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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

俺だけの

作者: さんさい




「えーー、あそこの装飾が前と違う!かわいい!

あ、こっちも違う!

あれめっちゃいい!ねえ、翔、俺あれつけたい!」






「うんいいね。蓮似合いそう」






翔は僕を見て微笑んだ。

俺たちはテーマパークに来た。俺がテーマパーク好きで、前から翔と行きたいと話していたのだが、なかなか予定が合わず先延ばしになっていた。今日は2人とも休みで、まだそこまで暑くない今ならいける、ということでようやく念願叶って2人でやってきたのだ。

翔は「俺は興味ないから、楽しめるか分かんないからなー」と初めは言っていたが、どうしてもとお願いすると「まあ、蓮が楽しそうだし行こう」と言ってくれたのだ。去年は受験で全く来れなかったし、その前もなかなかテーマパークまでの距離や時間のこともあり来ていなかったためかなり久しぶりだ。前とかなり装飾も変わっていてワクワクする。






「翔、とりあえずお土産買いに行こう!」






「え、最初に買うの?」






「うん、そうしないと帰り混むから。

あと、キーホルダーも買うよ!お揃いのやつ」






「わかった。蓮に合わせるよ」






俺と翔は出入り口付近にあったお土産屋さんに入った。俺は前から欲しいと思っていたタオルとランダムのミニの置物を買った。ちなみに俺は頭につけるのは苦手なため、普段はミニぬいぐるみをバッグにつけることが多い。あまりしている人はいないが。ということで、今日は今回のイベント衣装のキャラクターのミニぬいぐるみを買って、翔とお揃いにした。うん、いい感じ。






「このぬいぐるみいいじゃん!翔も似合ってる!

よし、あとのお土産はロッカーに預けよう」






「ぬいぐるみ付けると、

一気に遊びに来た感出るなー」






「だろ。やっぱり物事は形から入らないと」






「カチューシャはいいんだ?」






「うん、どうせ乗り物乗る時に外さないといけないし、俺の髪質的に結構ずり落ちてきて邪魔になるから」






「ふーん、そうなんだ」






「翔ってほんと来たことないんだな、テーマパーク」






「うん、ない。家族もそんな行くようなタイプじゃないからなー。俺自身もあんまり興味ないし」






「今回は俺の好きなコースで回るから覚悟しておいて。もししんどくなったらどこかのレストランで休んでていいから教えてよ」






「わかった笑

蓮の好きなコース楽しみにしてる」






俺たちはまず今回のイベントのメインキャラクターの乗り物に並んだ。やっぱりこれはマストだよなー。このために来たようなもんだし、こういうイベントの時にだけ現れる仕掛けもあるから外せない。






「俺はこれさえ乗れればもうなんでもいいかも!っていうくらいだから」






「やっぱりイベントって特別なんだ?」






「そりゃあ、普段はメインとして扱われないキャラクターが押し出されるから俺としては是非とも楽しみたいわけよ!アトラクションも特別verになったりするし」






「そうなんだ、まあ確かに装飾もそれ用だもんな」






「そうなんだよ!それもいいよなー、そんなところにもあるんだ!?っていう驚きもあるし、楽しめるよなー」






やはりイベント中ということもあり、どのアトラクションもかなり待ち時間があったため俺たちはうだうだ他愛もない話をしながら過ごした。






「こういうのってやっぱり相性の問題かな」






「ん?なにが?」






「待ち時間の話。やっぱり長いじゃん。しかも立ち止まって、歩いて、立ち止まってを繰り返すから休めるわけでもないしさ」






「相性はありそうだよな〜。そもそもあんまり待てない人はここに来ようってならないだろうし。

来てもお金かけて時間短縮図るんじゃね?」






「確かに。

あ、俺あそこのトイレ行ってきていい?

実はずっと行きたくて」






「うん。俺飲み物買って外で待ってるわ」






「了解。じゃあこのあたり待ち合わせで」






「はいよ」






俺がトイレから外に出ると、翔はすでに飲み物を買って待っていた。そして、隣に2人組の女の人がいた。・・・・うーん、あれは、ナンパされてる?

俺は思わず駆け足になりながら翔の方に向かった。






「なにか御用ですか」






俺がそう声を掛けると、女の人たちは俺の方をみてびっくりしたような顔した。でもすぐさま笑顔に戻って、甘めの声で話しかけてきた。






「いえ、お兄さんがかっこよかったから話してみたいなぁと思って。もしかして、お友達ですか?」






「お友達もかっこいいですね!

もしよかったら私たちと一緒に回りません?ちょうど2:2だし」






「あー、い「俺たちデート中なんで結構です。行くぞ」」






俺は翔の声を遮って、そう告げると女の人の方を見向きもせず翔の手を引っ張ってその場から離れた。翔は「え!!?」と目を見開いている。俺はそんな翔を無視してズンズン前に進んだ。俺は女の人たちからかなり離れたタイミングで口を開いた。






「翔のバカ。なんで早く断らないんだよ」






「いや、断ってたけどしつこくて。

てか、よかったの?」






「何が?デート中なのは間違ってないだろ」






「そうだけど、あんまり広めたくないって感じじゃないいつも」






「そうだけど!

なんかいつもよりオシャレしてくれてる翔がかっこよくて、俺の好きなものに付き合ってくれたのが嬉しくて、なのに、それをいきなり邪魔されたのが嫌だったの!俺は!」






俺は立ち止まって翔の方を見ながら言った。ギリギリ周りの人には聞こえていなさそうで、急に立ち止まった俺らの方をチラッと見るだけで、大して気にしていなさそうだった。






「・・・・そっか、そっか。今日の俺かっこよかったのか。それで嫌だったのかー、へえ。なるほど。

あーあ、今日は幸せな日だなー、本当に」






「ニヤニヤすんな。俺は嬉しくない!」






「いやー、蓮は今日も可愛いね。

お詫びというかお礼にあのメインキャラクターのTシャツ買ってあげる」






「可愛くないから!

・・・・あとTシャツは白い方がいい!」






「了解」






翔は俺の手を握ってお土産ショップに向かった。

一生そうしとけ。翔は俺のこと大好きって顔で、俺のためにご褒美を買って、俺のこと可愛いって一生言っておけばいいんだよ。




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