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もふもふパラダイス  作者: 明夜 想
1/5

仕事

 不定期便で短編(多分5話くらい)になります。

 注意)タイトルが名前になりますが、その人物の視点ではありません。

 唐突に前に立っている人から声をかけられたのは、下車する三駅前だった。

「三上さんじゃない?」

座席から見上げると、なんとなく見知っているような顔があった。私の怪訝な表情に気がついたのか、

「ほら、高校で一緒のクラスだった国坂よ」

国坂は、確かおかっぱで真面目な生徒会役員だった。目の前に立っている女性は綺麗なグレーのスーツに品の良いバッグを肩から下げた、ゆるふわ髪の華やかな女性だ。

「生徒会役員だった国坂さん?」

「そうそう、思い出してくれた?」

「ずいぶんと雰囲気が変わってたから」

国坂はにっこり笑った。

「三上さん今、何やっているの?」

「あ、えっと、カフェの店員」

「スタバとか?」

「チェーンじゃないから」

「そうなんだ」

聞いてはまずかった感が伝わってくる。この場合、相手にも聞かないといけなのだろうか。なんとか、気力を振り絞って質問を返す。

「国坂さんは?」

国坂は大手商社の名前を挙げた後、準急も急行も止まる駅でそそくさと降りていった。そこから先は、乗ってきた準急は各駅停車。私が下車するのはそこから後二駅。


 私はここで何をやっているのだろう。二十八にもなって、あまり人に自慢できる仕事では無いという事はわかっている。でも、自分の仕事を自慢できる人がどの位いるのだろうか。目立たなくても社会の役に立つ仕事をしていれば、自分の仕事を誇れるようになるのだろうか。人から感謝されたり、人の命を守ることが出来たり、世の中の便利さに貢献出来たりしたら、その末端にでも関わっていれば、自分の仕事を誇れるようになるのだろうか。毎日の生活の中で最初に感じた誇りは消え去り、昨日の延長で今日を続ける。それでも、目標を達成できると、安堵感と小さな満足感を味わう。たとえ、少々普通の仕事とは違っていても……。


お読みいただき、有難うございました! 感想などいただけますと幸いです。

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