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*9*


 家の和室はそれなりの広さがあるけど、その半分ほどを埋め尽くす浴衣。まぁ、隣にいる朝貴君も思わず固まるほどだよね。



「しししししし……静香先輩!!?」

「何?」


 あ、固まってたの終わったのかな?でもすっごく動転してるね。うん、まぁそんな反応だよね。


「ここ……これって……浴衣ですよね?」

「そうだね」

「しかも……全部女性ものじゃないですか!?」

「そうだね」

「え……さっき、着てほしいものって言ってませんでした?」

「そう、だからこれ」


 何この人こんなに冷静なのって顔してる。冷静じゃないよ、頭の中はすでに大変なことになってるんだよ。


「僕男ですよ?」

「大丈夫。僕が可愛く着つけてあげるから」

「それ全然大丈夫じゃないですううううううううううう!!ていうか、誰の提案ですかこれ!!」

「んー、清桜半分、僕半分ってとこかなぁ?」


 なんてね、全部僕が原案だよ。あ、なんか服の裾掴んでプルプルしてる。眉根下げて恨めしそうに浴衣見つめてる。かわいー。でも、ここでやめてなんかあげないからね。せっかくのチャンス、逃すべからず!


「はい、朝貴君あきらめようねー」


 そうそう、あきらめて浴衣着ちゃいなさい!あれ、この人最低って顔してるね。最低じゃないよ、ちょっと意地悪なお兄さんだよ。でも、そんなに嫌ならあんまりかわいそうなことしたくないなぁ。でもなぁ、着てほしいなぁ。


「そんなに……いや?」

「女の子のカッコなんて、いやにきまってます……」

「似合うと思うけどなぁ……朝貴君のサイズの浴衣この日のために用意してもらったんだけどなぁ……。結構これいい奴なんだよねぇ?京都から取り寄せたのもあるし……」


 あ―、困ってる困ってる。僕と浴衣を交互に見てどうしようって感じだね。さーて、どうする?



「きょ……今日だけ……ですから……浴衣……」

「ふふ、そう言ってくれると思った。まぁ、ピンク地はいやだろうから用意してないよ。んー……こっちの白地に桜の模様か……こっちの黒地に水色の蝶々か……。朝貴君なら、白地のほうがいいね」

「ど……どれでもいいですけど……」

「んー……白地もいっぱいあるからね……」

「……この金魚の……」

「ん?ああ、それがいい?」

「えと……いいとかよくわかんないですけど……」

「じゃ、これにしようか!帯とかは雰囲気で僕が合わせるから。じゃ、そろそろ着付け始めようか。そろそろお祭りまで時間なくなってきちゃうし」


 さー脱いだ脱いだ!大丈夫、やましいことはしないから!!あー、肌白いな。すべすべのもちもちだな。触りたいな―。でもそんなことできないし、したってばれたら殺されるしな……清桜と淳に……。怖いな~。ま、いっか近くで見られただけでも良し!

 なんて考えてたら、朝貴君が話しかけてくれたよ。



「静香先輩って……なんでもできるんですね。着付けとか……さっきの紅茶とか……」

「男がそんなことできるの可笑しい?」


 僕は昔からその、親の張り合いってやつに巻き込まれて子供のころからいろいろたたきこまれた。着付けもその一つ。だからできるんだけど、やっぱ変だよね。普通男が着付けなんかしないよ?

 すると朝貴君は、ふるふると顔を横に振る。え、変じゃないって?


「そんなことないです。すごいなって……。僕は……何もできないから……」

「そんなことないんじゃないかな。朝貴君には朝貴君にしかできないこといっぱいあるんじゃない?」

「うーん……」

「ちょっと帯締めるよ。……苦しくない?」

「大丈夫です」

「うん、よし。できた!なんどもあれだけど、やっぱ朝貴君かわいいね。よく似合ってるよ」


 鏡の前に促して、その姿を鏡に映す。可愛いなぁ。金魚の浴衣ってちょっと子供っぽいかなって思うけど、朝貴君には違和感ないし。あんまり大人っぽい奴で背伸びしてもね、そういう挑戦よりはリアルで似合うやつ着た方がいいと思うわけだよ僕は。



「お……おかしくないですか?」

「ううん、全然」


 全っ然!!むしろいい。さらにいい!もう女の子にしか見えない!お化粧してないのにその完成度は半端ない!!ちょっと照れて赤くなってるのもさらにいいよ朝貴君!!


「そ……ですか」

「じゃ、リビングで待ってて。僕も着替えちゃうから」

「え……静香先輩も?」

「朝貴君だけじゃあれだし。一応提案者だしね」


 まぁね。それに、淳にお前も着てくるだろ的なメールが来たんでね。着てくっきゃないでしょ。さーて、僕は何にしようかな。



静香が変態にしか見えないのは私だけですか?

でも一番書いてて楽しかったりするんですよ。


次で祭りは終わりですかね。そうしたらいよいよこちら独自のお話を進めていこうかなと思います。

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