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基本、静香視点で書いてこうと思います。
朝日がカーテンの隙間から、温かな光を注いでいる。それでもまだ、どこか冷え冷えしたそんな初春のある朝。目覚ましがなる5分前に目が覚めてしまった僕は、そのまま枕元にある携帯を取った。布団の上で体を起こし、電話をかける。朝が苦手じゃない人など、僕の知り合いの中には一人もいない。電話の相手ももちろん苦手なようで、僕はそんな相手に起こしてくれと頼まれた。つい昨日の事だった。ぷるるるる……と、相手を呼ぶ。何回くらいそれが繰り返されただろうか、ようやく相手が出た。
「静……香……早くね?」
「早くないよ。これくらいに起こさないと、淳は朝さ、亀みたいなんだもの」
「亀って……」
「亀みたいにのろのろしてるって意味。今日、朝礼の準備なんでしょ?さっさと起きて、支度しなよ?」
「んぁ〜……静香、はよう」
「うん、おはよう。じゃ、僕はまだ時間あるから二度寝するけど、頑張って」
「ひっでぇ……わかってるよ、じゃな」
「うん……」
電話はそして切れた。僕は携帯を閉じると、握ったまま再び布団に倒れる。でも、眠れない。淳が頑張って起きて行ったのだから、自分だけまた眠るのも嫌だった。なんて、ただの自己満足といえばそうかもしれない。ふと、携帯を上に掲げてみる。そこにつけられたストラップが揺れる。男でストラップなんて、それにましてやお菓子がついてるストラップなんてどうかとも思われるかもしれないけど。これが僕の気持ちだと思う。
マカロンと、大福。僕と淳みたいだと思う。ころころ変わる表情。天真爛漫で、とってもカラフルな淳。まるでマカロンでしょ。そして僕は大福。イチゴ大福だったらなおさらいい。真っ白で一見なんてことはない普通な人間だけど、そのうちには真っ黒で甘い想いが詰まってる。ふふふ、僕って意外と腹黒いんだって。そうかもね。嫉妬深いし、独占欲強いから。イチゴ大福なら、その真っ黒なさらにその奥に、甘酸っぱいほんとの思いが秘められてるのかもしれないってこと。なんて、ほかの人が聞いたらおかしいって思われるし、理解されないかもしれない。けど、少なくとも僕はそう思ってるってわかってくれればいいかな。
雑貨屋で見て思わず買ってしまったストラップ。でも今は大切な僕の一部みたいで、後悔はしてない。こんな隣にあることに違和感があるお菓子たち。でも、隣でゆらゆら揺れていられるっていいなって思う。僕も、こうしてたい。
「淳、お願いだから……出来る限りでいい……時間が許す限りでいいから……隣にいさせて」
僕はゆっくりとベットから抜け出した。
イチゴ大福って、ピンクのもありますよね。
でも私が好きなイチゴ大福は真っ白なやつで、ほんとうにおいしいんです。
淳は正直難しいです。
マカロンのようでそうじゃないような……
勝手なイメージなので、悪しからず……