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ヌヌチヌフロイヤル 1  作者: なまじゃけ
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ヌヌチヌフロイヤル 1

前のアカウントからの転載です。

二巻以降を書けないからわざわざ端から端までコピペしました。

あ、決して無断転載などではないですよ!?

                   第〇章 変わらない日々


 夏の猛暑日に自転車を漕ぎ学校へと向かう、ただそれだけの些細な出来事に不満を感じている。いつにも増して暑いからではない。自分にとって変わり映えのない退屈な日々に向かって、なぜ自転車を漕ぎ進めてまで向かう必要があるのかが、気になって仕方ないからだ。何も出来ない側からしたらどうでもいい話だが、僕みたいな人を嘲笑い高みの見物をしている彼らにとっては、笑い話みたいなものだろう。周りから指摘され、逃げも隠れも出来ない世界で僕はまた歩き始める。何も感じなくなり、まるで他人に動かされている操り人形のようになった僕をなぜ笑うのか。今すぐでもこんな生活が終わって欲しいと、今日も届かないはずの思いを心の中で叫んでいる。


                    第一章 不安と希望


 7月16日、僕はいつも通り目を覚まし、自室を出る。階段を下った先には、弁当を作っている親がいた。僕は親と挨拶を交わす事なく朝食を食べる。その後準備を済まし、炎天下のガレージに置かれた自転車を漕いで学校へと向かう。学校へ向かう途中、今日も同じことが起きる事に何かを感じそうで何も感じないような中途半端な思考で現実から離れようとしている。学校に着いたら、同じクラスの陽キャ軍団が一目散に駆け寄り、開口一番「おいwいつまで煽られりゃあ気が済むんだ?」と僕の存在にケチつけてくる。重い足取りで階段を上り、自分の机へと歩いて行く。日頃の疲れが溜まりに溜まっているのをわかっていても対処できないせいで、歩く姿はまさにゾンビのようだった。ようやく机の近くまでやってきて、真っ先に目にするのは机の上に書かれた落書き。僕は荷物を置き、何も無いかのように落書きを消す。朝のホームルームで名前を呼ばれる度、周りの反応にだけ敏感になる。「出席番号19番 日蔭(ひかげ)ヌロス」自分の名前を聞くたびに、何故こんな名前で産まれてきたのかが不思議でしかなかった。そうしてまた周りから笑われ馬鹿にされると言う現実を受け入れるしかなかった。

 昔聞いた話によれば、僕の父はどこかの国のハーフらしい。だからそれきっかけでこんな名前になったんだろうけど、正直母もあまり気に食わなかったらしい。それからいろいろあって、2人は別れたらしいんだけど、詳しいことはよく知らない。何年経っても疑問でしか無いから、なんて言えばいいかも微妙だった。

「...って感じです。」

週に一度のカウンセリング。今まで友達にも話しにくかった、いや、もはや友達もいないみたいな感じの身だったから、誰にも話さなかった。

「そうですか...。それはかなり大変だったでしょうに。」

先生は黙々と僕の話をメモしていた。

初めて頼りになる人を見つけたような感じがして、心の中には僅かな安心感があった。

夕方の校庭には、チャイムの音が鳴り響いていた。

「他に何か話したい事はある?」

自分が今まで経験した中で一番の安心できる時間が終わってしまう事を、どうにもできないと思ってしまい、僕は僅かに首を横に振った。

「ありがとうございました...。」

カウンセリングが終わる頃、辺りには夕焼けがこべり付いているかのようなオレンジ色が広がっていた。

そうしてまた1人、自転車を走らせる。

 家に着いた時、ポストの中に手紙が入っているのが見えた。僕はポストから手紙と朝取り損ねた新聞を引っ張り出した。玄関からは、人の気配を感じられなかった。どうやら、母は到着直前の僕と入れ違いで仕事に向かったようだ。僕はリビングに手紙と新聞を置いた。どうせやる事が無いからと、改めて手紙を手にして中身を見てみた。封筒の中に、何かの招待状のような紙が入っていた。手紙には僕の名前が書かれていた。呆れるほど何の取り柄もない僕に手紙を送る人なんか、相当な変わり者でないとありえない。僕は少し警戒しながらも、丁寧に折られた手紙を開いた。

【ヌヌチヌフロイヤル 招待状  日蔭ヌロス 様】

本当に意味がわからなかった。「ヌヌチヌフロイヤル?何だそれ。」とか疑問に思う前に「何で僕が選ばれたのか...。」という気持ちが勝っていた。子供が適当に付けた名前みたいなバトロワに招待されたのが何故僕なのか。最初はゲームの大会か何かかと思っていたが、どうやらそうでもなさそうだ。指定された時間は7月17日の午前10時、その時間は授業の真っ只中だ。こんな人の事考えてなさそうな時間にやるってことは、そんな軽いもんじゃないのかもしれない。詳しい事は現地で説明するらしい。(え?今現地って言った?)とにかく、僕はこんな劣悪な環境から少しでも離れられるのならと、手紙に名前を書いた。その瞬間、手紙は塵のようになり、ベランダから外へと飛んでいった。これだけでも不思議でしかないのに、この後更に不思議な事になるなんて、当時の僕は考えてもいなかった。

 次の日、集合場所などが何も書かれていない状態だったから、そのまま学校へと向かった。この後は話さなくてもわかる。いつもの集団に絡まれて色々と悩まされる。それから色々あって2時間目、国語の先生に指名されそうでされない緊張感はいつも通り。淡々とノートに板書に書かれた事を写していったら、いつの間にか約束の時間になっていた。一体、何が起こるのか。機動隊が攻めて来て、僕を連れて行くのだろうか。それともリムジンが迎えにくるのか。ありもしないような想像をしていたが、しばらくしても変化はなかった。

「やっぱり嘘か...」

そう言ってシャーペンを再度手にした瞬間、本当にありもしないような事が起こった。それも、想像を遥かに超えていたのだ。

「え?何!?」

「地震だ!机の下に隠れろ!」

予定より少し遅れた時間に、地震が発生した。その時、叫び声と共に慌てふためくみんなの姿が目に入った。

「何してるんだ日蔭!早く頭を守れ!」

先生の声は僕に届いていたはずなのに、何も聞こえないような感じだった。だって、それどころじゃなかったからだ。教室には亀裂が入り、その後真っ二つに割れた。そうして出来た裂け目から、突如として竜巻が発生した。辺りは更に叫びで満ちた。竜巻はゆっくりと大きくなり、その後僕達を呑み込んだ。

「あぁ...。僕、ここで死ぬのか...。」

意識が朦朧としていて、今の状況を上手く呑み込めなかった。

段々聞こえなくなる叫び声、宙を舞う瓦礫と人々。何もわからない...いや、わかれないような景色を最後に、僕は意識がなくなった。


 気づいた頃には、知らない場所にいた。辺りには草花が生え、とても綺麗だった。でも霧のせいであまりよく見えない。まるでこれが夢かのように、僕はこの状況を信じられないままそっと立ち上がった。今いる場所、広場らしき場所にはゲートがあり、その先には綺麗に整備された道があった。整備されたと言っても、歩きやすいようにされただけの茨道だった。辺りを見回すと、他にも倒れ込んでいる人が何人もいた。起こしてもあれなので、とりあえずその場を後にし、道を辿る事にした。

 それから辿る事約10分、ある程度したところでやっと霧が晴れた。その先には、なんというか...言葉でいい表せないようなとても美しく、手入れのされた城があった。本当に素敵だった。扉の前にきて、入るかどうか少し悩んだが、とりあえず入る事にした。想像通り、中も綺麗だった。人の気配はなく、薄暗い。小窓から光が差し込むだけだった。時刻は11時58分。とりあえず、12時を待つ事にした。響く足音と共に、秒針は刻一刻と12時へ針を進める。


カチッ


時刻は12時をまわり、鐘の音が響き渡ると共に窓が開いた。

「ようこそ!ヌヌチヌフロイヤルへ!」

12時の鐘と共に何者かが現れた。逆光のせいで顔もよく見えない。僕はあまりの勢いに

「うわぁ!え?お前誰!?」

と叫んでしまった。

「もう、初対面の人に『お前』とは...、失礼なやつですね。私はここ、ヌヌチヌフロイヤルの案内人です。」

「え?案内人?」

「そうです!私は貴方の敵ではありません。れっきとした案内人です!」

「この場に案内人という存在がいるのも驚きだけど、いきなり現れて来たらこっちも驚くじゃん!」

「へへっ、そりゃすみませんね」

案内人は少し楽しげな感じがしていた。多分案内人としての仕事ができてるからかもしれない。それからここについて案内人に色々聞いてみた。

「あの、このヌヌチヌフロイヤルって結局何なんですか?」

「え?なんで知らないの?」

(逆になんで知ってると思ってんだコイツ)

「じゃあ説明してあげよう!それは今から何百年も前の事...」

「いや流石にそこまで行かなくてもいいって」

「なんだよ、つまんないやつだなぁ。まぁ簡単に言えば、選ばれた人だけが招待されて勝てば人生が180度変わる...みたいな感じ。どう?これでわかった?

「え?あ、まぁ...。」

「ならいいね!」

なんか、案内人に弄ばれてる感じがした。別に腹が立つというわけではないが、なんか気になる。

しばらくすると、他の人たちも城の中へとやってきた。

「ようこそ!ヌヌチヌフロイヤルへ!(中略)」

まさか自分だけ同じ話を二回も聞かされるとは...。

その後は他の人たちから色々聞いた...わけでもなく、一人で辺りを歩き回ってた。その時、どうせ友達もできないであろう僕に誰かが話しかけてきた。

「君、こんな所で何ずっとぐるぐる回ってんのさ。」

僕と同い年くらいの女子高生だった。今まで女友達なんかできた事なかったから、どう対応すればいいかわからなかった。

「え、あ〜っと...うん。特に理由はないけど...」

「え〜?なんか隠してんじゃないの〜?」

(恥ずかしすぎる!今まで関わりのない女子との会話なんて何をどう返せばいいかもわかんないししかも同い年だよ!?なんなら誰とも話さないつもりで一人歩き回ってるの見られてたってやばいじゃん!今までにないくらい恥ずい!死にそう...!)

「い、いや何も...」

あまりの緊張感に体が震えていた。初対面なのにめっちゃ軽いノリで話しかけて来るのが本当に驚きでしかなかった。まるで、どこかで一度会ったみたいに...。

「さて皆さん!これからパートナーと2人1組になってもらいます!」

(終わったぁ〜〜〜...。)

今後のバトルで問題が起こってはいけないので、2人1組で戦いに挑む決まりになっているようだ。この事を案内人が説明しなかったのも、僕達をからかってるのかもしれない。案の定、あの女子と同じペアになってしまった。今はとにかくそれに対する失敗が怖い。

「じゃ、これからよろしくね!」

「よ、よろしく...お願いします。」

「そんな敬語使わなくてもいいよw」

本当に恥ずかしい。今はそれしか頭にない。

 全員のパートナーが決まると、それぞれが指定された自分の部屋へと行く事になった。

「407号室...ここかな?」

部屋に関してはあまり期待はしていなかった。でも扉の先にあるのは、なんと外見からは想像がつかない程質素な四畳半の部屋だった。何もなさそうな感じがしたが、皆が欲しているであろうものが沢山あった。僕はそんなに何かしておきたいという気持ちもなく、部屋の真ん中に置かれた座椅子に座って、映るかわからないテレビをつけた。テレビには、僕が住む地域のニュースが流れていた。「異世界的な場所でも一応いろんな地域のやつ見れるんだなぁ」とか不思議に思いながらもテレビを見ていると、僕は今までにない衝撃の出来事と画面越しに対面する事になってしまった...。


                    第二章 現実と非現実


【私立高校にて原因不明の自然災害発生 9人が死亡か】

僕は言葉を失った。自分が通う学校で唐突に発生したあの災害がニュースで報道され、しかも死人が出ているのだ。唯一の信頼している人が被害に遭っていたらどうしようと不安になり、僕は頭を抱えていた。でも、その後に流れた報道で更に困惑した。

死亡したのは、僕の事をいじめ続けてきたクラスメイトだけだった。

運が良かったのか、ヌヌチヌフロイヤルに助けられたのか。なぜいじめをしてきたクラスメイトだけが被害に遭ったのか。様々な疑問が頭を飛び交った。真実を知る前に、僕は心の中でどことなく安心感を感じていた。僕にとって大事な人が被害に遭わなかった事、いじめっ子グループがこの世から消え去った事、色んな感情が入り混じって、何を一番に考えるべきかわからなかった。

「えぇ!?俺の町が!?」

隣からデカい声で叫んでいる声が聞こえてきた。他の場所でも、同じような現象が発生したのだろう。でもそれらは必然として、"過去に自分を傷つけた人"が被害に遭っていた。これはあくまでも僕の推測だが、ここにいる人たちは皆"辛い経験をしていた"のではないか。皆過去にとある事情があって、それに対する悩みがあるのかもしれない。

時刻は12時半を過ぎていた。案内人が次から次へと部屋を訪れ、昼食の用意が出来たと報告していた。僕は他の人について行き、大広間へと向かった。なんで個室を訪ねに来てるのに、昼食を配らないのだろうか。

席に着く頃、会場にはかなりの人が座って待っていた。対面にはいかつい男性がいたり、少し見る方向を変えたらスナイパーを常備しているなんとも物騒な人もいた。一体どれだけの人がこの場にいるのか、全くもって分からなかった。そうこうしている間に、昼食のパンが配られ始めていた。

僕は学校での事を考えていた。もしこんな事にならなかったら、今頃僕は何をしていたのだろうと。ここまで悲惨な事になるとは思ってもいなかったし、わざわざここまでしなくてもよかったはずなのに。

僕はその事で頭がいっぱいになり、結局昼食には手を付けずその場を後にした。

「皆さ〜ん!あと少ししたら一回戦が始まりま〜す!」

相変わらず案内人は二階から僕達に向かって叫んでる。(てか、流石に案内のしすぎじゃないのか?)

「一回戦ではランダムに選ばれた人が戦うようになっています!」

「なんだそのクソルール...」

僕の隣にいた人がボソっと呟いていた。なんか分からなくもないけど。

「て事で早速やって行きましょう!」

2、3秒ぐらいのドラムロールの後、試合に参加する人が選ばれていった。

「ドゥルルルルルルル...デンッ!日蔭ヌロスさん!」

うん、死んだ。絶対終わった。なんでこんな時に限ってピンポイントで僕が当たるのか。これで本当に死ぬんなら、今からでも窓突き破って飛び降りれるぐらいやばかった。でもまぁ行くしかないんだけど。ってあれ?この流れ前にも見たぞ?...まぁいっか。

(製作時に下書きのデータが消えてしまいました。すみません。)

まぁそんなこんなでやっとルーレットが終わって、次はフィールドを決めるとかなんとか。(なんでこんなやる気ないんだ)フィールドもルーレットで決まってやっと戦いに移る頃、僕は本当に死んだ時どうしようかという不安でいっぱいだった。まぁ死ぬ気でやる以外に道がないんだろうけどさ。

今回選ばれたフィールドは自然に囲まれた場所、正直隠れ続けるならちょうどいいけどそう長くは居座れないのかもしれない。僕はただ死ぬ事を恐れながらも一人戯言を呟きながら計画を練っていた。

それから戦略を考える程度の時間があると思ってたら、ルーレット自体が短くなんとすぐ出発する事になってしまった。

「え?なんでこんな短いの!?さっきの選抜で1時間近く使ったのに!?」

まぁ結局はどう足掻いても強面の人に引きずられて強制参加って事になるから、行かないわけにはいかないって訳だと。それから選抜メンバー100人くらいが全員同じ飛行機?に乗ってフィールドまで行く事になったけど...

「あれ?これって飛び降りるやつだよね?」

そう、僕にはパラシュートなんてものがなかったのだ。じゃあどうやって降りるか、そう思って周りを見渡すと何故かみんな何も着けずに飛び降りてる様子が目に入った。僕も流れに合わせるべきだと思い仕方なくそのまま飛び降りた。風圧で声を発せないどころか、気絶寸前まであった僕の体には、もう何も残ってないのかもと思いつつあった。それからなんやかんやあって無事に着地したけど、手持ちの武器はゼロ。辺りでは銃声が響き渡ったり爆弾が飛んできたりとまさにカオスな状態だった。

「やっぱりやるしかないのか...。」

僕は覚悟を決めて戦いに挑んだ。しかし、それは向こうからして無力でしかなかったようだ。

視界がぼやける...周りの音が遠ざかると共に、少しずつ意識を失って行く...。

やっぱり、僕にはまだ早かったのかもしれない。


「...あれ、ここって」


僕は自室でふと目を覚ました。ズタボロになっていたはずの体は傷一つ無い状態で、消えていた感覚もしっかり元通りになっていた。今までの事は夢だったのか、それとも何か別の力が働いたのか。でも、一つだけ言える事がある。

「これはただのゲームなんかじゃない。」



続く



追記 時期とネタの関係で中途半端ではありながらもここで区切らせてもらいます。次回はネタをしっかり用意しておかなきゃ。

協力してくれた全てのクリエイターに感謝

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