第1話 『消えたモノ』
〜第1話〜『消えたモノ』
ヒリヒリした体。冷たい頭。
重い体を起こし、重い目を開けると、真っ白い大地と青に包まれたソラが広がっていた。自分はとある砂浜に流されたのだろうか。だが、もう一度目を瞑っても、波の音も、風の音すら聞こえない。
周りは、すっからかんな世界。暗い天井を見ても、月はないし、星すらない。本当に何もない。ただ、白と青だけが互いに交ざり合う世界だ。
冷たい白い床は磨かれた氷のようにスベスベしている。ここはどこなんだろう。ついさっきまでの記憶もまるで、真っさら。何も憶えていない。自分はなんでここにいるのか。自分はなんで独りなのか。自分に問い続けても、答えなど返ってこない。
はじめてこの足で立ってみた。背中が軽い。そして、寒い。
一歩。一歩、と歩き始めると、終わりのない白い大地が広がっている。
「自分はだれ?」
〜つづく〜
突如、怒り出した地球。すべての力を振り絞り、大地からは何もかもが消えた。しかし、まだ消えていないモノがあった。
次回、『消えなかったモノ』
この世界は読者の想像の世界とします。
ですが、作者として答えはあります。