かなしばり
「先生!」
よしおは大きく手を挙げて先生を呼んだ。
しかし、誰一人それに反応しなかった。
先生はおろか、
生徒も一人も反応しなかった。
それどころか、
先生はわざと食い気味なタイミングで、
授業を進めていった。
僕は失望した。
なぜかって、
勇気を振り絞って授業中に手をあげたのに、
完全に無視されたからだ。
もう一度上げることはさすがにできない。
僕がなぜ手をあげたか、
興味がある人にだけ教えよう。
僕は机の下で、
何かの虫が今にも死にそうなのを見た。
それで、手をあげた。
それで、みんな反応しなかったんだ。
あー、ひまだ。