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外道は外道のまま世界を救う  作者: カタヌシ
乳幼児期 奴隷編
4/54

回復魔法

次の日、俺はいつものように床に雑多に寝かされている状態で目を覚ました。

今日も変わらず俺と同じ境遇の赤ん坊たちは、大声で泣いていたり、すやすやと眠っていたり、ひたすらに天井につるされたくるくる回る大きなおもちゃを眺めてきゃっ、きゃっと笑ったりとそれぞれ過ごしている。

あぁ、体の節々が痛い。背中のやけどがひりひりした。

どうやらリンスさんは治療らしい治療をしてくれなかったらしい。

いや、できなかったのかもしれない。

よくある回復魔法とかはないのかもな。

いや、リンスさんは使えないのか。

リンスさんが使えるのは、頭に言葉を送る魔法なのだろうか。

まぁ、そんなことはないだろう。きっと他にも使える。

水の魔法なんかは至極簡単だ。

それにしても他にはどんな魔法があるのだろう。

にしても、いてぇな。ホント痛ぇよ。

いろいろと考えるが、痛みが邪魔をして思考に集中できない。

魔法があるのだ。回復魔法もできるはずだ。

異世界転生ものやRPGで回復魔法がなかったためしがない。

きっと使えるはずだ。

重要なのはご多分に漏れずイメージだろう。

俺が使えるようになった水魔法も始まりは、空気中に含まれる水を魔力で増やすイメージから始めた。

そして、水を作る感覚をつかんでいき、魔力で水を作れるようになったのだ。

同じように回復魔法も体を治すイメージをすればよい。

さてでは、傷はどうやって治るのかだが、そんなの知るはずがない。

俺は元々純文系だったのだ。

ちっ、いきなり手詰まりかよ。

いてーな。

これ絶対どっか折れてるし、内臓にもダメージがありそうだ。

内臓か。

内臓?そうだ内臓だ。

一つ知っている治療法があるじゃないか。

昔、脅し文句にも使ったことがある。

内臓売ってでも金を用意しろ。

そうだ。そして、売られた内臓はどうなるかというと……

そうだ。臓器移植だ。

癌とかなんとかで悪くなった臓器を他からとりかえるんだ。

そうだよ。

魔法で痛みのある肉体の部位を創造し、それをそっくりそのまま取り替えてしまえば良い。

どうせ魔法自体がファンタジーなんだ。

やってやれないことはないだろう。

だが、いきなりぶっつけ本番では上手くいかず無駄に魔力を失うだけだろう。

まずは練習からだな。

俺は、生えかけの乳歯で自分の手の甲の皮膚を噛んだ。

いてぇ。皮膚が傷ついて血が流れる。

まずは、PMを燃やし、できるかぎり魔力を作る。

そして、傷口に対してイメージする。

新しい細胞を作り出し、それを周りの細胞となじませ、繋ぐイメージだ。

細胞と細胞を、肉と肉を。

次々と魔力を使い、細胞を作り出すイメージを行う。

しかし、上手くいかなかった。

無駄に、魔力ばかり失い、PMがどんどん減っていく。

成功する気配がまるでない。

ちっ!!

なんでもかんでもうまくいかねぇな。おい。

いらいらするが、なぜか全身の痛みは少しましになっていた。

おそらく、魔力を過分にめぐらした成果であろう。

そんなことよりも今は回復魔法だ。

痛みが少しましなったとか、少し回復した程度で満足できるはずがない。

俺はまるっと一撃で全快するような魔法が欲しいのだ。

そうしなければ、まずい感覚があった。

なにもしなければ、俺は間違いなく死ぬ。

そんな確信があった。


やはり魔力でいきなり直接細胞を作るのは無理があったか。

水でも最初は、空気中の水を増やすところから始めたのだ。

ならば、最初はそういう具体的なものを増やすところからはじめるべきだろう。

そういえば、iPS細胞なんかは皮膚の細胞をなんかして万能細胞を作るとかだったか。

はぁ、ぐぐりたい。ぐぐって調べたいよ。

ないものねだりしても仕方がないか。

とにかくだ。

皮膚の細胞を増やして、それを裂傷部に移植するイメージをすれば、

うまくいくかもしれないな。

まずは、皮膚を薄くはがして、魔力で増やすか。

再びPMを燃やし、魔力を強く体にめぐらせる。

そして、手の甲から薄く剥いだ皮を増やすイメージをした。

しかし、上手くいかなかった。

MPだけが無情に減る。

失敗の原因を考える。

皮膚を増やすのに嫌悪感があるのが原因だろう。

皮膚は良く見ると気持ち悪いし、それを魔力で増やすって感覚がイメージしにくい。

水は固形じゃなくて液体だからイメージしやすかった。

ならば、液体ならば。

そうだ。液体ならば増やせるのではないか?

皮膚ではなく血だったら。

血だったら、水を増やすイメージと同じように増やすことが出来るかもしれない。

はからずしも手の甲からは未だ血がにじんでいる。血を人差し指でぬぐう。

赤い血だ。どろどろとしている。

血ならば、前世から良く見てきた。極めつけは、警察に打たれた最後のあのとき。

血が馬鹿みたいに俺の体から出てきていた。

血ならイメージしやすいはずだ。

血を水を増やしたような要領で、増やしていく。

結果として血の生成は上手くいった。

成分的に同じかはわからなかったが、人差し指に付いた血は量を増加させ、ぽたぽたと流れ落ちた。

恐る恐る口に含んでみると鉄の味がした。

よし。これでまず第一段階はクリアだろう。

この血を、皮膚の細胞に作り変え、傷ついた細胞と代替させる。

増やした血を手の甲の傷口にかける。

そして、魔力を使い、魔法を発動させるイメージを行った。

血はねちょっと傷口を通るが、傷はふさがらなかった。

しかし、今までで一番上手くいきそうな感じがする。

ほんの何ミクロンかではあるが、傷がふさがった気がしたのだ。

さっきよりも何倍もましだ。


しかし、このままではだめだな。

もっと段階を分けて練習べきだ。

俺は、血を皮膚に変える練習をすることにした。

血液を薄く延ばし、凝固させて皮膚にするイメージだ。

これは驚くほど簡単に上手くいった。

出来たのは、2×2センチメートルくらいの赤黒いかさぶたのようなものだった。

これで第二段階クリアだ。

今度は、そのかさぶたのような皮膚を、なんの傷もない皮膚に乗せる。

具体的には手首の辺りだ。

それを魔力を使い、皮膚となじませて統合させる。

このかさぶたのような皮膚を普通の皮膚に変換するイメージだ。

これが予想以上に難敵だった。

しかし、不可能ではないようだ。

少しずつほんの少しずつ、かさぶたが皮膚となじみ統合している感覚はあった。

しかし、統合は遅々として進まなかった。

そして俺は、PMを燃やしつくし、意識を失った。


間に、食事で起きたが基本的には次の日の朝まで何もせずに眠った。


次の日、起きればまた体の痛みは少しましになっていた。

昨日起きたときは、すぐになんとかしなければ死んでしまうという感覚だったが、

今は緩やかに死に向かっていっているという感覚だ。

はっきりいって今でも全く芳しくない状態だ。

考えたところで仕方がない。

今は回復魔法のことだけを考えよう。

ほかの事、グレイやリンスさんとか今後のことを考えるのはあとでいい。

今は回復魔法を習得する方が大切だ。

やり方は間違ってはいないはずだ。

なんとなく一般的なやり方とは違うかもしれないが、一般的を知らないのだから仕方がない。

たとえ邪道でもなんでも使えなければ、俺は近いうちに死ぬだろう。

さて、まずは昨日作った手の甲の傷を見る。

もうかさぶたになっていて、治りかけていた。

魔法よりも自然治癒の方が早いとは皮肉もいいところだ。

自然と舌打ちがでる。

なんで俺がこんな目に。

いや、そんなこと考えている場合ではない。

たとえ、30年しかない未来だったとしても数ヶ月というのはあまりにも短すぎる。

とにかく今は実験と練習だ。


まずは、かさぶたを苦労しながら捲る。

治りきっていない傷から血が出た。

その血を、魔力を使い、増やす。

そして、それを薄く延ばして、固めかさぶたのような皮膚をつくる。

昨日の段階で、別にPMで魔力を増やさなくともここまでの作業ならば魔力が足ることは実証済みだ。

しかしここからは異常に魔力を喰う。

俺は、PMを用いて、全身に巡る魔力の量を増やした。

何度もトライ&エラーを繰り返し、ようやく俺は最初に作った傷を治すことに成功した。

一時間くらいかかった。

異常な倦怠感がある。

これは今までも味わったPM切れ直前の倦怠感だ。

しかし、時間がない。あまり悠長にはしていられない。

多少ましなっていたはずの体調は、酷さを増してきていた。

やばい。PM切れとか起こしている場合ではない。

早く習得しなければ…

そんな焦りと共に俺は気を失った。



次に起きたのは、夕方だった。虚ろながら、飯や風呂は済まされたと思う。

倦怠感を確認してみる。

どうやらPMは満足に回復しているようだった。

とにかくまだ死にたくない。

PMが回復しているのであれば、練習あるのみだ。

爪を魔力で強く硬くするイメージで強化し、手の甲を鋭く切り裂いた。

最初に歯で作った傷よりも明らかに大きい。縦7センチメートルくらいの裂傷ができあがる。

血が流れ出てくる。

流れてくる血を魔力で増やし、皮膚を作り、それで傷口を覆う。

一度イメージが成功したおかげか今度は特に苦労せず、2~3分くらいで傷は綺麗に治った。

また、同じように爪で皮膚を切り裂く。

そして、血でそれをふさぎ、治す。

そうして練習していくうちに、一度皮膚を作る過程は必要なくなっていった。

何十回と練習を繰り返していくうちに、傷から流れる血で傷ついた細胞を作り変え、

傷を治すことが出来るようになった。

そして、何度も何度も短縮の連取を繰り返すうちに血をかけると血が患部に浸透し、

治るというイメージを作り上げることに成功した。


そして、俺はPMを使い切り、気を失った。


目を覚ます。早朝だ。まだ、あたりは薄暗い。そして昨日より体調は悪い。

正直このまま回復の兆しがあるのではないかと期待していたが、いよいよまずい。

苦しくても、体がだるくても自分で何とかしなければ誰も助けてはくれない。

この辺は前世と何も変わらない。

頭ががんがんする。しんどい。

このまま眠りにつきたい。

けれど、それをすれば俺は死ぬのだろう。

いやだ。もっと俺は生きていたい。

必死で自分を奮い立たせた。


さて、いよいよ本番だ。

まずは、奴に付けられた火傷を治そう。

俺は爪で手の甲に傷を作り、血をにじませる。

そして、手の甲から血を人差し指でとり、魔力で量を増やす。

血がぽたぽたと人差し指から流れる。

手を首の方に回し、ひりひりと痛むやけどに血をつける。

そして、血が患部に浸透し、新たな細胞となり傷を癒すのをイメージして、魔法を発動させた。

すぐに傷はふさがり、痛みが引いた。


ちなみに魔力を用いた魔法は、体からであればどこからでも発することが出来る。

それはそうだ。魔力は全身を巡っているのだ。

その各部位の魔力を使えば、魔法を発することはそれほど難しくはない。

まぁ、手から魔法を放つのが圧倒的にイメージしやすいのだが。


いける。これなら外傷は問題なく治せる。

そこで重大なことに気が付いた。

今まで、必死すぎて考えもしなかったことだ。


外傷はいけるとしても体の内側はどうするのだ?


どう考えても無理だ。

この方法では、直接血をかけなければ、治せない。

いや。血は全身を巡っている。

血が浸透して、患部に成り代わり癒すイメージか。

そんなに難しい話ではないはずだ。

まずは、全身を血の量を増やしてみるか。

いやいや、俺は馬鹿か。

そんな事をすれば、心臓に強烈な負担がかかりそうだ。

じゃあ、どうする。

痛みを感じる体の表面に血をかけるか?

そんなことをしても治りそうにない。

くっそが。まだ魔力はあるのに目がかすんできやがった。

本当に時間がない。

だいたい、今までもったのが奇跡だったのかもしれない。

いや魔法の力か。魔力の力か。

とにかく、普通ならもう死んでいてもおかしくないほどに体調が悪い。

一度死んだときよりも気分がわるいってんだから、いよいよやばい。


考えろ。考えろ。どうすればいい。血さえかければ治せる。

本当か。血さえかければどんな部分も治せるのか。

どんな部分でも治るのか?

例えば、骨でも?

骨はなんとなくいける気がする。

筋肉は?

神経はどうだ。

神経なんて複雑すぎて、どうなっているか想像も付かないぞ。

どんな部分でも治るのか?

わからない。わからないならば、実験してみるしかないか。


どうせ死ぬなら、やってみるしかないか。

怖い。本当に怖い。なんだよ。マジで怖い。

いや、ビビるな。大丈夫だ。

成功する。もうこうなったら、やる。やってやる。

こんなところで死んでたまるか。

折角の第二の人生だ。

たった数ヶ月で終わらせれるはずがない。

やる。やってやる。

周りを見渡す。周りの赤ん坊たちはすやすやと寝ている。

大人の奴隷の姿も見えない。大丈夫だ。人影はない。

俺はグッと唾を飲み込んで、人差し指を目に突き刺した。

ぐちゃ

そんな不快な音と共に激痛が走る。

痛い。馬鹿みたいだ。くそ。くそ。くそ。くそ。まじで痛い。

しかし勢いがたりず、目はつぶれていない。

どろどろとしたなぞの液体が人差し指についているだけだ。

こんなところでしり込みして、どうする。

どうせ失敗すれば、死ぬだけだ。

やってやる。やってやるよ。

俺は、PMを燃やす。全身に魔力をめぐらす。そして魔力を指先に集中させる。

そして、指先の強度を強くするイメージで魔法を発動させた。

意を決し、ひとさし指を右目に突き刺した。

深々と目に肉が突き刺さる。

ぐっ!!!

強烈な痛みが俺を襲った。

痛い。痛い。痛い。痛い。焼けるように目が痛い。

頭ががんがんする。

早く治さなければ、早く、早く、早く、早く。

指にはねっちょりと赤黒い血とかよくわからないものがまとわり付いていた。

それを俺は口に運ぶ。


くちゃくちゃくちゃ


苦くて、鉄の味がして、肉の味がして、生臭くて気持ち悪い。

しかし、それを我慢して咀嚼する。

これが人の味だ。肉の味だ。細胞の密集した味だ。

赤ん坊は一番口の感覚が鋭いという。

フロイトはリビドーを口で感じるといった。フロイトなんて関係ない。

この食感を、味を感じろ。忘れるな。

たりない。もっともっと感じろ。

俺は、えぐれた目に指を突っ込み、目の肉をえぐる。

そして、そのまま口に運び、咀嚼する。

痛い。きもい。まずい。

辛い。痛い。

だが、我慢だ。

このにおいだ。

この味だ。

この細胞だ。

これを血で作り上げるのだ。

これができなければ、到底骨や筋肉、ましてや内臓を作ることなんて出来るはずがない。

やれる。やらなければ死ぬ。

だが、痛い。ひたすら痛い。辛い。


俺は、左の手の甲にかぶりつき、肉を引きちぎった。

血が馬鹿みたいに出る。

その肉も、咀嚼する。

自分の肉の味を覚える為だ。

食べた肉の量が多く、発達していないのどは通らない。

ごほっ、ごほっ

せきをして、肉を吐き出す。

一緒に喉の置くから、血も吐く。

胃液が逆流してくる。それをすべてあたりにはき散らかす。

周りに気を使う余裕なんてあるはずがない。


肉をえぐった左手の甲から馬鹿みたいに血が流れている。

その血を右手で掬い、右目にかける。

かけながら、掬った血を右手の中で増やす。

かけた血で目の組織を作る。えぐれた部分と置き換える。

具体的な機能なんてしらないのだから、イメージしようがない。

だが、見えるようなれに見えるようになれ、左目と同じようになれ、

とひたすら魔力をこめて、魔法を発動させる。

体が、細胞が、遺伝子が、DNAが覚えているだろう。

破損した部位が覚えているだろう。

もとがどういったかたちだったか。それを血で構築して作れば良い。

イメージする。そして、魔法を使う。


どんどんとPMを燃やし、魔力を目に集中させて魔法を使う。

半分につぶれた視界が回復していく。それと共に、右目の痛みが引いていった。

いける。もう少しだ。

そして、完全に右目が元に戻ったのを感じた。

しかし、これはもとの状態に戻っただけだ。


次だ。これで喜んでいる暇はない。

目は治っても、吐き気は増した。頭痛は酷くなる一方だ。

今、なんとかしなければ俺は今日死ぬ。

数時間後には死ぬだろう。

いやだ。まだ死にたくない。

せめて、リンスさんにもう一度なでて貰いたい。

死ぬのであればあのぬくもりの中で死にたい。

そういえば、あの日以来リンスさんを見ていないな。

そんなことよりもだ。集中しろ。失敗すれば、死ぬのだ。

今からすることは賭けだ。

側から見れば、自殺にも等しいことだ。だがやる。俺はやる。

そして、なぜか上手くいくような気もする。

燃やせ、燃やせ。

ありったけのPMを!

作れ。作れ。ありったけの血を。

俺は、右の手首からあふれ出る血の量をどんどん魔法で増やしていった。

そして、その血を無数の針に成形する。


100本くらいの針が出来た。

長さは俺の体を貫けるくらいの長さだ。

それを操作し、自分が寝転ぶ上に持ってくる。

この辺は、水で練習済みだからそれほど難しくない。

一本ずつ100本を動かす感覚よりも、一つの集団を動かす感覚だ。

鋭利な針が仰向けに寝る俺の上に大量に浮んでいる。


こわい。マジで怖い。けどやる。やってやる。

さぁ、こい。勝負だ。

グサッ…!!!!!!!!!!!!!!!!!!

100本の血の針が俺の体を貫いた。

グッ、アァァァァ。

痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。


強烈な痛みに意識が飛びそうになるのを何とかこらえる。

ここで気を失えば、まず間違いなく死ぬ。

イメージだ。魔力を振り絞れ。魔法を使え。

イメージする。体を貫いた血を増やし、傷ついた箇所と取り替えるイメージだ。

貫いた血がそのまま体にしみこみ、傷ついた箇所を再生させるイメージだ。

そして、もともと俺を蝕んでいた患部に血がしみこみ、再生させるイメージだ。

そんなイメージで魔法を発動させる。

なんども意識が飛びそうになりながら、俺は必死で集中し、魔法を使う。

一つ一つの細胞を丁寧に血でつくり、傷ついた細胞と取り替える。

その作業は永遠にも思えた。

押し寄せる痛みと吐き気、倦怠感、寒気などと戦いながら、俺は魔法を使った。

そして、やりとげた。痛くない。

生き残ったのだ。

けれど、強烈にだるくて、眠い。

自分の周りは血だらけだったが、気にする余裕もなく俺は眠りに付いた。


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