」
大気を震わすビリビリという振動に、俺と一緒に待機していた小ニアヴ兄妹がビコンッと尻尾と耳を立てた。
「そういえばお前たちには説明してなかったな。落ち着け、あれはこっちの作戦だ」
「阿呆者、事前に聞いておった妾でも驚いたわ。初日の大砲の音を軽く超えた爆音ではないかや!」
「そりゃあ、音に特化した魔法道具だからな。【フォックスファイア/狐火】をベースに生み出したオリジナルマジック【ラクーンバースト/狸爆破】。爆発力に特化した【狸爆破】から更に爆音効果だけを取り出したものが【ラクーンロア/狸爆音珠】と名付けた魔法道具の効果だ。このようにぽこぽんというかわいい音が出る」
「全然かわいくなかったのじゃ」
「心臓が飛び出るのじゃ」
「大げさな。まあ、それに近い効果を期待した兵器ではあるが」
火力のない爆発の発生。つまり、空砲である。
この世界にも大砲はあるが、それは投石器や投石機の類をそう呼んでいるだけである。
それ以上の大規模破壊を起こしたければ、大砲技術を進歩させるよりも一人の高位の魔法使いを雇用した方が安上がりなのだ。
例えばミゴットの使う【マルセイオズ・フローズン・アックス/水神氷斧】の魔法を最大規模で唱えれば、城壁を一撃で粉砕する破壊力を持つ。
物理的な魔法でなくとも、一面を火の海に変える魔法や、全てを洗い流す濁流魔法がある。単純に城内に乗り込む目的なら城壁を破壊するより転移魔法の方が静かで便利だ。
なんにせよ、地球とは異なり魔法を頼った文明発展を遂げたこの世界において、火薬が生み出す系の爆音は大変に珍しいものであるのだ。
「狸は」
「死刑な。はいはい。六足馬は音に敏感な動物なので、このような大きな爆発音に弱いというのが御者くんの見解だ。それを俺が魔法道具的に実現した。効果は見ての通りだ」
【狸爆音珠】の発動と同時、六足馬の半数は絶叫とともに六本の脚を痙攣させて転倒した。戦車にブレーキが付いているはずもなく、加速された戦車はその勢いのまま前方に放り出される。
地面の上に放り出された神官はまだ幸運で、上下が逆になった戦車の下敷きにされた神官は全身骨折の重傷を負ったのではなかろうか。
倒れた六足馬はそのまま気絶、あるいは骨折してもはや立ち上がれない状態だ。
転倒を免れたものも、聞いたことのない爆音に半狂乱となり、やはり戦車から振り落とされる神官が多数出ている。
制御不能の暴走機関車と化した六足馬が明後日の方向へ走ってゆく。聖都方面へ向かう六足馬が多いのは帰巣本能によるものだろうか。
なんとか制御を取り戻せた戦車は二〇に満たない。それだって、暴走を止められただけで、一度あの音を聞いて足を止めた六足馬はムチを入れてももう命令通りには走らない。
足の止まった騎兵など遊園地のメリーゴーランド以下の脅威である。
俯瞰する視界の中に動きが生まれた。
「ダスカーが動き出したな。神官は……逃げるようだな。動けない仲間を捨てて我先に駆け出していくあたりさすが神官様だ」
まああんな重そうな肉の塊、助けたくても担げないだろうが。
「勝負は決したということかや」
「このまま何事もなければ、だが」
楽観はしない。まだできない。なぜならば――
「――何事もなく、というわけにはいかないでしょう」
「当然よ。我らがおるのだからな」
声は頭上から。
俯瞰の視点に集中しすぎて目の前の警戒を欠いたか。いや、そうだとしてもいきなり過ぎる。
となれば、これは空間転移の魔法か。
「ぴぃ、化物なのじゃ!」
叫んだのは兄妹の妹、シズナである。
事実、それは化物のような生物だった。
「何者じゃ!」
「ぶぶふふふ。貴様が魔境の獣、ニアヴであるな。我が名を神座まで届け逝け。我は近衛神官筆頭、オーム・ザラなり!」
鋭いニアヴの誰何に宙に浮かぶ物体が答える。
神官衣を着ているのでなんとか人間なのだとわかる。それくらい、人とは思えぬほどに肥大した肉体を有していた。
地球にある肥満大国で毎年やっているファット・チャンピオンシップ・トーナメントに出したら、ノーマークからいきなり優勝をかっさらえそうなほどの見事な肥満っぷりである。
宙に浮かぶオームの足が見えないのは、胡座をかいていることだけが理由ではない。その体勢で上下を逆転させて、頭を下に向けて浮いているのだ。
余った頬の肉が重力に従いぐにょんと頭の方に流れ、長い耳の先すらを肉の中に埋めている。シズナが思わず化物と叫んでしまう気持ちも判然らなくはない。
これが近衛神官、それも近衛神官筆頭だと?
そう、俺が楽観できないのは近衛神官の存在があるからだ。まさしく今、それが現実になっていた。
空中に浮かぶ影はもう一つある。
「どうも。お久しぶりです」
もう一人の人物。こちらはオームに比べれば非常に小さな丸い影を地面に落としている。
身体の向きも上下正常なので、やはりオームの気持ち悪い浮かび方の方が特異なのだろう。
久しぶりという言葉の通り俺はその人物を知っていた。
「……アスレイ・ウット・リュース近衛神官」
「はい。フレイリン大神官長の騎兵突撃の策。あなたなら必ず逆手にとってくると信じていました」
「そうと知った上で、捨て駒にしたのか」
「そうでもありません。あれは捨てるにはまだ惜しい駒です」
空間転移による上空からの奇襲に似合わぬにこやかな声。
ドン――――ッ
遠い戦場に火柱が上がった。
継続中の遠見の視界の中、同じく宙に浮かぶ二人の神官の姿が見えた。
「向こうも始まったようですね」
こちらに二人、向こうに二人。合計四人。
開戦三日目。四神殿はこのタイミングでついに最強の手札を切ってきたのだ。
どこかで来るとは想定していた。そのために大小ニアヴを動かせる準備もしてきた。虚を突かれたとは思わない。
――だがやはり、先制されたという認識は拭えない。
「なるほど、これは少しまずい状況のようだ」
「ワーズワードッ」
「判然っている。魔法道具の数だけは揃えてある。耐えるだけならそうそうは崩れない。ニアヴ、行けるか」
「無論。じゃが、妾抜きでこっちは大丈夫かや」
「ニアヴ様、任せて欲しいのじゃ」
「そうなのじゃ、兄者と私がいるのじゃ!」
「儂の双曲刀も健在じゃて。ニアヴ様、どうか若者たちをお頼みいたします」
「だそうだ」
「……わかった。お主の力を疑うわけではないが、ゆめゆめ慢心するでないぞ。相手は魔法を極めた人族の最高峰、近衛神官じゃ」
そう言い、ぐっと腰を落として両足をバネに変えるニアヴ。
ニアヴの身体能力があれば、遠い戦場へもそう時間をかけず到着できるだろう。
速さでいえば、【アンク・サンブルス・アンリミテッド/孵らぬ卵・限定解除版】による『大脱出』の方が速いのだが、動的図形の構築には多少の時間がかかる。それまで空中の二人が指をくわえて待っていてくれると期待するのはさすがに虫が良すぎる想像だろう。
ニアヴの動きを制するようにオームが輪を描くように両腕を動かした。
「ぶぶふふふ、行けると思うてか。我より逃げること何人も能わず。この世の全ては掌の上……我が腕の内に滅せ。――潰せ【ジマズ・アース・グラスプ/地神地殻掌握】」
◇◇◇
ゴッ――
突如、目の前に火柱が立ち、渦を巻いて燃え上がった。
「なにごとだッ!?」
素早く視線を動かしたダスカーの目が高い空に浮かぶ二つの影を捉えた。
「ちっ、空中からの攻撃か。そりゃ、四神殿を相手にしてんだ、そうくるよな。手の届かないところからってんだから魔法ってなぁ、ほんとズリーぜ。……てめぇら、一旦引け、もう一丁でかいのが来るぞ!」
【狸爆音珠】で六足馬の無力化に成功し、足を止めた風神騎兵を包囲しようとした矢先、空中からの奇襲を受けたのである。
戦場に現れたのはたった二つの影だ。
だが、二つの影の浮かぶ空は高く、槍も剣も届かない。弓と矢があったとしても重力に逆らいあの高さまで届かせるのは至難の業だろう。
そして、二人いる内の一人がこの炎の魔法を使ったのであれば、次にもう一人の魔法が来ると予測するのは容易い。
そんなダスカーの想像を外さず、空中に浮かぶもう一人が光を発した。魔法の発動光だ。
今度は氷の槍が無数降り注ぐ。
「――くっ、『まじっく・ばりあー』!」
「だめだ、遠すぎるッ」
【マルセイオズ・シール・シールド/水神封魔盾】の魔法は、魔法の発動それ自体あるいは発動したばかりの魔法を打ち消すことを可能とするが、【コール/詠唱】の声さえ聞こえない遠距離の魔法攻撃には対応できない。
故にワーズワードの作成した【マルセイオズ・シール・マーブルズ/水神封魔玉】の魔法道具も氷の槍を無効化できない。
どのような魔法も距離が離れれば威力が落ちるものだが、上空から無数にばらまかれた氷の槍は重力に引かれて、距離が離れるほどに逆に加速度を増して殺傷力を上げる。
魔法に精通した近衛神官から見れば、単純に魔法無効化の手段があるからといって、手の出しようがないなどという話にはならない。対魔法防御について万全を期したワーズワードであるが、昨日一戦交えただけで、四神殿は対抗手段を準備してきたのだ。
「ぐあっ」「がっ」「ぎゃああッ」
氷の槍に一撃で人を死に至らしめる威力はないが、降りしきる雨を避けて歩ける者も存在しない。
傷を受けるのは手足に肩といった防御しづらい部位。運の悪い者は頭部に氷槍の一撃を受け、その場に倒れ伏す。
ダスカーが命令を飛ばす。
「周りを見て立てねぇヤツがいたら手を貸してやって、後ろに下がれッ。まだ戦えるヤツは俺のところに集まれ!」
「ダスカー」
一番に歩み寄ってきたのはフェルナである。幸運にも身体のどこにも傷を受けていない。
あるいは、類まれなその美貌に傷をつけるわけにはいかないと、氷の槍も遠慮したのであろうか。
「おう、フェルナ。お前も御者さんを連れて下がれ。お前らは俺の部下じゃない。怪我させるわけにはいかねぇからな」
「それは――」
言いよどむフェルナ。だが、ダスカーは反論を許さぬ口調で言う。
「いてくれちゃ、邪魔だってんだよ。こっからじゃよくわからねぇが、多分あれが近衛神官ってやつだろう。それなら、アニキが動く。俺の仕事はそれまでの時間稼ぎだ。なに、無茶はしねぇさ」
「ダスカー」
御者くんという非戦闘員を守ることもまたフェルナに与えられた使命である。
苦々しく頷き、後方に下がろうするフェルナ。だが、その足はすぐに止まった。
御者くんがついてこないのである。
ふるふると首を振る御者くん。
「どうされたのですか。ダスカーも言ったとおり、我々はここにいても邪魔になるだけです」
だが、なおも首を振る。
何かを言わんとしているのだとフェルナは気づいた。
「何かお考えがあるのですか」
「(こくり)」
御者くんが頷く。
これまでの旅で馬車を進めてきたのは御者くんである。彼はある意味で誰より先頭に立ってきたのだ。
口数が少ないため誤解されやすいが、御者くんは借りてきた猫ではなく、共に旅をしてきた戦う仲間だ。
群兜は共に頭を悩ませ策を練るほどにその存在を認めていたというのに、自分はまだ一方的に守る存在としてしか認識していなかったのだと、フェルナは己の不明を恥じた。
それが間違いだと気づいたフェルナが御者くんに返せる答えは一つだけだった。
「どのような策はわかりませんが、御者様を信じましょう。ここは、私が道を切り開きます」
危険だから避けるのではなく、危険に飛び込んで進まねばならない時がある。それが今だ。
腰の鉄剣を鞘から引き抜く。
その柄頭には一つの宝珠が固定されている。
「――『アブソリュート・ゼロ』」
コマンド・ワードを受けたフェルナの愛剣が青く輝いた。