15:必殺!!飛槍
「え?今のはホブゴブリンだと思うわ?」
ゴブリンナイトじゃないんだ。
「変異種と上位種の違いは防具のあるなしなの。だからさっきは武器を持っただけの変異種のホブゴブリンね。ボブは手先が器用に成長して武器が使えるんだって。まぁ、一般的には頭がよい上位種が強いとされてるけど変異種でも強いのがいるから気を付けてね。」
「それで、上位種のゴブリンナイトだけど…たしか、こういった巣にはあんまりいないはずなの、上位種の中でもナイトは頭悪くて戦闘は強いはずんだけど、別の上位種が作ったコロニーとか村とかそんな感じのにはよくいるみたいだけどど。。この感じは低級の巣だから多分上位種はいないわ!」
何だろう、このフラグ感。。
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そして、私たちは少し進むと開けた場所に入った。そこに立派とは言えないがちゃんとした鉄製の甲冑を身に着けたゴブリンがいた。その姿は普通のゴブリン(大体150センチくらい)が胸くらいに位置しているので、190くらいには見える。
そう、ゴブリンナイトです。
「あちゃ、いたわ」
やっぱり。イオリさんの情報信用度がガンガン下がっていく
「でも、やっぱり珍しい巣ね。」
「何でですか?」
純朴なふわふわちゃんから質問を投げかける。
「まず、ゴブリンの巣にしては大きくて、その割には個体数が少ないの。ここまで精々30匹でしょ?この巣なら100や200匹はいると思うの。」
「「え!!」」
そんなヤバいところだったと知らずに驚愕する木梨君に琴音ちゃん
だが、私はもしやと思っていた。そうこの洞窟は私の狩場の中心に位置する。要するにここ数日間、ひたすらに巣の個体を減らしていたのは私だ。
「恐らくだけど、上位種の中でナイトは頭が悪くて、広域戦?とか集団戦?あとは内政みたいのは不得意で一体一に特化してるの。戦闘の思考力があるって感じの知能なのかな?だから、ナイトは集団のトップにはなかなかならないの。だけど今回は他に上位種が生まれなかったんだね。彼がトップだから防衛戦力を残さずに使っちゃったみたいね。」
おおおおおお!
すると、本物のゴブナイトが雄たけびを上げる。「ゴブー」は雑魚だけらしい。間抜けだもんね。雄たけびに合わせて後ろの陰にいた(岩だと思った)ゴブリンナイトより大きな個体が出てくる。
「え?ストーンオークもいるの?」
その姿は2メートルを超える豚鼻のオークの様相だが、よく見ると肌が岩のようにごつごつして白っぽい。そして、その手には欠けた鶴橋を持っていた。基本的にオークは頭が悪くゴブリンの上位種がいると命令を受け入れるようになるらしい。
「でも、これ。。。弱ってるわね。」
そう初めて確認する私が見ても、その体はやせ細り目は虚ろだ。どうやら巣の拡張工事を無理やりやらされていたらしい。逆に言うとゴブリンナイトは、このオーク変異種を圧倒して命令できるぐらい強いって事である。
「よし、ごめんね。上位種以上が出てきたら訓練を中止して殲滅って言われてるから焼き払っちゃうね。」
うそーん
「ああ、ちょっと待って下さい!一つ試したいことがあってそれを試してからでも大丈夫ですか?」
「試したいことって?」
「えっと、櫻井さんと考えた必殺技?かな」
「櫻井さんと?そっかぁ。…まぁいいかな。少しでも押されたらすぐに介入するからね。」
「むしろ、よろしくお願いします」
今、目の前にいるのは、オークとゴブナイト、雑魚ゴブが七匹と剣を持ったホブが2匹、弓が1匹だ。オークが先頭に立ってのしのしこっちによって来る。
あ、オークがふらついた。
そして、私たちを取り囲むように横に広がったゴブの取り巻きがやってくる。
よし、私は意を決する。実際この技がどの程度の威力があるか知ってはいるが、実戦に耐えられるか不安ではあった。装甲の堅い相手にはおあつらえ向きの攻撃だ。
一度、手に持ってた槍を消し、中空に手をかざしなおす。
「何するでしょうね?」
「さぁ、私もわからないわ。」
なぜか、年下ズも完全な傍観をしてる。いや、雑魚処理は手伝ってね?
そして、私の収納空間の半分を占めてる大型兵器が眼前に登場させる。大きな台座にはスリリングショットの要領で強化ゴムと槍の柄を固定す装置がつけてある。
ゴムは火魔法で魔力を通すと収縮を制御できるので非力でも操作ができ、さらに台座から伸びた太く丸い支柱は180度の横回転に縦は60度も首振りができる優れモノ!なんと対空戦にも対応可能!台座についた取手と照準器で誰でも簡単に狙いを定めてズドンと槍が飛ぶ。
さらにそれだけじゃぁありません!転倒防止のため足先には大き目の石ありますね?なんと、この石!腰掛にも出来るんです。
これだけの超高性能兵器が今ならなんと予備槍を十本つけて、このお値段×××の大特価でご案内!
…
まぁ少し脱線したが、要はやり投げ用のバリスタである。
こういった場所では持ち運びが難しいうえに取り回しが悪いので普通使われることがないが攻城戦や砦の防衛などでは無類の力を発揮する奴だ。
しかし、私が使う利点として
一番面倒な球の装填は収納でオートのように設置できるので2秒で一発の連射が可能。また、魔導強化ゴムで引きができているため、微量な火魔法で制御ができ非力な私でも簡単に引くことができる。そして、私の新スキル【飛槍】これは派生武器スキルと呼ばれ【投擲】と同じ効果がある投げスキルだが、武器を槍に限定される代わりに何倍も威力が上がるレアスキルである。この兵器を練習してるときに習得したのです。以上、非戦闘職であるサポーターの私でも爆発的な破壊力のある物理攻撃を生み出せるスーパー兵器なのです。
「必殺技じゃないんですか?」
おい小僧!余計な事を言うな。武器も力だ。
私は後ろのあげ足とり発言を無視して、ゴムを引き台座を使って照準を合わせる。この辺はすでに昨日練習しているのでスムーズに行う。そして、槍を召喚し引き金を引く。するとゴムの反動で普通では考えられないスピードで槍が目標のオークめがけて発射され突き…貫通していた。
放った槍はストーンゴーレムに空き缶大の穴をあけて貫通し、
どさん
既に体調がギリギリだったのだろうか?ストーンオークが貫通の反動に耐えられずで背中から倒れてしまう。
その視界の先にいたゴブリンナイトの腕を盾ごとを引きちぎっていた。自分の右手が吹き飛んだ事に理解が追い付かないゴブナイトと目が合う。
なにその、「お前やるな」的な目?おまえもう腕ないからな?
状況が落ち着く前に私は動き出す。相手の大将までの道が開けたのだ混乱に乗じて殺れば、後は雑魚の殲滅戦である。
全個体がバリスタに釘付けになり動けずにいるので(味方もね)私はあえてそのバリスタに槍を設置しなおして収納し、走り出す。オークを飛び越えて完全に障害物のなくなったゴブナイトへの一本道を走り出す。
その行動をきっかけに呆然としていたゴブたちも動き出すが既に遅い。片腕を失ったことを理解したゴブナイトの叫び声を上げて激昂した表情を私に見せたのと同時に槍が相手の喉元に刺さる。体中が駆け巡る感覚がある。スキルを覚えた!?
今は構っている暇はないと引き抜いた槍でゴブナイトと交戦しようとするが、目の前のゴブナイトは喉元に空き缶大の穴が開きそのまま動きを止めて倒れる。
「唯さん、後ろ!!」
その声で私は振り返る。すると後ろから接近していたホブゴブリンが今にも切りかかるまで3メートルの所だが、当然、突っ込んだからには後ろは想定していた完璧なタイミングで大型兵器を召喚する。鈍い音と共に障害物にぶつかり跳ね返るホブゴブリン。
そのまま私は装填しておいた槍を弓持ちに照準を合わせて射る。体の強さが足りないのかゴブナイトやオークと違いホブは爆散した。体半分が吹き飛んでいる。
そこで、ジエンド。近場の倒れてるホブゴブリンは槍で殺して、残りのゴブリンも適当に木梨君と殲滅した。
最後に息も絶え絶えのストーンオークを拘束し琴音ちゃんに全力の連続殴打で殺害。グロ。。ちょっとその光景は怖かったが…これで上位のモンスターを倒した経験値を手に入れ、琴音ちゃんは棍棒武器スキルを獲得し最大目標を達成した。
「うそでしょ、ゴブリンナイトってこんな簡単な相手じゃないでしょう?」
呆然としていたイオリさんさんが嘆く
私の飛槍は、イオリさんを悲壮な面持ちをさせてしまった。
なんつって