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外道は外道のまま世界を救う  作者: カタヌシ
乳幼児期 奴隷編
9/54

行動開始 出会い

2歳になり、

俺に割り当てられた仕事は、

朝は、薪割り。

昼は、グレイが管理する農場の手伝い。

夜は、魔石に魔力をこめる作業。

というものである。


教育の時間や仕事の時間は増えたが、逆に仕事さえ終わらせてしまえば、自由に動き回ってもいいので、自由時間は増えた。


どうやら、一日中働かされるというのはないらしい。

俺らはあくまでも、奴隷商 グレイの商品であり、

労働する為に養われているというよりは、人畜として育てられているとい面の方が強いようだった。


朝。

俺は、誰よりも早く起きる。今日ははじめて屋敷を抜け出し、グレイの敷地から出ると心に決めている。

薪割を早々に終わらせれば、朝食まで2時間ほど余裕はある。裏庭を出て、いつも薪割りをする裏山を越えれば、魔物が住む森が広がっているのだという。その森を探索することが今日の目的だ。


もちろん、そのまま逃亡することも考えたがこの隷属の首輪があるかぎりそれは難しそうだ。どうやら、首輪にはあらかじめ色々な禁止事項を設定することができるらしい。


色々試したかぎりでは、

今俺の首輪に設定されており、わかっているのは

1.主人への敵対的行動の禁止

2,主人へ敵愾心や反抗心を持つことの禁止

3.主人の命令の絶対順守(短期間の命令のみ)

4.殺人の禁止

5.夜、屋敷への帰還命令


この5つだ。

そして、逃亡できないのは4番の命令に大きい。

夜に、奴隷屋敷を離れていると突然首輪が光だし、痛みと共に屋敷へ帰れ、帰れと責め立てる。

別に無視してもいいが、辺りが真っ暗な夜にそんなふうに光るのだから目立って仕方がない。痛みももうなれたといっても、四六時中だったらうざいこと限りない。それに、このまま外の世界に出ても一目で逃亡奴隷だと気付かれてしまうだろう。


それはあまり好ましくない。

だから、逃亡はしない。

かならず、グレイを殺し、堂々と正面から屋敷を出てやる。


さて、ちなみに5の殺人の禁止だが、どうやらそう設定されているらしいといことしかわからない。

世話役奴隷のリーと、デクを殺そうとしたが出来なかった。

もちろん本気でやろうとしたわけではない。

首輪の禁止範囲を探しているなかで、

一応試してみると、首輪に邪魔されて動けなくなってしまったのだ。


非常にうっとおしい首輪であるが、

今日の探索は禁止されていない。


やはり、異世界と言えば魔法と魔物だろう。

どんな姿か、どれ程強いのか。

全く予想できないが、なかなかに楽しみだ。


俺は、薪割りをさっと済ませて、裏山に駆け出した。

魔力を全身に巡らす。

そして、筋肉、骨、皮膚、血管、神経全てを強靭にするイメージで魔法を発動する。よくいう身体強化の魔法だ。

それと、魔力を使って体を動かすイメージをして、魔法を使う。以前から使っていた魔力駆動だ。


身体強化は、基礎的な身体能力を向上させる。

身体から強くなり、頑丈になる。

しかし、いくら身体が強靭になったからもいって

所詮2歳の身体を強化するだけであり、

その動きは人間の常識を越えない。

魔力駆動は、体にブーストをかける。

動きが早くなったり、力は強くなったりするが

身体は強くならない。

しかし、魔力で無理矢理に身体を動かすため、

その動きは、人間のそれを超越する。


その二つを使いながら、俺はもうスピードで山をかけ上がった。

そして、すぐに山頂付近までつき、景色を楽しむまもなく屋敷とは逆方向に下山をはじめた。


登るのは速かったが、

下るのの方がもっと速い。

前世で乗っていたぼろバイクの比ではないほどのスピードが出ている気がする。景色が目まぐるしく、変わり、風がいたいほど身体を打ち付ける。


山の木々を全くスピードを落とさずにすり抜けれる。

舗装されていない山道なのに全力で走れる。楽しい。まるで自分の体が自分のものではないかのように動いてくれる。

しばらく道なき斜面を木々を最小限の動きでよけながら走ると、急に視界がぱっと開けた。

木々生い茂る山は途中でぷっつりと切れ、目の前には崖があった。

そして、眼下には広大な森が青々と広がっていた。


大丈夫だ。問題ない。余裕で止まれる。

俺は急ブレーキをかけて、切り立った崖の手前で急停止する。

右足で地を踏みしめ、左足を浮かしてバランスを取り、体を反転させて止まる。

ふう。

崖の下に広がるのは、おそらく魔物が出るという森だろう。

さて、行くしかないだろ。

高揚していたからだ。

俺は後先考えずに、がけから飛び降りた。

それほどの高さはない。20メートルくらいの高さを飛び降りたが何の問題もない。

それどころか、変な爽快感すらある。

楽しい。

夏に、川に飛び込むような楽しさだ。

もっと、もっと、この身体を動かしたい。


俺はさっきの爽快感が忘れられずにまた走り出す。

風よりもはやく、誰よりも速くと、どんどんスピードを上げた。

「はっ、ははははははは」

俺は、気づけば笑い出していた。

楽しい。こんな全力で身体を動かしたのはいつぶりだろう。

気持ちいい。こんなに愉快なのはいつぶりだろう。全能感すら感じる。


そんなふうに浮かれて楽しんでいたから気付かなかった。


!!!

俺は、それに気付き、咄嗟に横に飛び込むように転がってそれを避けた。かなりのスピードで走っていたために、勢いを殺せずにごろごろとしばらく転がって、ようやく止まる。


俺が避けたのは、大きな火の玉だった。

上手く避けたというのに、体の表面にまだちりちりと熱さが残っている。あの火の玉とんでもない温度だったようだ。


「こ、こども?」

火の玉が飛んできた方から驚きの声が聞こえてきた。

人に見つかった?

さて、これは好機となるか、はたまた危機となるか…

とりあえず今は静観して流れに身を任せておくのがベストであろう。

俺が黙って、その場に立ち止まっていると、真っ赤な毛をして、真っ赤な鎧をきた女が向こうから歩いてきた。この赤い女だが、年のころは20歳くらいだろうか。一番に目に引くのは、やはり腰まで伸び、1つにまとめられている真っ赤な髪だろう。かなりの美人だ。

というか全身赤い。腰に携えている剣まで赤いぞ。

「すまない。あまりのスピードでこちらに来るから、敵だと思い攻撃してしまった。大事はないかい?」

よかった。敵意はないようだ。

と、なればこれは好機だ。

この女から情報を引き出してやる。

色々実験もしたい。

魔法が使えるやつに、俺の偽装魔法や言語魔法は効果があるのかとか、この世界の魔法使いのレベルはどの程度のものなのかもか知りたいことは山ほどある。


「いたたたたた。いえ、どうやら足を捻ってしまったみたいでしばらくは、動けそうにありません。」

俺は、足をさする。同時に、言語魔法を発動させて、赤い女の同情を誘い、罪悪感を煽った。

「そ、そうか。本当にすまない。しかし、困ったな。私は回復魔法が使えないのだ。お主は、使えるか?」

赤い女は明らかに困り果てたような顔をした。

これはいい。悪い奴ではないようだ。しかも明らかに言語魔法が効いているように見える。

ここでこの女に会えたのは奇跡に近い幸運だ。胸が踊る。

「いえ。使えません。」

俺も申し訳なさそうな顔をわざとらしく作り、小さく呟くようにそういった。

すると、さらに赤い女の顔は曇った。

「それは、そうだな。お主みたいな子供が使える魔法ではないか。しかし、お主こんなところで何をしているのだ?」

「私は、主人に魔力判別石を拾ってくるとよう命じられ、石を探している最中です。」

「魔力判別石?なぜ、そんなものを?しかも、この森で?」

赤い女が心底不思議そうな顔をしている辺り、魔力判別石はそれほど流通しているものではないのかもしれない。

「私は、奴隷ですからあまり詳しくないのですが…」

そう前置きすると、赤い女は露骨に嫌な顔をして、「お主は、奴隷か」と顔をしかめた。しかし、俺は気にせずに続ける。

「私たち奴隷に石を飲ませ、魔力の才があるかどうかを確かめるためのようです。」

「ばかな!」

赤い女は、急に大声をあげた。

咄嗟に身構える。びっくりするから、そういうのはやめろ。

「それは、そんなのは、拷問だ。魔力判別石というものを、魔力の乏しいものが飲めばどうなるかお前の主人は知っているのか?」

「知っていると思います。拷問でも効果があればいいのだと思います。私たちは所詮奴隷なので。」

ヘドが出るような言葉だが、自分の口から発しているというのに何も思わない。別に、自分の境遇を卑下している訳ではない。ただ、単純に惨めな奴隷を演じているだけだ。俺は、この女から情報を抜き出す。

そのためには、何でもしよう。

「不快だ。お主の主人も、それに甘んじるお主もひどく不快だ。」

それは、俺も同感さ。けどな。それならば、お前は俺を救えるか?

「では、貴方様は私を助けてくれますか?私を買っていただけますか?」

どうせ、おまえには無理なのだろう。

「すまんが、それは無理だ。」

だろうな。最初からなにも期待してはいないさ。それよりも話を進めよう。

俺の話よりもお前の話が聞きたいのだ。

「ちなみに、あなたはなぜここに?」


「私の名は、リクリエット=リ=グランリースだ。呼ぶのであれば、リクリエット様と呼べ。」

威張るようにして言うリクリエットに対し、心のなかで、舌打ちする。結局、偉そうなことをいいながら、お前も俺を見下してるんじゃねぇかよ。何が様だよ。何様だ。っていうか、リが多すぎるだろ。

「失礼しました。リクリエット様は、なぜここに?」

俺は、うやうやしく頭を下げて謝罪する。

名前がどうやら貴族っぽいのだから、とりあえず敬意を払っているふりはしといたほうがいいだろう。

内心ではののしりながらも俺は話は一定以上の敬意を払って話を進める。

「ふん。最近この森では、魔物の増加と凶暴化が報告されておる。魔族の仕業であろうという意見が多い。ということで、調査のために、数多くの義勇兵がこの森に入ったが、生還率も高くなく、成果もない。

私も義勇兵のひとりとして、調査に入ったのだ。」

きた!これだ。俺がほしかったのは、俺が聞きたかったのは、こういう情報だ。よくやったぞ。

リクリエット。聞きたいことは山ほどある。聞かせてもらおうか。


「義勇兵ってのはなんですか?」


「義勇兵というのは、魔王を討伐する為に同盟列強四国が募っている兵士のことだ。

私たち、義勇兵は魔族や魔物を倒すことで、同盟列強四国から報奨金をもらっている。そういう稼ぎ方をしているものの総称とでも思えば良い。」

なるほど、異世界転生でよくある冒険者的なものがこの世界で言う義勇兵なのだろう。

それにしても、魔王に、魔族に、魔物か。なにかのゲームの中に入り込んだような感じがする言葉だ。


ちなみに同盟列強四国については、奴隷の俺でも知識がある。

同盟列強四国とは、簡単に言えば、この世界で最も力を持った4つの人間の国である。

国の詳細や今俺がいる国についての知識はそれほどない。たまに大人がしている話を盗み聞きしている話の中から、推察している程度の情報なのだ。わかっているのは、4つの国の名前だけだ。


自由都市国家 ランス共和国

軍事国家 デ・バリランス帝国

神聖国家 ライファル教国

封権国家 グランファド公国


以上が俺が知る国の情報のすべてだ。後知っているのはこの四国が同盟を結んでいるということくらいか。だいたい名前から、どのような国かは想像に難くないがまぁそれは今は良いだろう。

それよりもリクリエットの話の方が重要だ。


「魔王って?」

俺は、さらなる情報を得る為に、魔法を発動させつつ質問を続ける。

「魔王は、魔族の王のことだ。詳しいことはわかっていないが、近年存在が確認されたらしい。

そのせいで、今までまとまりに欠けていた魔族たちが一つの組織にまとまり始めたといわれている。

魔族領に魔族の国まで出来たらしい。魔王の存在が確認されてから、人間側の被害は甚大だ。このまま、魔王を放置していれば、世界が滅びるとさえ、言われている。それを阻止する為の義勇兵なのさ。」

魔王に、魔族の国か。

なるほど、おそらくだが、30年後に人間が滅びるというのは、この魔王の存在が大きいだろう。

となれば、30年後も生きる為には、どうにかして魔王を討伐する必要があるのか。

魔王をどうするかだが、まぁ、それは、奴隷から解放されてから考えるか。


「では、最近この森の魔物が増加し、しかも凶暴化しているというのはどういうことでしょうか。」

「うん。崖に添って森を抜けて少し言った先に、小さな村があるのだが。最近村の付近によく魔物が姿をみせるらしいのだ。ここは、魔族領との境界付近の森だからな。魔族が関与していないかと調査しているところなのだ。」

まだまだ、このリクリエットから得られる情報は多そうだ

「魔物が村の付近まで来るのはまれなのですか。」

「そうだな。基本的に、魔族が関与しないかぎり、魔物がテリトリーから出ることはないからな。つまり、魔物が森から出たということは、何かしらの理由があるか、魔族が関与しているかどちらかだろうということだ。って、私は子どもに何をぺらぺらと話しているのだ。もう良いだろう。おい。足はどうだ?」

ちっ、もう魔法の効果が切れたか。


俺が使っていたのは、誤認魔法という最近習得した魔法である。

この誤認魔法は、認識を誤らせる魔法である。

人が物事を理解するときのプロセスとして、対象のもの刺激を感覚器で受信し、脳で情報処理することで知覚し、脳で処理し、意味づけすることで認知・認識するというプロセスを取る。以前より使用している偽装魔法は、この知覚の部分を偽装し、対象に物事を違った形に見せる魔法であるのに対し、誤認魔法は謝った意味づけをさせることで、勘違いや考え違いをさそう魔法である。

例えば、俺の容姿を実際に10歳に見せるのが、偽装魔法であるのに対し、俺の容姿をきちんと知覚した上で10歳だと誤認させるのが誤認魔法である。

つまり、簡単に言えば、誤認魔法とは、誤解させる魔法と言い換えても良い。

正直、この誤認魔法の方が偽装魔法よりも数段使い勝手がよかった。

以前、デクに褒美をもらう映像を見せて、未来のものであると知覚させたが、そんなことをするよりも未来のものだと誤解させるほうがよっぽど効率が良い。確かに、偽の知覚をさせたほうが根本的に深く情報を詐称するため、詐称に気付かれにくく、魔法を打ち破りにくいというメリットはある。しかし、使用魔力も膨大で、発動にかなり執拗なイメージが必要になる。

一方で、認知・認識を偽装するのは、比較的簡単なイメージと少ない魔力で行えるが、不意に魔法が解けて我に返り、誤解が解けるというデメリットがある。


今回のリクリエットの状態がまさにこれだ。

リクリエットには俺を幼い子どもだと思わないように、誤認魔法をかけた。

結果、リクリエットは俺を2歳の子どもだと、知覚はしているが、魔法によるバイアスがかかり、俺を同年代の同士であるように認識してしまっていた。だから、俺の数々の質問に素直に答えてしまったのである。


その前に子どもを攻撃してしまったという罪悪感をあおったのも心に隙を作るのに効果があり、結果魔法が効きやすくなったのだと思う。どの程度、効果があったかは正確にはわからないのが悔しいが。

まぁ、実験結果としては、上々。

それなりに魔法を使えそうな兵士に対しても、言語魔法、誤認魔法は一定の効果がある。

それがわかっただけでも大いなる収穫である。しかも、もろもろ欲しい情報ももらえた。

これ以上は、高望みだろう。あとは、実験して、殺処分するだけだ。


俺が奴隷であること、奴隷としてこの森を出入りしていること。

魔法を使い、かなりのスピードで動けること。

すべて知られては困ることだ。

見られたからには、殺すしかない。


隷属の首輪の行動抑制があるが、まぁ何とかなるだろう。

さぁ、芝居を続けるとしようか。

「すみません。結構痛んで、まだ動けそうにないです。薬草か回復薬みたいなものがあれば分けていただくことはできないでしょうか。」

偽装魔法や誤認魔法にも欠点はある。

俺から発信する情報しか、効果を発揮しないということだ。


例えば薬草の価値を誤認させることが出来、ものすごい価値のあるものを要求させられているとできれば楽なのだが、それは出来ない。偽装魔法や誤認魔法が使えるのは、あくまで俺に対する情報か俺が与えた情報によるもののみだ。魔法を使う為には、その対象となるものに魔力をこめなければならない。

言語魔法を発動させる為には、言葉に魔力をこめる。

俺の年齢を誤認させるためには、俺自身に魔力をこめる。

思念魔法を偽装する為には、思念にさらに魔力を込める。

というように、俺から発信するものにしか偽装魔法、誤認魔法とも使うことが出来なかった。


「しかたがない。傷治しの薬草なら少しある。私のものを使うと良い。」

ちっ、当然に持っているよな。まぁ、しかたがない。言語魔法で、誘導するか。


「いえいえ。やはり私ごとき下賎のものがリクリエット様の貴重な薬草を分けていただくわけには参りません。さきほどは、分不相応なお願いをしてしまい、誠に申し訳ございません。私は少し、こちらで休ませていただいた後、屋敷に戻ります。お騒がせして申し訳ございませんでした。」

俺は、深々と頭を下げた。ありったけの魔力をこめれるだけ、言葉にこめて、自分の望む形に相手が思考するように誘導する。俺は、すべての魔法の中で一番この言語魔法の誘導が得意だ。

大丈夫。自然な流れで、相手に望む行動を取らせることができる。

はずだ。

「ならば、私も付き添おう。私のせいでおぬしが動けなくなったのだ。おぬしが動けるようになるまでつきあおうではないか。」

きた。きた。きた。きた。きた。きた。

本来のベストの形は、薬草を村まで買いに行かせて戻ってきたところを襲うだった。

しかし、薬草を持っているのであればそれはできない。

ならば、この場に張りつけにして動かないようにしたかった。

これが、見事に成功した。あとは、俺が自由にうごければ……やれる。この女を殺すことができる。

「お忙しいところ、申し訳ございません。それでは、半刻ほどお付き合いお願いいたします。」

「わかった。まぁ、この辺はテリトリーの端でなおかつ、森の入り口だ。何もないとは思うが、村の付近まで魔物が出てきたという報告もある。油断だけはするな。といっても、紅蓮の火剣たる私が守るのだ。安心して休むが良い。」


なんか、赤が多い通り名だな。さすが、真っ赤な装備に身を包んでいるだけのことはある。

それにしても、大層な通り名があるあたりリクリエットとか言う赤い女はそれなりに名の知れた義勇兵なのかもしれないな。面白い。ならば、勝負だ。紅蓮の火剣さんよ。

俺は、俺らしくお前を殺してやる。

俺は、再度お礼をいって近くの木に腰掛けた。リクリエットもそれにならって俺の隣に腰掛ける。

二人の距離は、だいたい20センチメートルほどだ。

手を伸ばせば、俺ならばぎりぎり、リクリエットならば余裕で届く距離だ。

近づいてみて、初めてリクリエットの匂いが鼻を刺激する。

香水?

バラみたいなにおいがする。決して臭くはないが、結構におうな。

使えるな。こんな魔物が出る森にそんなにおいさせていてはだめだろう。

自然と笑みがこぼれそうになる。


さて、次だ。

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