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今日も情シスは恐怖に慄く  作者: 葉柚
甘いコーヒーは危険な飲み物

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「はい。情報システム部の麻生です。」




『パソコンが起動しないんだ!なんとかしてくれよ!!』




 嫌な予感がして出た電話からはそんな声が聞こえた。


 


「電源は入っていますか?パソコンの電源コードが抜けていたりましませんか?」




『そんなことどうでもいいから、早くなんとかしてよ!もうすぐ始業時間になっちゃうじゃないかっ!!始業時間までになんとかしてくれよ!!』




 ……こっちだって始業時間前なんですけど。


 


 電話口でのあまりの言い方に思わずムッとしてしまう。


 でも、これも仕事だとぐっと抑え込む。




「では、すぐにお伺いいたします。お名前と部署をおしえていただけますか?」




 相手は名乗らないので、すぐに様子を見に行きたくてもどこに行けばいいのかわからない。


 普通は電話口で開口一番に名乗るのがマナーなんじゃないかな。


 


『営業部の磯野!!早くしてよ!あと一分で始業時間じゃないか!!』




「わかりました。今からお伺いいたします。」




 磯野さんは電話口でワーワーと喚き散らしている。


 磯野さんというのは入社してまだ数ヶ月の新入社員だ。第二新卒で採用したと聞いているがあまり良い噂を聞かない。




「朝からごめんね。対応をお願いします。」




 安藤さんの気の毒そうな表情に見送られて私は情報システム部を後にした。









「オレのせいじゃないっ!情報システム部が悪いんだっ!!パソコンを管理しているのは情報システム部だろう!!パソコンが起動しないのは情報システム部の責任だっ!!」




 営業部に行くとコーヒーの匂いが鼻をくすぐった。


 どうやらみんな、今日オープンしたばかりのコーヒースタンドに寄って来たらしい。


 喚き散らしているのは電話をしてきた磯野さんだった。


 喚き散らす磯野さんを上司である御手洗さんが睨みつけている。




「すみませんっ。遅くなりましたっ!パソコンの状況を詳しく説明していただけませんか?」




「遅いっ!!始業時間になっちゃったじゃないかっ!!オレが御手洗さんに怒られただろう!!」




「……もうしわけ……。」




「麻生さんは謝らなくていいから。パソコンが起動しなくなったのは磯野くんが悪いんだろう?自分のミスを他人に擦り付けるなと何度も言っているだろう。」




 条件反射的に謝ろうとしたら、御手洗さんに止められた。


 少なくとも御手洗さんは私の味方のようでホッと安心して止めていた息を吐きだす。


 


「オレは悪くないっ!!」




「……パソコンにコーヒーを溢したのは磯野くんだろう?」




「えっ……。」




「コーヒーを溢したくらいで起動しなくなるようなパソコンを割り当てた情報システム部が悪いんだっ!!オレのせいじゃない!!」




「えっ……。」


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