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エピローグ

 次の日……

 いくら国を歩き回っても誰にも会えなかった。

 俺は、ようやくこの国は滅びてしまったのだと悟った。


 北條がいないことを考えると、北條も死んだのだろう。だが、マントハンリは滅んでしまった。


 知り合った者たちを考えると、涙が出そうになる。

 北條のせいだ。

 北條が悪いんだ。


 俺は悪くない。俺は悪くない。


 必死に頭の中でこの事態を北條のせいにして、落ち着こうとした。

 いくら落ち着こうとしても、感情が定まらない。頭が痛くなるほどに混乱している。



もうこの国を出よう。次の日も、その次の日もさ迷い歩いてようやく決心がついた。

 義勇兵用の道具屋で、保存食を手に入れ、マハトリオを出る。足取りは重く、妙な後ろ髪をひかれた。


 もしかしたら、もしかしたらまだ誰か残っているのではないか?


 探しつくしたはずなのに、そう思って仕方がなかった。

 とぼとぼと、ライト街道を歩く。


 マリーに教えてもらった道だ。

 ここを歩けばライファル教国の首都ライトカノンにたどり着くんだったな。

 普段は、往来の激しい街道なのだろうが、今は誰もいない。荷車も義勇兵も旅人も誰も歩いていない。


 寂しさに胸が押しつぶされそうになりながら、俺は歩いた。

 



 隷属の首輪は付けたままだ。

 外そうとはしたが、外せなかったのだ。


 いつものように、首を切り落とし首輪をとろうとしたが、首輪が肉に食い込んでおり取れなかった。


 そこで、ようやく俺は玉座の間でつけた隷属の首輪が俺が以前からつけていたのとは違うものだということに気が付いた。きっと、エリシャンテ=サヴァードが、俺が隷属の首輪を外したと聞いて、改良したものとかなんだろうな。


 どうでもよかった。

 今更、隷属の首輪があるとか、ないとかそんなことはどうでもよかった。


 今はただ、人のいるところに行きたかった。

 そして、マハトリオに何があったのか知りたかった。


 もし叶うのであれば、マリーに会いたかった。




 数日間歩いた先に、俺は炎上する巨大な都市を見つけた。直感的にライトカノンだということは分かった。数キロ先から、見えるほどにライトカノンは燃えており、ここもまた滅びたのだろうと悟った。



 逆賊の徒編完結にあたり、この小説の完結とさせていただきます。長い間、ありがとうございました。

本来ならば、リビィが世界を救うまでを書く予定だったのですが、申し訳ありません。


 最後まで読んでくれた方がもしおられましたら、本当にありがとうございました。もし、感想等頂ければ非常に嬉しく思います。

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