表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/22

帰還

ゴトゴトとゆれる馬車の中で。


はああ。

ゾンビじゃなくて、良かった。

生きているって素晴らしい。

ミラは深呼吸した。


レオン王子は可愛げの無い大人になっちゃったけれど。

でも、ミラと結婚します、だって。


ミラがデートをすっぽかされて落ち込んでいると、何故かかならずレオン王子が現れて、ミラを慰めてくれた。大丈夫だよ、ミラ。僕のお嫁さんになればいいよ、と。

あの約束をちゃんと守ろうとしてくれている。

「子供のとき」の約束なんか一生懸命守らなくてもいいのに。


「もうすぐ城に着く。城に着いたら、母上と父上に婚約を知らせにいこう!」

ミラの手をギュッと握っていうレオンの眼差しは真剣だ。


「レオン王子、私がデートをすっぽかされたりした時に、いつも慰めてくれましたよね? 僕のお嫁さんになればいいって。そんな子供のときの約束、守らなくてもいいですよ。本気にしていませんし!」


ミラがニッコリ笑って言うと、レオンはしばらく絶句した。


「そ、そんな約束って・・・。俺は・・・」


いいかけるレオンにミラは頷く。


「私を魔術修行の練習用実験台にしたあげく、6年間もすっかり忘れていたことを気にしているんでしょ? そのせいでお見合いし損ねたこととか。気にしなくてもいいですよ。許してあげます。レオン王子が真剣に魔術修行をしていたのは知っているし、レオン王子は可愛い教え子だもの!」


無事に目覚めたわけだし、伯母様にも会えたし、体はゾンビじゃないし。

ミラはもともと忘れっぽいので根に持つタイプではない。


「教え子・・・」


複雑な表情でつぶやくレオンにミラはもう一度、頷く。


「そうよ。レオン王子はいくつになっても、可愛い教え子です! さて。そろそろ手を離してくださいな。お城の人に見つかったら、誤解されちゃいますよ。王子様なんかに手をにぎられていたら、私もお嫁にいけなくなっちゃうし」


ミラはじっとりと汗ばんだレオンの手をどけると、ハンカチで自分の手をふきふきしてニッコリ笑った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ