神の享受
そこにあるのは神の享受か迷妄か
あぁ………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様…
感謝しています。あなたに、あなたに。このような肉体に私は巡り会えた。なんて素敵なことでしょう。一挙手一投足に生の実感を感じ、一声一音に思いを感じ、一日一日に魂を感じています。目の前に広がる暗がり。冷たい空気。冷たい床。冷たい壁。冷たい鉄格子。冷たい手。その全てに温度を感じます。なんて、なんて嬉しいことでしょう。私は、あなたから享受された全てに喜べる。あなたが見える。そんな気がします。初めてあなたが見えたのはいつでしょうか。おそらくまだ背が低く、あらゆるものが巨大に見えていたときからでしょう。何の変哲もない日常の風景の中にあなたが現れた。その姿は透明で、けれど姿ははっきりとしていて、語りかけてくる。無味乾燥とした日常にあなたは変化を与えてくれました。しかしあなたは恥ずかしいのかすぐに姿を隠してしまう。それでも声だけがいつも聞こえてくる。耳の奥の奥。あなたの声がはっきりと聞こえてきました。何をするときもいつもいつも。傷つける奴らとは違って、あなたは私を傷つけない。頭部を殴ることもない。腹部を殴ることもない。背中を蹴とばすこともない。いつもいつも、黙って私を見ていましたよね。恥ずかしながら、ときにはあなたを恨みました。取り巻く奴らが私を傷つけても、手を差し伸べることも、助けてくれることもない。ただいつも私の耳元で囁き、たまに姿を現す。そんな自由で愉快なあなたをときには恨み、ときには妬み、ときには羨んだ。もしもあなたが私なら、私があなたならどんなによかったことか。いったい幾度そう思ったことか。
ある日。母は私に刃物を突き付けました。私を異常者だと罵り、死ねと連呼した。あれほど悲しい思いをしたのは久々です。慣れていたはずなのに。母はそれからまるで獣のように飛び掛かり、私の腕を切りつけた。あなたは私を助けませんでしたよね。腕から滴る鮮血を、あなたは癒そうとしなかった。母はどこからともなく現れた父とどこかに消えて、赤く染まった私はその場に突っ伏しました。救いが欲しかった。手を差し伸べてほしかった。けれども私に与えられたのはあなたの声だけ。
よかったね………………よかったね………………よかったね………………よかったね………………よかったね………………
私は理解できませんでした。それから今度は父が、私を暗い場所に呼び出し、顔を殴り、腹を殴り、あちこち蹴とばし。口から血反吐を噴き出しても彼は辞めず、ピクリとも動けなくなったとき、父はどこかへ消えていった。そのときもあなたは助けてくれませんでした。それどころか
よかったね………………よかったね………………よかったね………………よかったね………………よかったね………………
と言うばかり。どうしようもない憎悪と嫌悪が湧きあがったのを覚えています。なぜ私は生まれたのか。せめて声をかけてくれるならそれを教えてほしかったです。
それは他の場所でもありました。私と同じ歳の人間が、私より強いからと言って私を傷つけ、身ぐるみも金銭も奪われました。ある者は殴り、ある者は蹴り、ある者は罵り、ある者は奪う。十数年、そんな日常は変わりませんでした。あなたは変えてくれませんでした。そう思っていました。
けれどもようやく、あなたは変えてくれましたよね。私の前に久しく現れたあなたは美しかった。いつもと変わらぬ日々の中で、あなたは私に姿を見せた。いつも見ているはずなのに、そのときのあなたは今までよりも美しかった。おそらくこの先の人生であなたほど美しいものをみることはないでしょう。あなたは私に語り掛けてくれましたね。
………………やっちゃえばいい………………
理解も同情も救済もなかった。その一言が私を救いました。私の中の何かが弾けたのか、変わったのか、壊れたのか。私は救いにすがりました。あの日はいつもと違う夜でした。まさに聖夜です。私は父と母に別れを告げ眠りにつきました。父も母も理解に苦しんでいるような表情で私を見ていました。母は最期に私に向かって
狂ってる
と言い、父は最後に
助けてくれ
と言いました。過去の自分がその光景を見たらなんて思うのか。愚かで醜く下劣だと思うでしょう。あなたはそのときも私に言ってくれましたよね。
………………やっちゃえばいい………………もっともっと………………
やはりあなたは神様だ。全ては救われるために。震える手に力を与えてくれたあなたには感謝しています。産まれて初めて救われた気がします。救いと自信、そしてあなたの声に包まれて、私は寝床につきました。神判の日に備えて。あなたが享受してくださったものを信じて
あぁ………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神様………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………神さま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………かみさま………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………カミサマ………………………………………………………………………………………………………………
アリガトウ
カミサマアリガトウゴザイマス コンナワタシニコンナシアワセヲクレテ アナタガアタエテクレタモノヲ ワタシハヒロメテマイリマス ミナヲキュウサイシマス アナタガシテクレタヨウニ ソシテカミイガイノスベテノミナサン アナタタチモスクッテアゲマショウ カミヲモクゲキシタノナラ アナタモスクワレマス ソレデハ サヨウナラ




