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博麗霊斗~その壱~

今回も兄妹本編のネタバレが有ります。

気になる方は本編完結後をおすすめします(本編の終了予定は未定です)





「いやあー楽しかった。あの二人熱いねえええ」


 それは少年の顔としゃがれた老爺の声でそう唸った。

 そして、その手に持っていた本を閉じた。


「さあて、次はどれにしようかなあ」


 そう言いながら、それは青年の姿で無限に重なり無限に広がる不思議なオブジェに手を伸ばす。


「ああ、これにしましょう」


 それは少女の姿と女性の声でそう言った。

 その手には、また新しい本。


「これは随分先のやつだからいらっしゃいじゃないのよね…」


 ま、いいか。髭を蓄えた男は少女の声でそういった。


「次元最強の異名を持つ博麗の一子いらっしゃーい」



       ****



 この世界の外の世界はもうすでに人は他の星に移住しきっていて、幻想郷と呼ばれた土地も様変わりしていた。

 太陽系自体を結界で覆うことで人間からこの星の状態を隠蔽し、結界の中では付きた太陽の寿命を引き伸ばして幻想郷と言う土地を保つという芸当を成し遂げていた。外から消えた人間の妖怪への認識は術によってパスをつなぐことで保たせている。

 この家はいつぶりかなぁ。そう思いながら、俺は扉を眺め続けていた。


 家の扉が開いたのは、俺が眺め始めてから十秒もしたころ。


「よう。そろそろだと思ったよ、仕事は終わった?」


 俺は、そこから顔を覗かせた人物にそう声をかけた。


「ああ、きっちりとな」


 そいつはそう応えながら扉を閉めた。

 その目の奥には相変わらずの闘志が輝いていた。


「で、今日は仕方なく姫ちゃんにお留守番してもらってるんだが、今日の用は未来視通りであってる?」


「ああ、お前の見た未来であってる」


 俺の疑問にその男は頷いた。

 それを聞いて、俺は聞く。


「そうか。で、舞台はどうするわけ? 俺らがやったら世界めちゃくちゃぶっ壊れになると思うんだが」


「俺達なら根源から生まれてない新しい世界も作れるだろう?」


 まさにそのとおりなので納得して、指をならす。

 普段は根源から延びた世界を管理するだけにとどめている上位者権限を使って、世界を作り出した。

 そして、そこに通じる扉を二人の間に作成する。


「で、終わったらどうするわけ?」


「そうだなぁ。余り考えてないが、多分お前と戦うのは最後だ」


「そうか、ならちゃんと送り出してやらないとな」


 俺達は肩を並べて扉を開けながら、そう話した。


「世界の構成はどうなってる?」


 一応というふうに聞かれた。


「出口は地球だよ。環境も今の世界と全く同じ」


「わかった」


 世界へと入りながら、お互いに武器を取り出す。

 霊斗は龍牙絶剣・龍神王武と呼ばれる剣を、零は紅夜と呼ばれる刀を。

 視界が開けた場所についた時、俺達はお互いに距離を開け、同時に叫ぶ。


「覚悟は良いか、神谷零!」

「こちらの台詞だな、博麗霊斗!」


 お互いの剣が力を纏っていく。技の宣言が、お互いの合図になった。


「切断『マスターソード』」

「紅夜『一閃』」


 霊力の青い閃光と、自身の放った紅い閃光が視界を覆う。

 目前の光の中、俺達はお互いに再び宣言を開始した。




       ****



 ぶつかりあった剣撃で、二人の立っていた太陽系は崩壊した。

 霊斗の剣には相変わらず霊力が纏わりついており、彼はそのまま追撃の体制に入った。

 だが、それを見逃す零でもない。


「微妙『疑惑の判定』」


 霊斗の追撃は、零の姿をアッサリと通り抜け、手応え無く戻っていく。

 かき消したのは零の物理的な幻覚で、霊斗の網膜に写る幻覚が消える頃には透明化した零がその背後に立っていた。

 霊斗が振り向く前に、零が宣言する。


「炎天『プロミネンス』」


 零から生まれた火炎が霊斗を包む。

 だが、その炎の中で霊斗は一瞬で掻き消えた。


「分身『影の鏡ドッペルゲンガー』」


 その声と共に、零の動きが止まる。その体には苦無が一本。霊斗の分身を攻撃した彼は周囲の空間ごと静止されていた。

 その零に向けて、霊斗が霊力を纏った剣を振るう。


「せあああああ!」


 だが、当たるその直前で、その剣は纏っていた霊力ごと吹き飛ばされた。

 そして、空間ごと止められたはずの零がその場から消え、霊斗の目前に現れて宣言する。


「制圧『流星群』」


 零の背後から無数の霊力弾が発射される。それを霊斗は新しく取り出した霊神剣で捌きながら剣の力である弾幕生成を利用して弾幕を返す。

 返された弾幕を見て、零は笑顔で紅夜を振るう。瞬間、向かっていた全ての弾幕が霧散し、空間の中に静寂が帰ってきた。


 二人は、一度息をつく。


「やっぱ空間固定くらいじゃ拘束にならないよなぁ」


「だな。あれなら意識が残ってるからどうとでも抜けられる」


「剣を吹き飛ばしたのは?」


「俺が切断される事実を斬った。普通なら剣が折れて決まらなかったっていう事実になるところだが、折れないからふっとんだんだろ」


「ああーそりゃそうだ。アレの回収は普通に取りには行かせてくれないよなぁ」


「お互いそんなもんだろうよ」


「そうだな、俺もお前が回収しに言ったら容赦なく妨害して殺意満々で行くわ」


 二人は笑いながら話す。だが、その間にはピリピリとした闘志の鍔迫り合いがあった。

 お互いに油断しない。相手が何か唱えたなら、それをいつでも迎撃するつもりでいた。


「お前のことだから、まだあるんだよな?」


「当然、まだ序の口ってところだな」


 零の問いかけに霊斗は答えた。

 当然だろうなと零は頷いた。


「さて、続けようか。次は何を見せてくれる?」


「おうとも此奴をプレゼントだ。霊符『夢想霊砲〈群〉』」


 そう唱えられた次の瞬間、零の周囲から彼を押しつぶすように極大の力が放出された。

 だが、慌てず零は唱える。


「殲滅『ラストオブジェノサイド』」


 複数の銃口が、零の周囲を取り囲み発射された。

 全ては彼の持つ兵器の一つ。零式とも名付けられたその兵器は一つで街を一つ破壊するだけの威力を持っていた。

 しかし、


「それの威力じゃ防げねえよ!」


 霊斗の技は一つで星を、銀河を消滅させうるだけのエネルギーを持っていた。

 それに零は微笑む。


「知ってるさ。だから、強化する」


 零が持っていた刀が、紅に光る。

 瞬間、零式から放たれていた光線の出力が増大し、霊砲を相殺した。


「一々小細工してっ! 龍符『画竜点睛』」


「小細工が取り柄だからな。食欲『捕食者』」


 霊斗が妖力でできた槍を打ち出す。

 それを右手を獣の口へと変化させた零が捕食した。


「『風王鳳拳』」


 その背後から、霊斗がそう唱えて零へと拳を振り上げる。

 零は振り向きざまに唱えた。


「返すぞ。放出『スピッター』」


 閉じていた右手の口が開く、中からは吸収されていたエネルギーが放出され、霊斗の拳と、そこから発せられた風の威力を消し飛ばした。

 霊斗は一度下がりながら剣の力である弾幕生成に酔って牽制する。


「吐く者の英訳かよ!」


 そう叫びながら打たれる弾幕を叩き切りながら零は笑う。


「いやぁこのスペルはいいのが思いつかなくてさあー」


 その零を前に、霊斗は苦笑しながら、足に力を込める。


「じゃあ、その笑いが出ないくらいの対応をしてやるよ」


 その言葉とともに、霊斗は踏み出した。

 相対する零が、踏み込んだ霊斗の剣を受け止める。

 それを待っていたかのように、霊斗が叫んだ。


「希望『霊神王』!」


 その声とともに、霊斗からルビーのように輝く赤い右翼と、エメラルドに輝く緑の左翼が生える。片方の手に盾を取り出して装備したその姿はまさしく幻想郷の希望を守る王の出で立ちだった。

 増大した霊力が零を吹き飛ばし、それを追撃するために、霊斗は唱えた。


「霊符『夢想霊砲』」


 極大の霊力の砲撃、それを前に、零は慌てなかった。


「軌跡『流星の尾』」


 合わせるように、零から紅の砲撃が放たれる。

 だが、威力が違う。


「押し切ってやる!」


 霊斗の声とともに、砲撃の威力が増す。

 その言葉に返すように零も唱えた。


「融合『刀剣世界の英雄』」


 その声とともに、押されていたはずの零の砲撃が、威力そのままに霊斗の砲撃を貫いた。


「なっ!?」


 霊斗の盾が貫いた砲撃を防ぐ。その砲撃の先に、刀を振り上げる零がいた。

 盾めがけて、刀が振り下ろされる。

 霊斗は盾を構えたまま刀を迎え撃とうとして、寒気を感じて背後へと飛び退いた。


「おっもう少しだったのに」


「物騒な…俺に効かないから自分にかけやがったんだな」


「ご名答」


 刀を持った零。だが、その姿は紅い道が体中へと走り、その刀は持っているというよりも、握った手から生えていた。


「さあ、いいかな霊斗。第二ラウンドだ」


「いいとも、いくらでも叩きのめしてやる」


 二人は笑顔で踏み込んだ。


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