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それは内製した社内システムのメンテナンスをしている時のことだった。
しとしとと朝から雨が降っていたある日、私は初めて安藤さんから社内システムのメンテナンスをお願いされた。
とても簡単なメンテナンス内容だ。
うちの会社で取り扱っている製品が数品番追加されることになったらしい。
その中に一つだけ今の品番よりも長い名前の品番がでてきたのだ。
内製している社内システムは10年以上前からあるシステムで古いつくりをしている。そのため、品番の長さが変わっただけでもシステム改修をしないと正常に動作しないのだ。
今回も新しい品番を登録しようとしたところ、エラーが発生したと営業部門の横溝さんから連絡があった。
幸いにも新しい品番が発生しても実際の受注開始まではまだ一ヶ月近く時間があるとのこと。受注を開始するまでに品番が登録できれば問題ないということで時間はたっぷりとある。
「今時文字数制限をしているシステムって見かけないですよ?」
「そうだね。昔はね、文字数制限が主流だったんだけどね。」
「そうなんですね。」
安藤さんと話ながらシステムを改修していく。
今まで文字数を固定していたから、今後は可変にする予定だ。そうすれば、品番が何桁になってもシステムに登録することができる。
つまり、品番の長さが変わったからといって、システム改修が不要になるということだ。
安藤さんに品番の登録を固定の長さから可変にしたいと相談したところ、安藤さんは眉をしかめた。
けれど、私は自分の意見を押し通したのだ。
今時文字数制限なんて古い考えだと、安藤さんの意見に耳を貸さなかった。
自分が正しいと思い込んでいたのだ。
どうせ、文字数の問題だ。その都度新しく発生した品番の文字数に合わせてシステムを改修するなんてばからしいと私は思っていたのだ。
「まあ、そこまで言うんだったらやってみなさい。」
安藤さんはそう言って、最終的には折れてくれた。
「ありがとうございます。」




