感動の再会2
伯母様のところへもどらなくちゃ。
お見合い、遅刻です!
廊下を駆け、ドアを勢いよくあけたら、そこに人がいたらしく、ゴンっとその人の額にドアが当たり、その人が後ろへひっくり返るのがわかった。
「ごめんなさいーっと、うわぁ」
ひっくり返っているその人に躓き、見事に転ぶ。
その倒れている人の上に。
おぉぉ・・・。
馬乗りになったまま、恐る恐るその人をみると・・・。
苦しげに顔を歪めている。
まぁ、綺麗なお顔。ちょっとお疲れ気味ですか。無精ひげがちょっぴりセクシー? でも、どこかで絶対にみたような?
「す、すみませんねぇ・・・」
そろり、と、その人からおりようとすると、
むぎゅう。
倒れたままの人に強引に抱きしめられた。
「うっぷ」
「ミラ。俺のミラ」
ひぃぃ、ごめんなさい、ごめんなさい。
何? なんですか?
「何処へ行くつもりだ」
何処って、とりあえず、あなたの上からどくつもりですが、何か?
抱きしめてくる腕を むぐぅ と、くぐり抜け、ぐいと体を起してその人から離れる。
あーびっくりした。あー、心臓に悪い。
「えーと、実家に帰らせていただきます」
そう! とにかく急いで伯母様のところへ帰らないと。心配してる。
伯母様は口は悪いけれど、いつも私の事を心配してくれている。
いつまでたっても結婚できない私を心配して、わざわざ遠い所に住む男爵様との縁談も用意してくれた。本当はお嫁になんて、いきたくないけど。
「実家とは、レイシア・ラクシス様のところですね」
声を振り返ると、騎士のような恰好の男が立っていた。
見たことがある。
絶対に。
えーと。
「そう、レイシア伯母様の所だけど、あなた、何処かでお会いしてうーん、・・・金魚のフン。そう、金魚のフンのラルフ」
ラルフが苦笑する。
なんだか笑顔が疲れている。
うーん、ラルフ老けた?
「ラルフがフンということは俺は金魚か」
さっき押しつぶした人が立ち上がった。
うわ、デカい。
そう、この人もみたことがあると思ったんだ。
フンがラルフなら、金魚はレオン王子。
レオン王子?? うそうそ。もうちょっと可愛げがあったわ、うん。
いくらなんでもこんなにデカくない。
いくら私がゾンビの脳みそでもそれくらいは覚えている。
私は首を横に振った。
「レイシア伯母様のところに帰らないと。お見合い遅刻だわ」
自称金魚の男はじっと私をみた。
「ミラのお見合いの相手なら、とっくの昔に別の女性と結婚している」
固まった。
苦労に苦労を重ねて伯母様が探してきてくれたお見合いを私はすっぽかしてしまったのか。
伯母様、きっと激怒してる。
でも、でも、でも。
仕方ないよ。
棺桶の中で死んでたんだもの。
「ミラ、あれから6年経ってしまったんだ」
金魚がいった。
ろくねん。
棺桶の中で6年も??
「・・・私、没後6年なんですか? ・・・そのわりにはあんまり腐っていませんね」
金魚が泳ぐのを停止した。フンも止まった。