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タムケノハル  作者: 雪水湧多
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この世界での最後の仕事

「これからどうしよう」

 シグマは使っていたノートパソコンとコードを何もないところにしまって空を見上げた。

このFDVRにおける時間逆行はプレイヤーの意識と記憶だけを過去へ飛ばし、過去のプレイヤーに上書きする。つまり、治人が過去に行っても治人と同じ“現代”から来ている私たちとは違う私たちに出会う。つまり、その私たちはFDVRによって作られた本人に限りなく近いNPCだ。無論私たちも過去に行ける。だが、問題点が多く行く気にはなれない。

「フランケンシュタインのようにつぎはぎの世界か。とりあえず、帰って様子を見るしかないかな。一応、再度外部から接続することはできるけど・・・いやー、でもな・・・やっぱつくるか」

 グチグチ言いながら何もない空中からさっきも使っていたノートパソコンを取り出す。

遠くの方から黒ずくめの集団がこっちに向かってきているのが見えた。血だまりに、血が垂れているスーツケース、白目剥いた女性、外相はないけどスタンガンを握っている男の前でのんきに座っている女性。どう考えても犯人扱いされる未来が見えて、早急に私をログアウトさせた。

 見ている世界全て停止し、ブロックのように崩れていく。消えゆく世界に手を伸ばして、握ってもデータは掴めない。

「・・・さよなら、治人」

目を覚ますと、電子音が聞こえるミノネクトの中。起き上がろうとすると、自動的に蓋が開き、外の空気が一気に入って来る。

「生ぬるい、気持ち悪い空気だ。もう少し換気能力上げないとな」

ミノネクトから出て、軽く伸びをしてから、ストレッチした。横になって居ただけなのに体中が痛い。三十路目前の体には少々こたえるものがある。

ただ、まだ仕事は終わりじゃない。

「治人が干渉する前に、治人の世界の私に干渉する準備と、ブツを作らないとね。権限がないから向こうの私じゃもう作れないしね」

目薬をさしてパソコンの前に立つ、Serを使用した超高性能パソコン。スーパーコンピューターと言っても過言ではない。完全に改造機であり、Serを分解すること自体禁止されているので見つかっただけで、下手すれば逮捕だ。Serを分解して抵抗を切除し、Serを編んで基盤に組み込んで回路として使っている。さらにパソコンの脳と呼ぶべきCPUも現行の最新最強モデルのリミッターを外したもの特注し四つ並列で繋いでいる。さらに言えば、並列で処理させることが前提のものに改造されている。その性能は現行のスーパーコンピューターよりも少し劣る程度。個人で所有するにはオーバースペックも良いところだ。

「寒馬さんがそっち系の会社に行ってくれて助かった。資金援助もしてくれてるし、まあほぼ電気代と維持費に持って行かれているけど。今回の騒動が終わったら菓子折りでも持って行こう」なんて独り言をつぶやきながら、手際よくブツを作る。急増品でも、治人の手になじむように。そして、拘束しても絶対に殺さないように手を加える。

これが相棒にできる最後の仕事。


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