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*21*


 その日の夜。僕は淳ではなく、兄さんに電話をかけた。たぶん僕から電話をかけるのは数年振りだろう。もう自分の中で決意は固まった。淳のこと、自分自身の事を考えたうえでの決意。親の事は何も考えてなくて、親不孝だけど。でも、そんな風に育ったのは、半分は親のせいだと思う。

 しばらく、コールした後ようやく兄さんが出た。


「お前からかけてくるなんてな。継ぐ気になったか?」

「無い。やっぱりあの店は嫌い。だから独立する」

「じゃあ何の用だ?」

「……一人で独立する。淳には淳の進路があるから。僕はそれを邪魔してた。縛り付けてた。僕だって、自分の進路邪魔されるの嫌だし。……でも、淳の事は好きだ。だから、高校卒業したら家を出る」


 しばらく、兄さんは黙ったままだった。まずこの兄さんを頷かせないと、両親まで話が行かない。それに兄さんが頷けば、僕にも協力してくれる。黙ってたけど、兄さんはブラコンなのだ。今は立場上ああいう態度だけど。


「はぁ……やっとわかったか」

「は?」

「いや、自分でそこまで考え出して決めたならもういいさ。好きにしろ」

「……なんか、あっさりだな。うるさく言われると思ってたのに」

「父さんが、周りの事も見えず、ただ己の道を進んでいく奴に独立は無理だ……と、うるさく言ってきたからな」

「なにそれ!?」

「周りの事を考えられない奴が独立して、成功できるわけないと言いたいんだろうな。たしかに、前のお前はどこか疎いところがあったからな」

「そう?」

「家は従兄弟の誰かが継ぐだろう。後は任せな」

「兄さん……。なんか、ごめんね」

「そう思うならたまには家に帰ってこい」

「いや、家を出るって言ったよね……」

「なら、俺には会いにこいよ」

「……気が向いたらね……じゃよろしく」


 なんか嘘みたいだ。あの兄さんが簡単に承諾してくれたなんて……。なんか一気に楽になった気がする。なんだかんだ言って、やっぱり兄さんは僕に甘いんだよね。

 さて、もう一人。僕を甘やかしてくれる人に会いに行きますか。

 とは言ったものの……やっぱり入りにくいなぁ。やっぱやめようかな。ていうか、さっきのきかなきゃよかったんじゃないの?あー僕の馬鹿っ!!タイミング悪いのいつものことだけどね!!


「でも、決めたし……。淳のためにも……ね」


 淳の部屋のインターホンを押した。ちなみに生徒会専用階へのパスワードは淳から聞いてるから入れるんだよね、僕はさ。まぁ、淳の部屋以外にはいかないけど。だって朝貴君&夕貴君の部屋に行きたいのは山々だけどさ、言ったそのあとが怖いからね。


「静香。おかえり、結構遅くまで出かけてたんだな。上がれよ」

「お土産買ってきたよ。バイキングだけじゃなくて買い物も少しいって来たからね」


 あーぁ、こんなたわいもない話続けたいなとか、すでに逃げようとしてる。でも、切り出し方って結構悩むな。


「あのさ……あの……さっきね。兄さんに電話してたんだ」

「は?なんだよ。また何か言われたのか?」

「違う。僕から掛けたんだ。でね……やっと認めてもらえた。僕の進路」

「え、マジ!?すっげー。どうやったんだよ!」


 ど、どうって。何かそんなきらきらした目で見られると言い出しにくいじゃん。


「ね、淳」

「なんだよ、どうやったか教えろって」

「僕に何か隠してることあるよね。……進路関係で……」

「っ!?」


 知ってるんだけど、やっぱり淳の口から直接聞きたいじゃん。だから、お願い正直に僕に話して。多分、それでもう僕は絶対決意を鈍らせられなくなるから。もう、淳を解放してあげるから。


久々に紘文(静香兄)を書いたら、口調も何もかもがわかりませんでした。


必死に登場シーンを見直したんですが……正直あれでいいのかわかりません。


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