*12*
両脇に夜店が立ち並び、それを覗きながら歩く人々の行き交う波に逆らうことなく僕らは進んだ。綿菓子の入ったキャラクター袋を嬉しそうに持った子供とか、おいしそうなソースの香り。
「あー、静香さん何食べますか?」
「……りんご飴」
「はい、買ってきます」
うん、今日は淳のおごりにしてもらおうかな。真っ赤な飴に覆われたリンゴを買って帰ってきた淳。それを受け取ってかぶりつく。特にこれといって何の変哲もない味。期待を裏切らない砂糖の味。でも、こういう祭りで食べるとなんか普通とは違うように思えちゃうんだよね。
りんご飴を食べながら僕らは少し人気の少ないところに行く。そこにあった小さな段差に、並んで腰掛ける。
「朝貴君と一緒に食べたかったな……」
「やっぱし?」
「あったり前じゃん。半日しか一緒に居れないなんて……ちょっと悲しい」
「朝貴なんて学校行けばまた会えるって」
「だけどさぁ……僕があの学校いられるのも……」
「……一年差って結構でかいな」
「そ……だね。そう考えると、朝貴君と清桜って結構大変かもね」
「同い年ってやっぱ気楽なのかな。同じ時間を生きててさ」
何それ。それじゃあまるで僕らは一緒の時間を過ごしてないみたいじゃん。性格には数カ月の歳の差だけど。だけれども、僕にとってはすごくそれが障害になってて。よくをいえば同じ学年で同じクラスで、席も隣だったら。なんて淡い願いを抱いてきてたんだよ。ずっとずっと。そんなのもうどうしようもないことなのに。生まれた時からある差。そんなの僕らだけのことじゃないけど。僕はそれがとても大きな壁に思えて嫌になる。
「静香、あーん」
「へ!?あ……あふっ!!?」
別にあーんって口あけたわけじゃないのに、何を口に突っ込んだの?ん?この味は……そしてこの固くてゴムみたいなのは……。
「はおはい?(たこやき?)」
「あたり!うまい?」
「んぐっ!!お、おいしいけどいきなり口に入れないでよ!!あっついじゃん!!」
「あ、まじ?これでも冷ましたんだけどな。……静香……」
「え……何……っ……」
いきなり人の方に指近づけてこないでよ。淳の指が、僕の唇のすぐわきをこする。
「ソースついちゃってた。悪いな」
「ちょ……」
そんな無邪気に笑って、指で拭ったソースなめないでよ。こっちが恥ずかしくなる。でも、昔からそうだよね。
「淳はさ……変わってないよね」
「え、何が?」
「さ、なんでしょうね。たこ焼きもう一個ちょうだいって……なんでもう二つしかないの!?」
「いや、これ俺が食べたくて買ってきた……」
「僕も食べる。どこお店!?」
「これ食ってろよ、俺もう一回行ってくるから」
「あと、お好み焼きと、焼きモロコシとかき氷いちごミルク、チョコバナナもね!」
「そんなに!?」
そう。そんなに食べたいんだよ、淳と全部半分こして……ね。仕方なくって感じに立って財布を取り出してる淳の腕を支えにして立ち上がる。思わぬ行動だったのか、そんな僕を見て淳は眼を丸くしていた。淳がどこかに行ってしまっても、僕はきっとそのあとを追うから。だから、淳も僕がどこかに行くなんてことがあったら……追いかけてくれるよね?
「早く!最初はお好み焼きだからね!」
「ぷっ……朝貴より食い意地はってんだろそれ」
「なんか言った―?」
「いいえ、なんも」
来年もまた此処来る約束しよう。来年もそのまた来年も……ね?
やっと終わった。
いまさら別にやらなくても……とも思いましたが
いろいろ書きたかったところがあったので
さて、ようやくこちらも次のステージに行きますかね……
いつ次のお話更新できるかわかりませんが←