*16*
どうも最近この二人の付き合い加減?がわかりません。
微妙なんです。どこまでいってんのか私にもわからないです。
まぁ、淳は静かに尻にひかれてるのはわかるんですが……
入場ゲートをくぐったところで、ふと僕は思った。
「男二人って結構目立つ……」
だって周りは男女カップルばっかじゃん。いや、家族連れもいるけどさ、7割はそういう人っちじゃん。なんかむなしいって言うか。もうすぐ夕暮れ時だからあんまり明るくないけどイルミネーションとか照明で顔はわかるじゃん。
そんなのお構いなしなのが隣にいるんだけどね。僕の頭にはあの耳カチューシャがついてる。リボン付いたネズミのね。自分には買わないでひとにばっかりこういうことする。
「まだパレードまで時間あるな。何か乗りに行く?」
「絶叫系全部。あ、ポップコーン買って。キャラメルじゃなきゃダメ」
「バターしょうゆじゃだめ?」
「だめ!」
「キャラメル味の売ってるとこどこだよ……」
僕本当に甘いもの大好きなんだよね。まぁ、生まれたころから甘い物に囲まれてたからさ。和菓子って素朴な見た目で、食べても上品な甘さが口いっぱいに広がる。煎餅もすきだけどどうしてもザラメを選んじゃうから、やっぱり甘さって僕にとっては大事なんだって思う。それからちょっとして、洋菓子を食べた。その時の驚きは今でも覚えてる。うちの親は洋菓子を敵視してるから、それまで食べたことなくて、初めて食べたのも淳がこっそりくれたプチシュークリーム一個。でもそれがものすごくおいしくて、甘くてとろりとしててふんわりで……。この世にこんなおいしくて甘いものがまだあったんだってびっくりしたな。……8歳くらいだったっけ?それから親に隠れて洋菓子にもハマった。今はどっちも好き。どっちもなしじゃいられない。
「そういえば、あれが初めてだったんだっけな……」
「は?」
「ううん、何でもな……ぎやあああああああああああ!!」
しまった。今乗ってたんだ。ビッ〇サン○ー・マウンテンに……。しかも我に帰った途端に急降下って!!死ぬぅ!!!待って!!死ぬ前にもう一回だけ朝貴君に会わせてぇ――――!!!
「ぎもぢわるい……」
「ぷっくくく……」
「淳ー?」
「あ……いや。あんなになってる静香久々にみたからさ。つい、おかしくってさ……ぷぷっ」
「もう……。いいっ、僕一人でパレード見に行くから。淳はそこで一人で笑ってなよ」
「それ超むなしくね?待てって」
パレードを見るために場所を探した。けどすでにすごい人の壁ができていた。何とか場所を抑えることができたのは奇跡かもしれない。それでも狭いことに変わりなく、淳が僕の後ろに立つ形になった。そのまま後ろにいる淳にもたれかかる。背中が暖かい。冬の夜の寒さの中にいる今、その温かさが心地いい。
「静香、重い」
「はぁ?なに言っちゃってんの?」
「すみませんうそです」
「ぷっくくく……」
目の前を幻想的な光景がゆっくり通り過ぎてく。きらきら輝くそれは、冬の寒さを忘れるほど見入ってしまうものだった。
此処へ来た理由。確かに着たかったのが一番の理由だけど。でも、こんなこと考えてるとか言ったら、また淳に怒られるかもしれない。
此処は時間の流れが違う気がするから。
此処は変わらぬ夢の国。この国にいる間は、現実から目をそ向けられる、そんな気がする。ずっとこんな時間が続いていくような、時間がゆっくり流れて行っているような。そんな感じがする。でも、それとは裏腹に、時間はあっという間に過ぎ去っていく。此処では何にも縛られず、自由でいられる気がするから、淳と来たかったんだ。
ずっと、こうしていられたらいいのに。
最近行ってないので、ポップコーンの味とか適当です。
バターしょうゆはあった気がする。あとはちみつのもあった気がします。
2年前位に入ったので今は違うかもしれません。
私は塩派ですが、途中からキャラメル食べたくなって人のを横取りします。
最低だな。